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証拠



「これに見覚えはありませんか」

 佐久間は黙って、目線を下に向けた。野近は佐久間の表情を確認し、話を続けた。

「そうなんです。掃除のおばちゃんが、男性の更衣室で雨ざらしだった黒いロングコートを発見し、中に干してあげていたんです。あなたの黒いコートをね。コートが外に干されていることに気づいたのは、更衣室の前のバケツが倒れる音に気づいて、念のために更衣室の中を調べた時のようです。犯人がこの黒いコートを更衣室の窓から外に干し、更衣室を出る時にバケツを蹴飛ばしてしまった直後ということです。ということは、犯人がこの黒いコートを雨の中に干してすぐということになります。つまり、この黒いコートはほとんど雨に濡れることはなかったということです」

 佐久間は、何かに気づいた様子で、口をつぐんだ。

「その黒いコートを鑑識に出すと、全てが分かるんです。おそらく、そのコートの前面に、南さんの血がついているはずです。ついでに、このコートの持ち主についても調べて確認してもらいましょうか。髪の毛の1本ぐらいは出てくるでしょうから」

 野近がそう佐久間に話した。佐久間はしばらくの間、黙っていた。そして、静かに応えた。

「その必要は無いですよ」

「それは、なぜですか」

「それは・・・・・・。そのコートは、私のものだからです」





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