第5話 高飛車JK
「私たちが普通に電車に乗っていたら、なぜか私たちの車両だけがここに連れてこられた。手掛かりは、一瞬アナウンスで発しられた『第3世界』というワード。この意味がわかる人いる?」
JKがとりあえずの現段階の状況説明をみんなにしてくれる。
JKの問いかけに誰も返答しない。
どうやらみんな心当たりはないらしい。
このJK見かけによらずインテリなのか?ビリギャル的な感じか?
って、今はそんなことはどうでもいいか。
確かにあの時車内アナウンスで「第3世界に到着いたします。」とはっきり言っていた。
ということは、いま俺らがいるここがその第3世界ってことなのか?
つまり、異世界____________
「おい、鼎……あのJK可愛くねーか?」
翔也が小声で俺に耳打ちする。
俺はあえて無視した。
ったく、この馬鹿はこの状況でもそういう話かよ。
翔也が俺に耳打ちをしたせいか、JKがこちらに近づいて来た。
「なに?なんか知っていることあるの?」
JKが翔也に威圧的な雰囲気でそう問いかけた。
JKだけが立っており、他のみんなは今は席に座っている状況なため、客観視すればJKがこの車両をジャックしたような感じになっている。
「あ、い・・いえ!なにも知りません!」
なんでこいつは敬語なんだよ。緊張してるのか?
まぁけど目の前に生のJKがいるから、いまのうちに眺めておこう。
胸まで伸びている茶髪で、毛先はおしゃれに巻いている。化粧は濃くはないが、それなりにしている。大きなパッチリ二重でやわらかそうな唇をしており、顔全体が整っている。
スタイルもよく、おそらく身長は160㎝台前半であろう。学校の肩掛けバッグをリュックのようにからっている。
「だったら、まぎらわしいような行動はしないでくれる?」
明らかにJKが年下なのに、ドSな口ぶりになぜかうれしそうにする翔也。
こいつ絶対あとでこの子に連絡先聞くな……。
他の乗客は静かに座っていながらもこちらに目を向けている。
さきほどのホスト風な男は、足を組み、腕組みをしている。
あいつにだけはあんまり関わりたくないな。
けど、なんでこの8人なんだろうか。
偶然……?
いや、そんなはずはない。だいたいこういうときはなにかしらの共通点があるはずだ。
身体のどこかにみんな同じ紋様があったり、ここに来る前にみんなが同一人物(俗に言う『異世界からの使者』)と会っていたり。
「あ、あのさぁ提案なんだけど、ここにいる8人には何か共通点があるんじゃないかな。なにか理由があってここに連れてこられたんだと思うんだ、だから共通点を探すついでに自己紹介をそれぞれしたらどうかな?」
恐る恐るJKに提案してみる。
えらそうに提案したら蹴りでもいれられそうなためあえて気まずそうに。
「そうね。あなたはお隣さんと違って賢そうね。」
高飛車なJK、悪くない。
俺もあとで連絡先を聞こう。