憧れへ
―ボクは……―
―ボクの最期には……たくさんの人がありがとうと言ってくれた……―
そう思うボクの周りはとても騒がしく、話し声や笑い声が聞こえる。たまに怒号や悲鳴も聞こえる。
「ボクはまた、桜の木だったね」
遠くのようで、近いところでボクを見守ってくれてる誰かさんに言ってみた。
っぷ、ははははは
遠くで笑い声が聞こえた。
ボクも笑った。
「何笑ってるんだい?」
誰かがボクに声をかけてきた、あたりをきょろきょろすると、キレイな天使さんがボクに笑顔を向けて立っている。
「ちょ、ちょっと思い出し笑いしてただけ。なんでもないよっ」
そう言ってその場から離れようとしていた時、
「まぁーた、教えてくれないのかい?お前さん。」
今度はいたずらっぽく笑いながら、ボクに言う。
―お前さん……?あ!―
「おばあさんなの!?」
驚いた、この前の死後の世界の時に少し話したおばあさんだった。
「おばあさん!天使になれたんだね!良かったねっ……でも……ボクのこと忘れなかったの?」
「忘れるもんかね。お前さんの近くにずぅーといたんだから。気づけなかったかい?」
「そうなの?全然知らなかったっ」
おばあさん……もとい、天使さんといろんな話をした。
話をし終えると、
「お前さん、もう人間道へ進めるのかい?」
「うんっ やっとゼンコウがたまったからね。次は人間になれる。」
天使さんが嬉しそうに笑ったが、そのあと少し表情を暗くしながら言った。
「人間はみんながみんな良い奴じゃない。中には悪い奴もいる。それでも人間になるかい?」
ボクは少しも迷わず言った。
「人間になれば、やっと人間とお話できる。悪いやつがいるのもわかるよ。だって、今まで人間を見てきたんだもん。それでも、ボクは人間になるよ。人間になって、もっと多くの人間を笑顔にさせるんだっ」
天使さんは嬉しそうに笑ってくれた。
「そうかいっ じゃあ行ってきな! きっとキレイな女の子になるよ! あたしみたいにねっ」
おばあさん天使さんが見送ってくれたあと、人間道を進んで、前みたいな問答をして人間として生を受けることができた。
「パパ見て、可愛い女の子よ」
「おぉ~ママに似て、キレイな顔立ちだ。こりゃ将来は美人だぞ~」
「パパったら……あ。そう、名前。名前は決めてあるの?」
「もちろんだ。4月の満開の桜の季節に生まれたからね。
この子の名前は桜だっ」
命の営みは、魂の営みも輪っかのように終わりが無く続いてゆくものです。
この桜の木だった魂は、また新しい命の営み、魂の営みを続けていくでしょう。どんな一生を送るかは……また別のお話。
あなたの一生はまだまだ続くはずです。来世に望みをかけるためにも、『今』善い行いをたくさんして、良い来世になるようにしておくのがいいかもしれませんね。
なんとなく考えたお話なので、いろいろ不備はありますが……
ぜひぜひ、皆様のご意見をうかがいたく思いますので、ご感想よろしくです。




