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次の生は  作者: Y,S
3/6

死神との出会いへ

「そ、それで……死神さんは、どうしておばあさんを見てたの?ボク達の会話も聞いてたのかな?」

驚くのもそこそこにして、もっともな疑問を死神さんに聞いてみた。

「もっともな疑問だっ いいね。話がズイズイ進むねぇ。いやーそういう話しやすい子はアタシは好きだ。なんだよ、照れるなよーえ?照れてない?早く話をしてほしい?そんな急ぐな、急ぐな。」

―余計なことが多い死神さんだな……―

と半ばあきれていると、

「さて。どうしておばあを見てたか だったね。おばあのこれからがわからないと、担当できないだろ?」

「直接聞けばいいんじゃないの?そっちの方が手っ取り早い。」

うんうん と死神は頷くが、人差し指を口元にあて、少し真面目な口調で、

「ナイショなんだ。どの死神がどの魂の担当かは。だから、遠くで見守るしかないんだよ。いやーもどかしい職だよ。」

そうなのかとボクは納得すると、死神は続ける。

「君の死神もどこからか見守ってくれてるよ。死神が見守っていうのも、どーなのかなーって思うけどね。」

とニヤっと笑った。


「それで?君は畜生道に行くんだったね。んー……君は何になりたいの?」

「ボクはゼンコウが十分じゃないから、選べないよ?」

「希望ってもんを聞いてるだけさ。あるだろう?希望くらい。」

ボクは直感的に

「ボクは、桜の木になりたいな」

死神は一瞬驚いたような反応をしてボクに問う。

「ほほう?どうしてまた、桜の木になんてなりたいのさ。木は不自由だ。自分の意志で動くこともできない。栄養が足りなければ、花も咲かせず、葉も付けずに枯れてしまう。それでも、君は桜の木になりたいのかい?」

―現実的なことを言うあたりは、やはり神の名を持つだけのことはあるな―

と少し感心していると死神は真面目な口調になりながら続けた。

「植物じゃなくてもいいじゃないか、鳥や虫、犬や猫の方が自由じゃない?自由じゃなくていいの?」

だけど、ボクは思ったことをそのまま伝えた。

「ボクは自由というものを手に入れた記憶がないから、よくわからない。きっと大事なもので、素敵なものなんだと思うよ?でも、桜の木だってきっと大事なもので、素敵なものなんだと思ってるよ。桜が開花した時、人間たちはすごく喜ぶ。そうすると、ボクも嬉しい。」

すると死神は大笑いした。周りの魂たちがボクたちを横目で見ながら進んでいく。なんだか恥ずかしい。

「はっはははは……あーおかしかった。いやいや、君の言うことはもっともだ。そのことを忘れないでほしいね。あーふふふ……そうか。そうか。君は、その桜としての大事さや素敵さを手に入れたいのか。自由よりも。そうかそうか。ふふふ……面白い子だな。君は。」

ボクは少しイライラしながら、

「すごくバカにされている気がするけど……?」

と言うと、死神は 違う違う と身振りも併せて言ってきたが、笑いは止まってない。

―まったくこの死神は……なんなんだ……―

とあきれながらも、ボクも笑みが出る。


死神が笑い終え、次の担当を見に行かねばらないと言い残して、飛び去って行った。

そして、ボクは畜生道を進んで行き、魂として出会う最後の天使との面談をしに行った。

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