自爆(オワタ)
俺は今、凄く疲れている。
何故かって?
それはな…
「あーーっ!
いつまで歩けばいいんだよ!
もう2日位歩いてるんだけど?」
うん。疲れた。
今日だけでも、体感的には5時間位歩いている。
前までとは違い、さすがに景色は変わり、森と言うよりは、林に近い。
要するに、うっそうとはしていなくて、THE森という感じではなくなっていた。
…そこから数時間、景色は変わっていないが…。
「…さて、実験しよう。暇だし。」
…唐突に思った。
そして、ポケットから俺が取り出したのは、例の石だ。
「この石に力を込めると、魔法陣が描かれている方から、ビームが出る…。
もし、逆に握ると、どうなるかな?」
…アホである。
もし、俺が言ったことが正しいのであれば、結果は言わなくてもわかる。
手のひらの方向に、魔法陣が向くからな…。
「よし、やるか!」
俺は、右手で石を持つ。
好奇心だけで行動するとこうなる。
俺は、石に力を込めた。やはり、石は光を放つ。しかし、この石のビームの威力は、オオカミの体を貫通するレベルだ。
さすがに、俺も、腕を横に伸ばし、体に魔法陣が向かないようにしていた。
“キィィン”
(…来る!)
“ゴゥ!”
石は、ビームを放つ。それと同時に、手に鋭い痛みが走る。
「…ッ!」
俺は、声にならない悲鳴をあげた。
…俺の、右手の平には、直径1cmほどの穴が開いていた。
手のひらから滴り落ちる血は、ほんの数秒で、地面を黒く濡らす。
(オワタ…)
全く血は止まらない。
ずっと右手が痛い。
さすがに、このままだと血が足りなくなり、その場で倒れかねない。
…積んだ。
そして、そのまま意識が落ちた。
クロネ…
やっぱりアホでした。
果たして、クロネは助かるのだろうか!?