表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ALICE  作者: ZION
6/21

〜Tower Of Brier〜


「これがハッターの言っていた塔」


ノワールが階段を登り終えた先には切り立った崖に囲まれた石造りの塔があった。


「この塔を登れば上に戻れそうね」


ノワールは塔を見上げているといきなり、後方へと手が引っ張られた。


「不用意に出たら危ないさ」


階段の出口の陰へとフォンはノワールを引き込んだ。


「何が危ないっていうのよ」


「見るんさ」


フォンが示す方向には塔を囲むように群棲する棘の持つ植物の蔦があり蠢いていた。


「なにあれ?」


「ただの植物さ」


「いや、ただの植物は動いたりしないわよ」


「それもそうさ、塔に近付く者を排除する荊さ」

フォンはブラスタルから弓矢を取り出し、一本の矢を塔に向けて放った。


塔の脇から棘を持つ蔦の一本が素早く飛び出し、矢を巻き付くようにつかみ取り締め付けると矢は二つに折れた。


そして、折れた矢は光の粒となって虚空に消え、蔦はゆっくりと群棲する蔦の中へと戻っていった。


「……此処の出口は何処にあるの?」


ノワールはふと思い、フォンに聞くとフォンは無言で塔の頂きを示した。


塔の頂きには周囲を囲む岩壁へと繋がる四つの空中廊が見えた。


「だったら何とかあれをどうにかしないといけないわね」


ノワールはそう言うと階段の出口の陰からゆっくりと歩み出てブラスタルから大鎌を取り出した。


すると塔の周囲で蠢いていた蔦が一斉に動きを止めた。


ノワールが一歩踏み出すと四方八方から蔦が飛び出してきて、ノワールは踏み出した足に力を入れ、飛び上がった。すると飛び出してきた蔦同士がぶつかり合い、その衝撃で蔦は互いに絡み合うようにうねった。


ノワールはそこへすぐさま円形に大鎌を振るい、蔦を苅り取った。そして、大鎌の柄の先を地面に突き、刈り取った蔦を飛び越して塔の扉近くで着地した。


「無茶で無茶に無茶するさ」


フォンは矢を一本、取り出して空に向けて弓で放つとノワールが刈り取った蔦の隙間をその棘に触れることなくノワールのいる所まで歩いていく。


そこに群棲する蔦の中から新たに複数の蔦が飛び出し、フォンに向かって蔦の先を伸ばした。


フォンは突然、歩みを止めた。するとフォンに向かっていた全ての蔦の先がフォンの直前で静止した。


「残念さ」


地面に繋ぎ止めるように無数の矢が塔の周囲に群棲する蔦に突き刺さっていた。


「すごいわね…一瞬で全ての蔦の動きを止めるなんて」


「ブラスタルの力は使い方しだいで色々と使えるさ」


「だったら私が出る前にやってほしかったんだけど」


「先に行ったのはそっちさ」


フォンは再び歩みを進めるとノワールの横を通りすぎ、塔の扉に手を掛けて扉を開けた。


二人が塔の中に入り、扉を閉じると蔦を地面に繋ぎ止めていた矢が光の粒となって消えた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ