七夕【200文字小説】
今日は、七月七日。
織姫と彦星が出会う年に一度の日だ。
そんな日に私はお兄ちゃんとけんかした。
家を飛び出して、夢中で走り続けて……
気づけば右も左もわからない知らない町だった。
今考えれば、隣町ぐらいだったのだろうが、遠くに行った気がして不安だった。
「ゆう。帰るぞ」
子供のころ、七夕の記憶。
あの日、河川敷で泣いていた私の手を力強く引いた兄ちゃんは、確かに彦星に見えた。
お兄ちゃんと手をつないで帰った七夕の夜。
今日は七夕。
皆様は、どのような願いを短冊に託しましたか?




