ロボットA9-10号
「できた! ついに完成したぞ!!」
巨大な機械が雑然と並び、様々な電子音が絶え間なく鳴る部屋で、ある悪の科学者が歓喜の叫びをあげた。
「失敗に失敗を重ね、ついに完成したこのロボット! 型式番号A9-10号!」
科学者の目の前には、2メートルを超える、大きく無骨なロボットがあった。
「ロボット三原則がなんじゃ! さあA9-10号、起動!」
勢いよく傍らのレバーを引くと、電流が流れ、ロボットの目にあたる部分が光り、鈍い音をたてて動き出した。
「おお、動き出したなA9-10号! お前はわしが造り上げた悪のロボットだ!
さあて、まずは何をしておらおうか。銀行強盗か、要人の誘拐か……」
ニヤニヤと笑みを浮かべながら言う科学者に、A9-10号の太い腕が勢いよく振り下ろされた。科学者の頭蓋骨は砕け散り、首から上は潰れたトマトのようになってしまった。
倒れた科学者の遺体をよそに、A9-10号はどこかへと行ってしまった。
悪のロボットが、人間の言うことなど聞くわけがなかったのだ。