魔の姫と七つの大罪
皆様初めまして、榊 葉と申します。楓葉という名前で楓とともに活動しております。
初心者ですので、なにとぞ暖かい眼で見ていただけると幸いです。
このアカウントの処女作となります。
『魔の姫と七つの大罪』をお楽しみいただければ幸いです。
「はっはっは…っつ!?」
一人の少女が廃墟を疾走する。後ろを警戒しながら一生懸命足を動かし追いつかれないように。
しかし、世界は無常である…
『やっと…やっと追いつめたぁ…』
―あぁ…ここで死ぬのか……どうしてこんなことに?―
☆★☆★☆
私は帰蝶 風見ごく普通の学生でごく普通に女子高校生生活を送っていた。
そんな私の運命の歯車は壊れてしまった…突如、空が割れた。
そこから見える化け物と私は目があった。なぜかわからない。ただ、あれは私を狙っていた。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
それから私は走り出した。逃げ出したのだ。後ろでは友達だった者たちが化け物に殺されていく。
どれだけ逃げただろうか…あれは私に休みなどはくれない。世界にはもう私しかいないかもしれない。
神様は理不尽だ。
どうして私なの?
逃げたからかな?
目があったからかな?
わからないけれど…あれは怖いものだってことだけはわかる。
綺麗だった町はすでに廃墟だ。
何千年たったのではと思うほど風化している。
これもあの化け物のせいだろう。
『どこ…ねぇ、鬼ごっこは終わりにしようよ。もう、誰もいないよ?』
化け物の鈍い声が響く……
あぁ、そっか誰もいないんだ…
私の目の前に黒い影が見える。
知っている誰かだったはず…
誰だっけ…
―今の私にはわからないことか…―
そこから、逃げた。
動かずに殺されることが恐ろしくなったのだ。
でも、見つかった…
息が切れる。
足がつぶれる。
変な汗が出る。
もう疲れた。
私は化け物から必死で逃げてるうちに道を間違えた。
☆★☆★☆
『これで!これで!僕のかちぃぃぃぃぃぃぃ!!!』
化け物が腕を振るいおろす。これをくらえば私は確実に死ぬ。
「まだだ!! まだ、折れるんじぇねぇぇぇぇぇ!」
誰かの声が聞こえた。
―あぁ、来てくれたのね―
『じゃまぁぁぁ!!』
化け物が私の前に立つ人ごと薙ぎ払うために腕を振り下ろそうとする。
「束縛之王」
化け物の太い腕に幾千の光の鎖が絡みつき化け物の腕は振り下ろされることはなかった。
「行くぞ!」
目の前の人…青年は私の手をもって化け物の下をくぐり抜け走る。 私はそれに引っ張られるように追従する。
「ね、ねぇ? あなたは誰なの? どうして私を助けてくれるの?」
「!?」
青年は私の手を離し急に振り返る。その眼は見開かれていてとても驚いているようでそのあとすぐに悲しそうな顔になった。
「そうか…わからないならわからない方がいい。ただ、安心してほしい俺はあなたを守る」
青年はそう言って私を引っ張った。
私は勢い余って後ろに倒れてしまう。
「っちょ!? !!???」
抗議しようとしたとき目の前には化け物に貫かれた青年の姿があった。化け物はしたり顔で青年を貫いた手を振り払い投げ飛ばす。青年は抵抗する余裕もないのかいともたやすく投げ飛ばされ壁に衝突する。
『これで、本当に邪魔者はいなくなったねぇ』
化け物が嬉しそうにそういう。しかし、化け物の笑顔は一瞬で消えた。
「そう簡単に俺は折れねぇよ」
青年は血みどろになりながら立っていた。
『どこまで邪魔なやつめぇぇぇぇ!』
化け物がその巨体をもって突撃する。
「癒復之王」
青年から白い翼が生える。するとまばゆい光を放ち一瞬で傷が癒えていた。
―あぁ!? この光は! ダメよ!―
どこからかそんな声が聞こえた気がした…頭が痛い。私じゃない私がいるみたいな。
『あぁ?思い出したのかな?ねぇ?ねぇねぇ?思い出した??』
「思い出す?」
化け物が苦しむ私を見下してそういう。こいつは何が言いたいんだ?
『こういうことだよ!!』
そういって化け物が青年を裏拳で薙ぎ払う。青年は吹き飛び壁にぶち当たる。2~3個のビルにぶち当たり勢いがなくなる。
その光景を見た瞬間私の脳にフラッシュバックしたかのように膨大な記憶がよみがえる。
―私は魔神レフィリア…しかし、生まれて間もなくで弱かった私は配下の七つの大罪に守って暮らしていたのだ。人々は私を恐れ私に対抗しうる戦力である人外生物を作り出してしまった。そいつは人を喰らい進化していった。そして、世界最強となったであろう時あいつは、神造進機バラディウムは私の前に現れた。最初にあらわれたとき七つの大罪の一人で七つの大罪の統括の憤怒之王であるギルディアが七つの大罪に私を逃がすように指示して自分は時間稼ぎをしようとした。憤怒の力は理性を失う代わりに強大だった。ギルディアは怒ると怖いが本心は優しい良い悪魔だった。なんだかんだ面倒見がいいのだ。しかし、そのギルディアでさえ時間稼ぎすらおぼつかないほど強かった。ギルディアの攻撃は傷つけることすらできず。しかし、バラディウムの攻撃は一撃で死に至らしめそうになる。そんなギルディアを見た七つの大罪の強欲之王のリィディアと嫉妬之王のクルシュはギルディアの援護に残ると言い出した。リィディアはいつもお菓子をくれる優しいお姉さんだった。クルシュは厳しいが本当は優しいのを知っていた。しかし、リィディアとクルシュは仲が悪かった。でも、共闘するしかないから今は仕方ないって笑って向かっていった。そんな時だった。昔私が拾った少年、ミカエルが私のところに来たのだ。ミカエルに来ちゃダメって私は押し戻そうとしたとき七つの大罪の一人の色欲之王のクロードがとめた。クロードはみんなから腹黒って言われてるけど私にはよくわからなかった。とても優しいお兄ちゃんだったから。そのクロードがミカエルに何かを耳打ちしてミカエルは泣きながら首を縦に振った。クロードが何を言ってミカエルが何を決意したかはわからないが私はそのあと儀式の間に向かった。ここで転生の儀式をしてバラディウムから逃げるらしい。ギルディアとリィディアとクルシュとクロードは残るらしいが傲慢之王のノクタと怠惰之王のスロウスと暴食之王のグラニーとミカエルが一緒に来てくれるらしい。少し寂しくなるがみんなとまた会えるからと言ってクロードが送り出してくれた。私はそして、一度目の転生に成功した。しかし、それからしばらくするとバラディウムが追ってきた。転生後の世界はバラディウムによって滅ぼされた。その時ノクタとグラニーが戦ってスロウスが私とミカエルを送り出してくれた。しかし、二回目の転生は安定しなかったようでミカエルと別れさらには記憶が封印されたのだ。これが私のお話。そして、私のために散っていった憤怒之王ギルディア、強欲之王リィディア、嫉妬之王クルシュ、色欲之王クロード、傲慢之王ノクタ、怠惰之王スロウス、暴食之王グラニーは死んだ。そして、今目の前で私を守ってくれた少年こそがミカエルなのだ。私が存在したせいで死んでいった仲間たち…―
「折れてんじゃねぇぇぇぇぇぇ!!!」
―!?―
「テメェは、俺が!俺が最後まで守る!だから折れてるんじゃねぇぇ!」
【世界の言葉/正義之王が発動し憤怒之王が個体名:ミカエルに開眼しました。】
―姫はほんとに無茶するなぁ…ミカエル、俺をくれてやるから姫を守ってやってくれや―
世界の言葉が聞こえた直後にギルディアの声が聞こえた気がした。苦笑混じりの優しい声。
「俺はお前が好きなんだよ!お前の全部を俺がもらう!だからくそみてぇな木偶の坊に折れてんじゃねぇぇぇ!」
【世界の言葉/正義之王が発動し強欲之王及び嫉妬之王が個体名:ミカエルに開眼しました。」
―嫉妬心の強い女狐と協力なんて嫌ですが私の姫のためですし仕方ないですわね。私をくれてやるのですから使いこなしなさいよね?―
―強欲なだけの女に言われたくないが私の姫ですからしかたないですね。姫を守らなければ地獄から呪いますからね?―
世界の言葉は数年に一度聞けばすごいほどなのに世界の言葉が一日に二回も聞けた。これは世界に干渉しうる力を与えられたからだ。ミカエルが正義之王が力を呼び起こしたのだろう。リィディアとクルシュが争うように私を奪い合う。本当に仲がいいな二人は…冷たい何かが頬を伝っていた。
「お前が望んでなくてもお前は俺の女なんだよ!!」
【世界の言葉/正義之王が発動し色欲之王が個体名:ミカエルに開眼しました。】
―ミカエル君も言うようになりましたねぇ…私たちに女の子の気持ちなどわからないのです。だから、相手の意志など関係ない自分が愛せるかなのですよ―
クロードのいつも通りの回りくどい言い方がよくわからないがクロードはいつまでもクロードだった。あぁ、もしかしたらミカエルは……
「雑魚の木偶の坊の分際で俺に相手してもらおうなんて調子のるんじゃねぇよ!おめぇごときには俺が働かなくても消せるんだよ!」
【世界の言葉/正義之王が発動し傲慢之王及び怠惰之王が個体名:ミカエルに開眼しました。】
―私を倒して強くなるならさっさとすることですねぇ。私もさっさと復活してあなたより高みに上るかもしれませんよ?―
―あぁ、めんどくせぇ…でもよ? 姫だけは命に代えても守れよ―
偉そうに命令ばかりするけどそれが気にかけてくれていることが分かるノクタと気怠そうにしながらいつも私のそばで寝転がってるスロウス
「てめぇ、みてぇな木偶の坊は跡形も残さずに喰いつくしてやるよ!!」
【世界の言葉/正義之王が発動し暴食之王が個体名:ミカエルに開眼しました。】
―喰いたいだけ喰いやがれ! 俺事全部な!!―
適当な性格で大食いのグラニー。よく私が料理の練習でたくさん作りすぎたのを全部消費してくれた。
【世界の言葉/個体名:ミカエルに七つの大罪がすべて集結しました。これより融合を開始します。】
七つの大罪はその力の一つ一つが世界に干渉しうる。ミカエルは七つの大罪を取得しつつバラディウムを剣で攻撃していた。ミカエルの持つ剣は炎の剣。罪を浄化する天使の剣。ミカエルは天使だった。なぜか悪魔の世界に堕ちていたのだ。そして今、ミカエルは七つの大罪を全部一人で背負った。そんなことをすれば肉体は崩壊するだろう。それでも、ミカエルはやったのだ。
【世界の言葉/正義之王と七つの大罪が融合し神剣 勝利ヲ喚剣が個体名:ミカエルに開眼しました。】
太陽の女神フレイが持っていた剣。勝利の剣それをミカエルが手に持つ。その剣は轟々と燃え盛っている。その炎は太陽より熱く周囲を溶かしていく。
「俺は勝つ!」
『ふざぁけるなぁぁぁぁ!!!』
バラディウムが怒り狂ったかのように叫ぶ。今まで叫ぶ余裕するなかった。しかし今は叫びと言うより悲鳴に近い。バラディウムの圧倒的再生能力でさえすべてを焼き尽くす炎の剣の前では意味をなさず灰へと変えた。
ミカエルは地面に降り立つと剣を消し私に近づいてきた。
「レフィリア……俺は約束を果たしたよ…ごめんね」
そして、そう言ってミカエルは瞬く間に灰になっていったのだ。
ミカエルは限界を超えて力を行使した。そのため肉体も精神も耐え切れず存在ごと消えたのだ。
「ありがとう…ありがとうミカエル…ありがとうみんな…」
~END~