表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

4

 涙子にズルズルと引きづられたまま、屋上にたどり着く秦野、既に昼休みもほぼ半分近く過ぎていた、屋上にいる人数はまばらで、昼寝をしている生徒などが見受けられるが、そんなのはお構いなしに涙子は秦野を引きずりながら進んでいく。

 やがて、校庭が見える端っこの方まで来ると涙子は手を離し振り返る。

「先輩! 座ってください!」

 レジャーシートが目の前に敷かれ、涙子が座り秦野に対しても座るように促す。

「ありがとう、それでどうして君は――――」

 秦野は聞こうとするが、それを遮ぎるように涙子は話してくる、明らかにさっきとは全然違う口調で。

「先輩、今日何か違和感を感じませんでしたか?」

「え? それってまさか――――」

「はい、『広田由美』先輩のことです」

 秦野は驚きを隠すことができなかった、クラスメイトすらいなくて当たり前の態度だったのに、面識があるか疑わしい涙子がその存在を知っている。

 しかも、違和感として感じ取っているのだ。


「どうして君がそれを?」

「実は、警察に届けたのは私なんです、そしてお昼に連絡すると言われていたんですが、一向に連絡がないんです」

「警察の人が忘れているんじゃないのかい?」

「そうかもしれないんですけど、何となく不安で」

 確かに言っていることの辻褄はあう、発見者だしなにか進展があれば連絡はよこすだろう、だけど今気にしたいことはそこじゃない、秦野は意を決して聞いてみる。

「どうして、僕が違和感を感じていると思った? それにずっと前から知っていたと言うけど、どうして知っていたんだい?」

 黙って下を向く涙子、声を絞り出すかのように答えを紡ぎ出す。

「すいません、今ここではダメなんです。放課後まで時間をもらえませんか? その時はきちんとお答えします。ただ生徒会の仕事もあるんで、少し待ってもらうことになるんですけどいいですか?」

 涙子は下を向いたままだが、秦野はその言葉から明確な意思を感じたようだ。

「分かったよ、じゃ放課後に校門前で」

「はい、分かりました先輩」

 そういって涙子は立ち上がり屋上の出入口へ向かっていく、それを追って秦野も屋上から立ち去った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ