機ぐるみの中身をどう設計すればいいんだ?
立体エンジニア研究会は、3Dスキャナーで読み取った者を元に三次元設計図を描くというもので、よくプラモデルの複製を行っている。ようはCADを趣味に活用しているだけの集団だ。彼らに表面の設計図をプログラミングしてもらおうとしたが、まさか中に人間が入るとはいえないので中空にしてほしいといったが、思わず「人間ぐらい」といってしまったのがまずかった。
俺は思案の末「女の子の実物大人形を持ってくるので、それを基にしてくれ」といって時間稼ぎをした。まさか、カズミに頼んで立体エンジニア研究会のオタクたちにボディラインをスキャンさせるわけにはいかなかった。手前味噌ではあるが、うちのカズミは「性格を知らないで」「血が繋がっていなかったら」という条件さえ合えば自分の彼女にしたいほど可愛い。そんな血に飢えた狼の群れに渡すわけにはいかなかった。
一層の事、カズミの体型に似たラ●ドー●を加工して渡そうと思いつめたが、それではカズミの体型に合わなくなってしまう。どうしようと悩んでいたときカズミが俺の部屋に入ってきた。それは望月に協力してほしいというものだった。
「望月君は今度、私をモデルにした強化プラスチックで裸婦像を作りたいそうよ。それで私の身体を石膏で型を取りたいと頼まれたんだ。そういえば機ぐるみをつくるのに私の身体の型が必要じゃないかと思ってね、材料費の一部をお兄ちゃんに出して欲しいと思うんだけど駄目かな?」とカズミはねだってきた。
そうだカズミの石膏の型を使えばいいのだと思った。妹を取ろうとしているのかもしれない望月の野郎に協力するのもシャクだが、背に腹は変えられない。協力することにした。