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 ようやく今日の授業が終わった、思い返してみれば昼休みに涙子と話したことが頭から離れずにいた、そのせいか午後の授業も全く身が入らずに聞き流していた。

 様々な考えが頭をよぎっては消えていく、なぜ涙子は僕を知っていたのか、他の人間がなぜ『広田由美』という存在を無視するのか、なにより涙子だけはどうしてその存在を覚えていたのか。

 ぐるぐると疑問が頭の中を駆け巡る、その答えをこの放課後に知ることができるのだろうと言い聞かせている秦野。

 いつの間にか陽は西に傾き、校門から出ていく生徒が増えてくる、その中を探すとようやく昇降口に姿を現した涙子を見つけ、秦野は手を振る、それに気づいた涙子が駆け寄ってきた。


「先輩、お待たせしました、帰りましょう」

「そうだね」

 そう言って2人は校門を後にして歩き出すが、それ以降お互いに全く口を開かない、無言のまま歩き続ける。

「先輩、昼間のことですが……」

 T字路交差点に差し掛かったとき、ようやく涙子が口を開く。

「うん、どういうことなのかな?」

「まず一つ目の事ですけど、先輩と私は違うんです、ほかの人達とは」

「どうちがうのかな?」

「それは――――」

 そこで言葉を詰まらせる涙子、その表情には迷いが見える。

「やっぱり言えないのかな?」

「いえ、お話します、まず先輩は……奪う者なんです、そう……他人の生涯を奪う者、思い出してください、過去にも好きになった人がいたでしょう? その人たちがその後どうなったかを、そして先輩に対するその人たちの想いは……」

 そう言って涙子は歩くのをやめ俯いてしまう、秦野も立ち止まり言われたことを反芻しながら思い出していく。


 1人目は、8歳の時、近所に住んでいた女の子、その子が引っ越すことになり引っ越す前に告白し想いを伝えた、その子は向こうについてからお返事すると言い残し引っ越していったはずだ、その返事は未だにもらえていない、なぜなら……その次の日その子は交通事故に巻き込まれ亡くなっていたからだ。

 2人目は13歳の時、幼馴染の子でいつも一緒だった、生まれつき体が弱い子だったがこの頃には容態は安定しており外で遊べるようにもなっていた時期だったのを覚えている、彼女から告白を受けて付き合うことになっていた……けれども半月後彼女の容態が急に悪化し他界している。

 そして3人目、昨日の『広田由美』だ。

 想い伝え、その翌日に行方不明になっている……しかも存在していたことすら消し去られて。


 そう、秦野に好意を向けたもの、向けられたものは、全て他界または存在すら消え去っている。


「偶然だよね……」

 ようやく言葉を紡ぎ出す秦野、鼓動が激しくなり息遣いが荒くなる、立っていられなくなりその場にへたりこむ。

「いいえ、偶然じゃありません、そしてもう一つのなぜ私が先輩のことを知っているかということもお答えします、私はその伝わらなかった、そして伝えきれなかった想いを受け継ぐ者です」

 地面に涙が落ち濡らしてゆく、うつむいたまま涙子は泣いていた。

「どうすればいいのだろうね……」

 力なく秦野はつぶやく、泣きじゃくりながらも涙子は言葉を紡いでくる。

「先輩への想い、この叶わない想いを受け止める私もどうしたらいいんですか……」

 自然と2人は抱き合い、ただ泣きじゃくるしかなかった。





とりあえずここで一区切りといたします。

あとで読み返してみますが破綻してそうな予感です

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