初めての町
「ついた~!」
「アイラ、あんまり騒ぐなよ?
クロネ、ここが船着き場だ。どうだ?」
「かなり綺麗な町なんですね。実は私は、町に入るのが初めてでして…」
「じゃあ!手を繋ごう!」
アイラが俺にむかって右手を出してくる。
それを俺はレイルの後ろに隠れて華麗にスルー。
「も~!釣れないな~」
こんな会話を人が大量に行き交う中話すのは、なかなか恥ずかしいものだ。
今俺達がいるのは、船乗りの町“アクアマリン”だ。
ここに船着き場もあり、シーアイランドを始め、様々な街に行くことができる。
「この町の屋根はみんな瓦なんですね」
「あぁ。この町は、年中暑いからな…
遮熱効果があるらしい。」
この町の特徴。それは、赤茶色の瓦が屋根に敷き詰められた、壁が白い、天井が高い建物が多いことだ。
建物の統一感が町の景観を美しくしている。
「それで、いつ“シーアイランド”に行くんですか?」
「まぁ、慌てるな。」
「馬車で疲れたから、明後日に行くんだよ!」
「じゃあ今日はなにを?」
「そうだな…
お前、何か武器とか最低限の防具はあるか?」
「…えっと、このナイフとかは?」
そう言って俺が袋から出した物。
そう、おじいさんから貰ったあのナイフである。
「クロネちゃん、それ以外はあるの?」
「無いです。」
俺は、装備品を全く持っていなかった。
「よし、じゃあ今日は、お前の装備をかうぞ!」
「でも、なんで装備なんか…」
「それはな、シーアイランドにも、魔物がでるからだ。」
「…え?」
ヤバい、マジでヤバい。
俺は、戦闘経験ゼロだ。しかも武器などつかったことがない。
「よし、じゃあ出発~!」
やっぱりやかましいアイラの声で、俺達は装備を買いに、町の中央の商店街へと向かっていった。
次回 クロネ武装!?