〜Cellar Of Battle〜
広い空間の奥にある光る石の階段を降りながらブランネージュが現れた。
「まぁ追って来るだろうとは思っていたけどフォン、貴女まで一緒とはね」
「貴女に渡すような命はないさ」
フォンはノワールと話していた時の口調とは違い、真剣な口調で答え、髪留めの薔薇から深緑色の弓矢を出してブランネージュに向けて構えた。
「だったら二人まとめて命を奪ってあげる」
チョーカーの薔薇に両手を翳し、薔薇から純白の剣を二本取り出した。
「聞いてれば勝手なことばかりを…」
ノワールはブランネージュの言葉にいらつきながらブレスレットの薔薇から黒い大鎌を振り流しながら取り出した。
「…言ってくれるわね!」
「それは私が狩る側の人間だからよ」
そうブランネージュが言った瞬間にフォンは矢を放った。
矢はブランネージュの身体を通り抜け、ブランネージュの姿が消えた。そして、ブランネージュはノワールの目の前に現れた。
「いきなりこんな所に!」
ノワールは目の前に現れたブランネージュに驚いていると二本の剣を交じ合わせながら振り下ろしてきた。
咄嗟に両腕を突っ張り、大鎌の柄で受け止めた。
「以外に反応がいいわね、でもその状態で次が防げるかしら?」
剣の一本を交じ合わせた状態から切っ先をノワールに向けたがブランネージュすぐに上体を反らせ、後方へ飛びのいた。
そこへすぐにフォンの矢が通過した。
「うちを忘れているんさ」
「忘れていないわ、ただ気にするに値しないだけよ」
「じゃあ、忘れないように楔を刻んであげるさ」
フォンは髪留めの薔薇から五つの矢を出して弓の弦に掛けた。
「矢を増やしたところで私に当てること、いや掠ることすらできないわ」
フォンはブランネージュの言葉には耳を貸さず、五つの矢を放った。
矢は外へと広がる放物線を描いてブランネージュに飛んでゆくが再び、ブランネージュの身体を通り抜けた後に姿が消えた。
「厄介な飛び道具もこれで終わりね」
ブランネージュはフォンの背後に現れ、二本の剣を振り上げた。
「終わりはそっちさ」
ブランネージュの身体を拘束するように蔦が現れ、ブランネージュは剣を振り上げたまま身動きが取れなくなった。
「私とした事がこんなものに…」
ブランネージュは苦い表情をした。
「貴女がうちの傍までくればいくらでも動きを止める方法があるさ」
フォンはブランネージュの方向を向いて言うとチョーカーの薔薇に手を掛けてもぎ取った。
「さよならさ」
ブランネージュの身体はチョーカーから広がるように純白の結晶となっていく。
「それはどうでしょうね……」
ブランネージュは意味深な言葉を残し、全身が純白の結晶となった。
「ブラスタルを失うとこんな姿になるのね…」
ノワールは結晶化したブランネージュの傍まで来て大鎌を後方へ振り上げた。
それを見たフォンは結晶化したブランネージュから離れるとノワールは結晶化したブランネージュに大鎌を振るった。
そして、結晶化したブランネージュは胴から断たれ、滑り落ちて砕けた。
「突然、何が何で何をするさ」
「いや、ちょっと念の為に」
ノワールはそう言うと心の中で思った。
「最期の言葉も気になるしね」
「例えブラスタルを元に戻しても生き返ることはないさ」
「どうして色々とそんなに詳しいのよ?」
「単純にそう思い思って思うだけさ」
フォンはそう言うとブランネージュのブラスタルを差し出した。
「はい、これ受け取るさ」
「本当だったのね、集めていないってのは」
ノワールはブラスタルを受け取り言った。
「信じてなくてないでなかったさ?……ひどいさ」
「知らない世界で初めてあった人間をすぐに信じれるわけないわ」
ノワールは大鎌をブラスタルに仕舞うとブランネージュが現れた光る石の階段の方向へ歩いて行った。
「待つの待って待つんさ」
フォンはノワールの後を追いかけた。