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絶鷹(ぜつよう)  作者: 靴下 歯痛乃介
4/12

クラスメイト

これから俺はどうなるのだろう。学校を休みにしてくれないかと不安と休校への期待が入り交じり、変な気持ちになった。それから10分待ったが、電話などは来なかった。結局登校することになり、自転車のペダルを重く踏みながら、学校へと向かった。外は薄暗く、夕方の空と変わらないほどの天候だった。俺は、急いで自転車を走らせた。学校に着くと、やはり多くの生徒がいた。

「おーい!神酒ぃ~!」

少し遠くから、俺の親友の田辺たなべの声が聞こえた。

そう、俺の名前は

神酒みき 将乃介しょうのすけ

田辺と俺は、ゲームを話題にして話したり、外食したりする仲だ。田辺がこちらに寄ってくる。

「神酒、おはよ!マジさぁ、学校何で休みにしなかったのかなぁ。生徒のことを第一に考えてるんじゃなかったのかよぉ。」

「マジよね。田辺はチャリ?」

「一応、車。何か恐いんだよなぁ。鳥が。」

意外と、田辺は臆病だった。だが、鷹に喰われて死ぬのは俺も嫌だ。

俺と田辺は教室へ行き、鞄から教科書を取り出し机の中に入れた。俺は自分の椅子に座り、田辺は前の席で水筒のお茶を飲んでいる。教室は、女子の大原おおはらが一人で小説を読んでいて、それ以外は俺と田辺だけだった。

そして俺は辺りを見回すと、時計を見た。まだ7:45だった。すると、教室の後ろのドアが開く。入ってきたのは、親友の三谷みたにだった。彼は顔が整っていて身長も少し高く高校生にしてはダンディな雰囲気だ。落ち着いていて、性格も悪くなく、人が近寄りやすい感じだ。

「おはよう。」

と、俺の頭を少し触りながら自分の席へ向かっていく三谷は自分の席に着いた。


7:50

「来ないなぁ。」

田辺が急に喋り出す。

「そのうち来るだろ。」

三谷が素っ気なく返答する。

そんな会話をしていると、教室の前のドアが開いて担任の先生が入ってきた。

「おはよ~」

今日は少し雰囲気が重たかった。

「ごめんね。学校が休校にならなかった。俺も職員会議で休校にするべきだって言ったんだけどね。理事長先生が…」

「開始早々謝らないでくださいよぉ。」

小説を読んでいた大原が担任を慰める。

「ホントに、お前たちに危険があったらどうしよう。帰らせたいくらい心配だ…」

担任は少し気が弱いところがあるが、心配はしてくれている善き先生だ。

「おはようございまぁす。」

「おざまーす。」

教室の後ろから、空気の読めない二人組の佐々ささき宮田みやたが入ってきた。

「ニュースみた?」

「見た見た」

「あれヤバイよね~」

「めっちゃエグいよね。」

宮田と田辺が話す。

「ごめんね。」

未だに担任は懺悔を続けている。職員会議で精神を一撃やられたのかもしれない。


8:10

゛キーンコーン゛

そんな中、チャイムが鳴り響く。

次の瞬間、一羽の鳥が教室へ入ってきた。それは噂の鷹であることに皆が気付いた。想像を超える大きさの鷹の目と鋭い爪は皆の想像を遥かに超えるような恐怖を植え付けた。

「キャッ!」

「誰だよ。窓開けたの」

宮田が怒るように言う。

「ご、ごめん。私…」

どうやら大原が空気の入れ換えにと、窓を開けていたようだ。

「どうすんの、これ。」

バサバサと頭上を飛び回る鷹に宮田が指をさす。

その瞬間、佐々木が鷹に近づき、素手で捕まえようとする。


俺はこの時、佐々木を止めていればと後悔した。

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