表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ホットケーキは思いつかない

作者: 青木りよこ

「ホットケーキってどう思う?」


「好きやで」


「どれくらい?」


「まぁ、そこそこ」


「地球最後の日に食いたい?」


「嫌、それはないな」


「ないよなぁ?」


「うん」


「やっぱないわ、あの女、ほんまムカつく」


「森下さん?」


「昨日な、真由に地球最後の日何したいって聞いたんや」


「うん」


「そしたらあの女、ホットケーキ腹いっぱい食いたいとか抜かしよったんやで、ひどない?」


「何が?」


「俺という完璧な彼氏がおりながらホットケーキて」


「自分で言いなや、別にええやん、最後に食いたいもんてことやろ」


「そこに俺はおんの?」


「おるんちゃうの、知らんけど」


「ホットケーキに負けた男」


「そんな落ち込まんでも」


「なんやねん、小麦粉で膨らましたもんに負けるとか、有り得へんわ」


「卵も入っとるやろ」


「地球最後の日感ないやん、ホットケーキやで」


「馬鹿にしすぎやろ、美味いやん、お前も嫌いやないやろ?」


「嫌いやないけど、残りの人生でもう食わんでも後悔はないよ、死ぬ時思い出す食いもんではないやろ」


「まぁそうかもしれへんけど、そんな親の仇みたいに言うもんでもないやろ」


「アカン、もうプライドずたずたや」


「お前の聞き方が悪いやろ、何がしたいやなくて、誰といたいって聞いたら良かったやん」


「俺やなかったら立ち直れへんやん」


「どんだけ自信なくしとんねん」


「即座に思いつく?すぐ言うたで。ホットケーキ食いたいって、十七年間これに決めてましたみたいに」


「生まれた時からなんや」


「前から薄情やと思っとったわ」


「めんどくさいな、お前」


「俺なんて四六時中真由のこと考えとるのに、あいつは多分ホットケーキのこと考えとるねん、俺かわいそう。気持ち釣り合わんやん、シーソーやったらガバガバやで、一生上がらんやん」


「そんなわけないやん」


「シュークリームでええやん、焼かんでええんやし」


「そんな問題?」


「どら焼き、バームクーヘン」


「なんやねん」


「焼かんでも食える小麦粉使ったもん」


「もう他のこと考ええや」


「俺は生きとる限りずっと昨日の真由を思い出すわけやで、二人が結婚して子供産まれて爺さんになってもことあるごとに思い出すねん。ホットケーキに敗北した高二の冬を」


「知らんがな、結婚すんの確定なんやな、前向きやなお前」


「当たり前やん、他の男なんかに絶対やらんよ、小麦粉の塊には負けたけど」


「ホットケーキ性別ないからええんちゃう」


「それもそやね」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ