固められてしまった
カズミの体に巻かれた石膏入り包帯の上にさらに石膏が塗られていった。これはギブスをするのと同じ要領であるが、違うのは型を取るため全身を拘束するような状態になっている。女の子特有の体型だったものが、太った人間のような体型になった。
首から下と同じように、カズミの顔も型を取るため石膏包帯が巻かれていった。鼻の頭を残して包帯で巻かれた頭に石膏が塗られていった。途中で鼻の上にも塗られたが呼吸を確保するため、カズミは塗られた石膏に呼吸で穴を開けて息をできるようにした。
このようにして少女は白い像になったが、まるで蛹のようであった。そのまま固まるまで三十分間じっとしなければならないので、今カズミは苦しいだろうと思った。その一方でこのままカズミを放置したら、ずっと石膏像のままだろうしイタズラをし放題だと考えてしまった。
三十分後、石膏が固まったので慎重に中身のカズミを救出し始めた。色んな方法があるようだが、ここでは寝かしたカズミを頭の上から左右を脇を切り裂くようにして外していった。そして少しずつカズミの身体が見えるようになった。
石膏の塊から助け出されたカズミはぐったりしていたが、「閉じ込められて疲れた。全身がじわじわと暑くて気持ち悪かった」と言って座り込んだ。「なんかねえ、変なシュミにでもはまったらどうするのという感じ。早くシャワーを浴びて帰りたい」とぐったりしていた。
カズミを閉じ込めていた石膏の塊の中の空洞に今度は粘土を塗りこんで、カズミ像の原型を作るそうだ。その原型を基にカズミをイメージした塑像を作るようだが、こっちは次の作業の段取りを考えていた。