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絶鷹(ぜつよう)  作者: 靴下 歯痛乃介
5/12

仲のいい…

 佐々木は鷹を捕まえたが、鷹はそれに抵抗して鋭い爪を立てながら、佐々木の手の甲に浅い傷を付けた。

「うぅっ…このやろぉ…」

佐々木は手から血を流しながらも鷹の首根っこを掴み、首を折ろうとしていた。好奇心もあるのだろうが、得体の知れない動物相手に勝負を挑む佐々木の精神は、もはや暴走していると言えるだろう。

それを見ている回りの人間も動かずにはいられなかった。

「おい!やめろ!」

ついさっきまで弱っていた担任が、人が変わったように怒鳴り散らす。

辺りが静まった。皆は担任の声ではなく、鷹の動きが止まったことに驚いていた。

「へっ!…やったぁ!やったぞ!」

興奮した様子の佐々木が息を荒くして、右手で鷹の首を掴みながら胴体をぶら下げている。

「床に置け!早く!」

担任が再び怒鳴り散らす。興奮した佐々木は投げ捨てるように鷹を手から離す。

「保健室行った方がいいよ!」

佐々木の手の怪我を気にしながら大原は教室の後ろのドアを開ける。

「元はと言えば、お前が窓開けてたからだろ!天気悪ぃのに!」

「だって、空気の入れ替えが必要だったんだもん!」

「お前、朝のニュース見てねぇのかよ。鷹が人を襲って、しかも今、空を飛んでるんだぞ!」

「だからって殺すこと無かったじゃない!」

血の気の多い佐々木と平和主義者の大原の口論が始まった。

「こら!いい加減にしろ!」

担任が止めに入るが、二人には聞こえていないようだ。彼はしょんぼりとし、下を向いた。

「殺さなければ、皆襲われてたかもしれないんだぞ!お前も!」

「このコは迷い込んできただけなのよ!…」

″ダンッ″

大きな音が教室中に響き渡る。

気付いたら俺は机を叩いていた。終わりの見えない口論にむしゃくしゃしていた自分が机を拳で叩いたのかもしれない。

「…ごめん。」

珍しく佐々木が謝る。大原も頭を下げる。

「とりあえず、皆落ち着こう。」

冷静な三谷がその場の空気を変えようとする。

「その鷹、どうする?」

「捨てるしかないやろ。」

田辺がグタっとなった鷹の死骸を持ち上げようとする。

その瞬間だった。


″ギィェェェェェェェッ″

死んだと思っていた鷹の喉奥から不気味な鳴き声が飛び出した。


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