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 今は8時10分、あのあと何事もなく学校につくことができた、昇降口の近くの購買でパンを買い教室に向かう、既に半分ほどの生徒が教室におり、様々な話題で歓談している。

 そんな中、彼は窓際の自分の席へと向かい腰を下ろした。

 斜め後ろの席をみると、やはり『広田由美』の姿はない、普段なら彼女はこの時間であれば登校しているはずなのにだ。

 もしかすると他の誰かがいない理由を知っているに違いないと思い、真後ろの女子生徒に聞いてみる。


「今日は、由美さんは休みなのかな?」

「え? だれそれ? 知らないよ、うちのクラスにそんな人いないでしょ、もしかして寝ぼけてるの?」

 どういうことだろう、いくらなんでも昨日までいた人間の存在を忘れることはないはずだ。

「僕の斜め後ろにいたと思ったけど?」

 女子生徒は目を白黒させながら、不思議そうな顔でこちらを見ている。

「斜め後ろって違うでしょ、そこは男子の席だし、もしかして熱でもあるんじゃ? 保健室でも行ってきたらいいよ」

 どうにも話が噛み合わない、女子生徒から返ってくる答えはまるで、初めからそのような人物など存在していないという感覚の返答。

「そっか、テスト勉強でちょっと寝不足だから勘違いしたのかもね」

 そう言ってその場を取り繕うのが精一杯だった。


 予鈴が鳴り、まもなくHRが始まる、みんなが席に着き始めると確かに僕の斜め後ろの席には男子生徒が腰を下ろした。

 おかしい、絶対におかしい、昨日までは間違いなく『広田由美』という女子生徒がその席に座っていたはずなのに、周りは全く意に介していない。

 HRが始まっていたが、先生の発する言葉は全て彼の耳には届いていなかった。


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