表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/43

現地住民(アーティファクト)その1

気に入っていただけましたら、ページ上か下の「ブックマークに追加」や、ページ下部にて「ポイントを入れて作者を応援しましょう!」とある「☆☆☆☆☆」のマークにて、評価をいただけると幸いです。

 私は、やっと声の主を捜し当てたところだった。

『俺はすげー道具なんだ――アーティファクト。名は『建築王のハンマー』という』

 ワーオ。

 まさか、ハンマーがしゃべっているなんてなあ。

「で、なぜハンマー……あなたがこんなところにいるの?」

『おまえの中から出てきた』

 彼は続ける。

『異界から来たんだろう? 今までの経験上、『日本』という名の場所なことが多いようだ』

「! そこですね元いた場所はハイッ」

 ……ってあれ?

 今までの、ってことは私だけじゃないみたい。

 さては、これは重要なポイントだな?

『俺は、そんな異世界転生者に与えられる贈り物の一種だ。手っ取り早くいうと――武器とか道具とか、モノの形を取っているなら『アーティファクト』とか『アイテム』とか言われている。見えない能力なら『スキル』らしい。誰が決めたんだかしらんが』

「そうなってるんですね……」

『アーティファクトとアイテム、2つの区別はあいまいだ。が、誰が見てもスゲエものはアーティファクト、そう見えないものはアイテムって傾向がある。まあ、スキルと違ってまわりにも見えるから、呼び名も、細分化されたんだろ』

 ここに来て、何が何やらだったので、ありがたい。

 たすかる。

 私は話しながら、歩きまわった。

「このあたりにある木って、材木向きですか?」

『ああ。ここにあるのは「クノリ」っていう木が多い。枝も取りやすいから加工も簡単だ。向いてるよ」

「な、なんと!」

『上へ上へと伸びて葉を付けるのは普通なんだが、冬になってくると――枝をひとりでに折り、幹の表面に貼り付ける。そして新たな枝を裏から伸ばし、葉とつなげちまうんだ』

「ほへー」

『そうやって、湖や雪の地面の反射による日光を取りいれるらしい。普通の木は上へばかり葉を伸ばそうとするが、こいつは側面の光を拾いあげるんだ。ただ、それゆえに、育っちまうと幹の中に葉の残骸が入りこんでくるんで、若いうちに切らないと使えない』

 なんと。

 聞いたことない性質の木だな。

 だから間伐なしの密集した森でありながら、背丈も幹の太さもあるのだろうか。

『服を着るみたいに見えるから「装いのっぽ」ってあだ名がある。それだけじゃないぞ。冬に近づくと、ぱき、って音が頭上から聞こえる。枝を折ってる時の音だ。それで、何も知らない獣や鳥がたまに落ちてくる。だから、「リス落とし」の名も』

「へえー……」

 森は、道が見つからないので、人の身だと歩き回れる気はしない。が、今の私は人ではない。

 あたりは見た事のない花もある。青くて、花びらの形は丸っこい。

 きのこもある。カサは白くて、赤い斑点がある。

(プラスチックごみは無い)

 あれは気分の悪いものだが、まさしく人の文明に近いという証拠ではある。『私が知っている』人の文明の、だ。

 本当に、この地は……。

 いや。『世界』は……。

 天国ではなくて、そう、なのか。

『ここは、この世界では、旧・人魔境界という場所だ』

「……面妖なネーミングですね?」

『まわり360度、ぜんぶ『人領じんりょう』、つまり人間とか獣人とかエルフとかの領土に囲まれている。地理上ではな。ただ、魔王領――つまり魔族たちのいる領土に通じている転移陣が、あるとされる』

「???」

 ――転移陣。

「転移ってのは、やっぱり、あの?」

『手っ取り早く言えば、ワープ……らしい』

「は、はあ……」

ここまで読んでいただき、ありがとうございます! この下部にある「☆☆☆☆☆」のマークにて、評価をいただけると幸いです。

SNS、Discord等での共有もしていただけると、助けとなります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ