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「参ったな・・・・・・。うまくいくと思ってたんだけどなぁ」

 佐久間は、ため息混じりにそう話した。

「掃除のおばちゃん、本当におせっかいなんだから」

「他人の優しさを、粗末に扱ってはいけません」

 佐久間は、天を仰いだ。うまくいくと思ったのに、どこで失敗してしまったのだろう。

「佐久間さん。どうして南さんを・・・・・・」

 野近がそう話しかけてきた。

「それは、些細なことですよ。鬱陶しかったんです、あいつが。新入社員のくせして、周りに無礼な態度をとって。それが気に食わなかったんです。理由はそれだけです。でも今思えば、そんなことで取り返しのつかないことをしてしまいましたね・・・・・・。ほんと、馬鹿だなぁ」

 野近は黙って、佐久間の話を聞いていた。

「野近さん。煙草、良いですか」

 佐久間は野近に聞いた。野近は、黙って頷いた。佐久間はポケットから煙草を1本取り出し、口にくわえた。ライターで火をつけ、一口吸った。

「野近さん。どうして私が犯人だと思ったんです」

「それはですね・・・・・・。私が最初に事件現場の前の道で話しかけた時です。外はこんなに寒いのに、あなたは少し薄着でした。そこでおかしいなと思いました。そして、私は人が倒れているとだけ言ったのに、あなたは死んでいるのは誰か、と尋ねました。あなたは、人がもう死んでいることを知っていたのですね」

 佐久間は思った。この野近という男は、大人しそうな見た目と違って、なんと鋭い洞察力の持ち主なのだろうと。

「まいったな・・・・・・。初めから、私はすでにミスを犯してしまっていたのですね。完敗です」

「はい」

 佐久間は、野近に案内されるままに、外へ出た。外の雨は、いつの間にか雪に変わっていた。遠くの方に光るイルミネーションが、空から降る雪を照らしていた。







この事件は創作であり、野近和夫は架空の刑事です。








お読みくださり、ありがとうございます。


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