まるで身に覚えのない荷物が届いたんですよ!これって、詐欺だよね?
ピンポーン♪
GWに入って早々。朝 玄関チャイムが鳴り、反射的に身構えた。曜日と時間からいって、大抵なんか眉唾の勧誘だったり怪しい輩だったりが多いからだ。最近取り付けた玄関モニターを見ると、そこに映ってるのは作業着を着て小さな箱を手に持った宅配業者さん、だった。
あれ、荷物?
最近ネットで買い物してない、身に覚え……ないなあ。家族のモノ届くとかも、聞いてないしなあ。でもまた車とかPCのパーツとか、かな?なんて思いながら、とりあえず受け取りに玄関へ向かった。
扉を開け、お兄さんに差し出されたのは小さ目な軽い段ボール箱。チラッと確認した宛て名は、あれ、わたしだ。わたし?
あっ!そっか1カ月くらい前に予約注文してたやつ?そういえばGWごろに発送って書いてあったな、あれだ!やったあ!!ヽ(^o^)丿
思い当たって確信してポン!ハンコをつき「ありがとう、どうもご苦労様です!」と、にこにこウキウキで受け取った。そして足取り軽く階段を駆け上がり、部屋に戻るなり立ったまま「ぺりぺりぺりっ」段ボール、オープン!
透明な梱包テープを送り状と一緒に剥がしとり、ワクワクしながら蓋を開くとそこにあったのは。
まずは薄茶色した緩衝材の紙。がさっと丸め、いかにも「突っ込みました」的。おそらく大部分が空洞と思われる箱の隙間を埋めるように入れられており、そのボリューム感にちょっと「??」となる。
あれ?なんか、思ってたのとカサが違う…?
不審に思いつつその紙を取り出すとそこには。ちょっとおしゃれな包み紙で半分だけがくるまれた、てのひらサイズの透明なプラケースが顔を出した。その化粧紙の隙間から見える内容物は、メタリックピンクでキラキラした塊の「なにか」だった。
へ?なにこれ?
外から見ただけではその塊が一体何なのかわからないが、印象としては「フレグランス瓶」みたいな感じ。え、どうしてそんなもんがここに?思い当たる節が一切、なかった。
ナゾ感がMaxになった。
段ボールにプラケースを戻すと、慌てて剥がしたテープにくっついて破れかけシワシワになった送り状を、ちゃんと広げて凝視した。
えっと、宛名は間違いなく私……。
送り主は…んんん?「だれだこれ?」
知らない名前、知らない住所。発送元は全く知らない法人名。見たことも聞いたこともない通販会社から送付されて来た荷物だった。
透明プラケースをもう一度、段ボールから取り出してみる。そして傷をつけないように慎重にケースのふたを開けてよく見てみると、どうやらフレグランスではなくコスメグッズだ。マウスみたいな形をした、携帯タイプのヘアブラシらしかった。モチロン、注文した覚えなど微塵もない。
「えええええ…」やられたな、これは‥‥(~_~;)
怪しい通販サイトの送り付け商法確定だよ…。やばいな、クレカの利用履歴確認しなきゃ。
送り主を確認せずに勘違いして即受け取っちゃったの失敗だったなあ、受け取り拒否すればよかった!うっかりだったなあ~…。
個人情報大丈夫かなあ、手続き超めんどくさそう…後悔や不安や焦りの念が、あれやこれや頭の中をぐるぐる駆け巡る。
「なんかほかに、詳しい情報はないかな…」
同梱されていた商品案内のリーフレット類を、不安に駆られつつ目を皿にして読み込む。
んーどうやら私が購入した体の商品ではないようだ。送り主が手配し、私宛に送ってよこしたものらしいぞ。ってことは、クレカは大丈夫かな…。
でも、といってこのショップに「いりません」とか「買った覚えがありません」なんて電話とかQRコード読み込みとかで連絡したりすんのは絶対にNGだよな、ひっかけだよな。そもそもそれが目的の送り付け商法だよな!?
やばいやばい。
じゃあ、やっぱ受け取り拒否だ。すぐに配送センターに電話して引き取ってもらおう。
そう決心して電話機を手に取り、送り状に記載されている0120で始まる配送センター代表番号を押す。コール1,2,3,…「お電話ありがとうございますこちらは〇〇急便配送センター自動受付でございます、案内に従ってボタンを選択してください…」
え、自動受付か。
受話器から聴こえてくる長~い自動音声の抑揚ないトークに、ちょっと気持ちが挫けた。商品の問い合わせじゃないし、一回受け取った品の返品手続きまで辿り着くのにどんだけかかるんじゃ、それより一番近い営業所に電話して、すぐに引き取ってもらう方がはやいよな。
営業所を調べ直して、掛け直そ。そう思ってその電話はそれ以上進まずに一旦、切った。
改めて添付のリーフレットと送り状をしげしげと眺める。
「だれだよ、この〇〇A美(送り主・仮名)って人は……?」通販会社の代表者、だろうなあ。
どっかから購入履歴とかなんか個人情報を不正入手して送りつけて来たんだな。どこから情報漏れてるか今日日わかったもんじゃないしな。ほんとやだなあ、困ったもんだ…。
とか考えながら、自動印字の送り状に隅々まで目を走らす。とても文字が薄くて小さく、拡大鏡でも使わないとよく見えないやってくらいに、読みづらい。
何度も行ったり来たり眺めるうちに、あれ?ちがった。
送り主の名前(ひらがな2文字)を読み違えていたことに、気付いた。
「〇〇Aみ」じゃなくて「〇〇みA」だったわ…。住所、××市…。
あれ?「〇〇みA」?××市の「〇〇みA」?
ん?
んんん?
あっ!!
これって「彼女」じゃん!!
去年入籍したばかりの、次男のお嫁さんの名前だわ!!!(;'∀')
××市って彼女の実家あるとこじゃん!そういえばGWに帰省するって言ってたな、帰省中に手配して送ったってことか!?
だから送り主の住所と名前が、余計リンクしなくて意味不明だったのだ。
とはいえ、じゃなんでいま、彼女からこれが?
貰う理由が、わからない。実家からのご挨拶?なんの?なんかのお返しとか?
いや別に、何か特段イベント(誕生日とか祝い事とか)があったわけでもないし……イベント?
あっ、イベント!!
あったあった、いやこれからあるわ(笑)!!5月第2週「母の日」あるじゃん!そのギフトって事かい?
( ̄▽ ̄;)まじ?そゆこと?でも、まだあと10日あるけど早くないか?
でも…きっとそーゆーことだよね、たぶんそうだよね?
えっやだ、送り返さなくて、良かったあ…!(;'∀')
めっちゃ危なかった。もしも気付かないままソッコー返送しちゃってたら、それこそヤバかったじゃん。配送センターの受付案内、めんどくさくて良かった…(笑)
その晩。
私「荷物届いたよ!なんかありがとうね、あれって母の日のギフトってことで受け取っていいのかな?」「おしゃれなプレゼントありがとねー、うれしいよ!でも正直言うとさ、最初はどっか怪しいショップの送り付け商法かと思ったんよ。慌てて送り返さなくて良かったよー、大事に使わせて貰うねー!」
次男「えっマジ?やっちまったな、ごめん……」
「ところであれさ、ぷーちゃんに使ってないよね?
一応、人間用なんだけど 笑」
「ライブとか旅行とかにさ、携帯タイプだから持ってってくれたらいいかなって思ってさあ」
お嫁さん「スミマセン…(;´Д`)、一緒に選んだんですけど、配送日指定し忘れちゃって…でもこんなに早く届いちゃうと思ってなくて。届く前にお手紙書いて送ろうって思ってたんです…(;´Д`)」
息子もお嫁さんも平謝り、だった。全くふたり揃って、うっかりだなあ!
まあでも、あの二人ならさもありなん。どっちもほんわか天然マイペース、友達思い家族思いの似たもの夫婦だ。
ってことで、今回はギリセーフにて一件落着。笑い話で済んでくれてよかったよかった……ホントに良かったわ。
よく耳にする送り付け商法の標的になったんだと思ったその瞬間、ざーっと背筋に冷たいものが流れ、焦燥と不安に包まれた一日だったのも確かだった。
ネット社会のリスク。セキュリティ管理とか、対策や万一の対応とか。自分がまさに当事者だと思ってたわずかな間ではあったけど、物凄くいろんな事を考えた。
そういえば先日のニュースで卒業アルバムの制作を請け負ってる複数の印刷会社がウィルス被害に遭って、大量の個人情報漏洩が起きたと聞いた事も、ふっと思い出した。
そういう情報売買によって、各方面で様々な大量の「なりすまし」等が作られたり、前述したような送り付け詐欺とか勧誘とかに簡単に悪用されてしまうんだな、なんてことを自分事として再認識したのだった。
とはいえ。
二人共、ありがとうね。次男結婚後初めてもらった記念すべき母の日ギフトである。正直、旅行に持っていくにはちょい嵩張るけど頭皮マッサージも出来るらしいオシャレブラシ(自分じゃ絶対に買わないやつ 笑)。
飾ってそのキラキラを有難く楽しみつつこの教訓も思い出しつつ、大切に使おうと思う。