悪役令嬢の真骨頂
国を滅ぼす悪役令嬢シリーズ
https://ncode.syosetu.com/s1799k/
の5話目(完結編?)です。順番に読んでいただけるとうれしいです。
5話分をまとめた連載版も投稿しました。
「国を滅ぼす悪役令嬢」
https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/3109341/
なんかアクセス多い?と思ってぐぐったら他のかたの連載作品と
タイトルが一緒だ!と思って、変えてからよく見たら違うタイトル
だったんですけど(老眼)、タイトルコロコロ変えるのは
迷惑になりそうなので、元に戻すのはやめときます…。
投稿する前にぐぐる。肝に銘じます~~!
む。
「マチルダ様は、貴重な聖魔法の使い手だから、国王陛下も(以下略)」
ついに略されるようになったか。
さすがにね。巻き戻りのたびに聞かされる、このセリフは長いなあと思ってたんだ。
私は「そうかもしれませんわね」と微笑んで、自分の部屋に戻った。
ここは王立学園。私は公爵家令嬢のクラウディア。
さっきまで私とお茶をしていたのは、お友達のジェーン侯爵令嬢。
そして私は、王太子のアラン様と婚約している。
しかし、聖女としてマチルダ男爵令嬢が学園に転入してから、アラン様が彼女にかかりきりで、やきもきしている状態である。
そして実は私は、日本で生まれ育ち、この世界に転生してきた者であり、この世界は「日本で遊んだゲーム」と同じなので、知識があるのだ。
なので、聖女マチルダとアラン様の仲にはやきもきしてるけど、マチルダに文句を言うと、「聖女をいじめた」と断罪されることがわかってるので何も言えない。
だから他の方法で冷静になろうとしたが、ことごとく失敗して国を滅ぼしている。4回。
そして4回時間が巻き戻って、5回目の今に至るというわけだ。
しかし前回の魔王には悪いことしたなあ。私がよけいなことしなきゃ、毎日2個のコロッケパンで、幸せに過ごしたんだろうに。
まあでも何もしなくても数年後には攻めてくる予定なんだから、敵対が数年早まっただけだと思って勘弁してもらおう。
でも、よく考えたら不思議なのよね。
1回目の時には聖女がいなかった、だから国が滅んだ。
それはわかる。
でもさ、2回目以降には存在してるよね。なのになんで聖女は国を守れなかったのか。
たぶん、聖女がまだ能力を開花させてないからだよね。
魔王軍が攻めてくる予定の数年後には、聖女のレベルが上がってるから、なんとかなるってことだと思う。
ということは。
とっとと聖女が高レベルになれば、私が何をしようと、どんな展開で魔物が襲ってこようと、この国を助けられるってことじゃないかしら。
逆に言うと、低レベルのうちは、私が何をしようと国が滅ぶということ…。
そうか、そういうことか。
私はここに至ってやっと、自分の立場を理解した。
私は、私は…! 聖女をいびるために存在しているのだ!
それからの私は、マチルダに発破をかけることに専念した。
断罪も追放も覚悟の上だ。
ある日は、お友達らしき令嬢とおしゃべりしているマチルダに
「マチルダ様、ずいぶん楽しそうですけど、光魔法の訓練は終わりましたの?」
忘れ物をして取りに行こうとするマチルダに
「この国を支えるべき聖女だという自覚はおありなの?」
回復魔法を行使しているマチルダに
「アラン様がお優しいのは、あなたが光魔法の使い手だからよ? そんなレベルの回復しかできないようじゃ、アラン様のおそばにいる資格はなくってよ?」
魔力切れを起こして休んでいたマチルダに
「まあまあ、せっかくアラン様から直々に魔力の扱い方を教わっているのに、その程度なの? アラン様がお気の毒」
と、ねちねちと言い続けた。
そのたびにアラン様に
「そんなきつい言い方しかできないのか?マチルダ嬢がかわいそうだろう」
と非難されたが、罵倒は必要悪だ。
「いつも見下してくるこの女を見返すために、強くなってやる!」
と発奮させるために、踏みつけなくてはいけないのだ。
踏みつけるだけだと耐えられないかもしれないが、アラン様や他の上位貴族の子息たちが、慰め励ましてくれるから、彼女はきっと立ち上がれる。
みんながアメをあげるなら、私はムチをふるう。
お互いの役割を全うして、全力で聖女マチルダを育てるのだ。
マチルダ、私を憎みなさい。そして、私を見下すために、立派な聖女になって、この国を救ってちょうだい…!
という気持ちで言っているつもりだけど、アラン様と仲良くするマチルダを見るとむかつくので、ねちねち嫌味を言うのは正直楽しかった。
歴代の悪役令嬢たちも、こんな思いで聖女をいびっていたのかもしれないなあ、と感慨にふけりながら、卒業パーティーの日を迎えた。
この国を追放される覚悟はできている。
でも最後まで公爵令嬢として美しくありたいと思い、せいいっぱいのおしゃれをして、パーティー会場であるホールに向かった。
壇上の王太子アランが私を呼んだ。かたわらには聖女マチルダ。
断罪きたー。でもいいの、マチルダは立派に育ってくれた。
思い残すことはないわ。隣国で、平民として、筋肉つけたり腐った本を作ったり、自由に暮らすのも、いいと思うの。
私はすでに達観していたので、落ち着いてアラン様の言葉を待った。
「クラウディア公爵令嬢、この場で、君に確認しておきたい。君はここにいる聖女マチルダに、毎日のようにきつい言葉を浴びせていたな」
そう問われた私は、堂々と胸を張り、アラン様の目を見て
「はい」と答えた。
その途端、マチルダが顔をくしゃっと歪ませて泣き出し、
「あ…ありがとうございました…!」と言った。
え?
「わたし、わたし、レベル99になれました! こんなに早くカンストできたのは、クラウディア様のおかげです!」
え? え?
「クラウディア、私からも礼を言う」
参列していた国王陛下から、まさかのお言葉!
「誰もが聖女を宝物のように扱っていた時に、そなただけが聖女に厳しい言葉を投げかけた。聖女は宝だが、守るだけでは成長しない。それをわかっていて、聖女のために行動してくれた。本当にありがとう」
うっそまじで?
「はじめは、なんでこんなにマチルダ嬢に厳しくするんだろうと思っていた」
アラン様がぽつぽつと語りだした。
「恥ずかしいことに、もしかしたら私への嫉妬でそうしてるのかと思っていた」
ええ、そうなんですよ…嫉妬まるだしでしたよ…
「でも気づいたんだ。君がマチルダ嬢に厳しく言い始めてから、マチルダ嬢のレベルが格段に上がったことに。私がいくら指導しても、進まなかった魔力の制御も、一晩で見違えるようになった」
「クラウディア様に言われたことがくやしくて…徹夜でがんばりましたから…」
マチルダが恥ずかしそうに言う。
「それで…制御できたことを、クラウディア様に誇らしげに報告したら、クラウディア様は『できて当然のことをできたからって何だというの?』と…」
うっ! 覚えてるわそれ! だって~そんくらいでドヤ顔してるマチルダがむかついたから、つい~~~。
「その時、気づいたんです。このかたは、私の能力を、とても高く買ってくださってるんだと。私は、もっともっと力のある聖女になれると、信じてるんだと」
まあ、聖女いないと国が滅ぶしね…
「だから、がんばれました。本当にありがとうございました。聖女としてのお務めを、立派にできるように、これからもご指導ご鞭撻をお願いいたします」
お辞儀されてしまった。
「私も婚約者として誇らしい。これからもよろしく頼む」
アラン様…。
会場からわあっと歓声があがり、王太子にエスコートされた私は壇上に上がって、みんなからの拍手を受けた。
なにこれ…こんなことあっていいの…?
私、私は…悪役令嬢なのに…! こんな、うれしいことがあっていいの…???
私は、あふれてくる涙を止めることができなかった。
そんな私を、アラン様がそっと支えてくださったので、嬉しくてさらに泣いてしまうのであった。
こうして大団円を迎えた私の転生人生だが、この数年後、国は滅ぶのであった。
どーしても滅ぼしたかったので、また滅ぼしました。
その理由を思いついたら続きを書こうと思っています。




