〜木戸蓮〜
【17年前の書類】
夫が殺されて数ヶ月がたつ。
事件解明のため司法解剖されたが犯人は見つからず今に至る。
最初ほどの動揺は無くなったものの、それと反比例して悲しみがこみ上げる。
私としてはなんとか犯人を捕まえて欲しいが証拠が少ないらしい。
だから何か捜査の役に立つものが見つかればと思い夫の遺品を整理していた。
実は結婚してから夫の部屋に入るのはこれが初めてだ。
引き出しを適当に開けてみるといかにも大事そうな箱が置かれていた。
中を開けてみると鍵が一本入っており私はそれを取り出して眺めてみた。
うちの鍵ではないし、会社にこんな小さな鍵穴の金庫があるとも考えづらい。
きっと部屋の中にあるに違いない。そう思い私はこの鍵と一致する金庫を探し始めた。
まず探したのは夫のクローゼットの中。
上から下までくまなく探したが金庫のようなものはなかった。
探し始めて約30分、夫のベッドを動かすとそこには床下の扉があった。
その扉には南京錠がかけてあったがこの鍵とは合わない。
私は再度この鍵の番いを見つけるため腰を上げた。
次に見つけたのは出窓の端、カーテンに隠れたところに結婚指輪でも入っていそうな小箱が
あった。
さっきよりもそれらしい物が出てきて私は「きっとこれだ」と直感した。
結果はその通り。中にはさっきよりも少し大きめの鍵が入っていた。
それを床下の南京錠に差し込むと見事に開いた。
最近は運動をしていなかったためか、床下扉を開けるだけでもかなり腰に負担がかかった。
やっとの思いで開けると中にはクリアファイルがポツンと置かれていた。
私は手を伸ばしてクリアファイルを取り出し、ベッドに座って中を確認した。
一番上にあったのは夫の高校2年生の頃の成績表。
【成績表】
木戸蓮
総合評価 E
数学 E
英語 E
国語 E
理科 E
社会 D
夫は若いながらも国会議員だっただけにこの成績表は驚いた。
学校の勉強には目もくれていなかったのだろうか?
次にあったのは領収証。
かなり古い昭和52年、、、、ということはこれも高校2年生のとき?
夫の家は代々国会議員だからお金には困ってなかっただろうし、その当時お義父さんは府議会議員だったしこの額も頷ける。
【領収証】
商品名 タキヤマ製スクーター
車台番号 gx20441236
金額 300,000万(税別)
奥山輝久 様
けど奥山輝久って言う人は友達だろうか?
聞いたことのない名前だ。
【空亭航空予約票】
日時
往路 12/23 10:20発 GR25便
復路 12/30 20:40着 GR28便
行先 沖縄
人数 6名
支払 キドアキラ クレジットカード 1856********
担当 奥山和子
S52.12.01
なんでこんな日に旅行に?しかも一週間も。
お義父さんが払ってる。
それにこれも高校2年のときだ。あれ、、?そういえば夫が高校2年の時って、、
これは、、、所見ってお医者さん?精神科?
何これ、、?
【所見書】
患者 木戸蓮 1960/10/30生
精神に異常等が見られる
特に幻聴の症状が見られ暴力的になることが多々見受けられる
診察日 昭和51年 11月20日
医療法人彩葉会精神病院精神科医 三橋大介
これは高校1年のときだ。
一体なぜこんなものが、、。暴力的になる?今まで一度もなかったのに、、。
高校1年?そうだ!高校2年の秋ごろまでアメリカに留学に行ってたんだ!
確か高校1年から。ならなんで日本の精神科医なんて行けるの?
それに旅行だって、、、行ったのは夫じゃないかもしれないけど、、。




