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愛華が出したヒントはお寺。

 練習試合は愛華も応援に来てくれて気分も上々、オレはヒット2本にフォアボールで全打席出塁、ショートの守備でもゲッツーを決め4-2の勝利を収めた。


 ミーティングの後解散で、愛華に一応「応援ありがとう」と言おうと観客席に行ったら本人はもう帰ってしまっていて、親父と愛華のおばさんがいた。


 親父の車に乗ってきたんだろう、それはいいにしても。


「変な取り合わせじゃない?」


 オレは応援のお礼を言うより先に疑問を投げかけてしまった。


「あらそんなことないわよ」

 愛華のおばさんは屈託がない。

「野球は片桐さんと私じゃなくちゃ。スタンフォード大学散々応援したもの」


「あ、え? おばさんもアメリカ行ってた?」


「私はちょっとだけね」


 親父が何年かスタンフォード大学ってところで数学やってたのは知ってたけど。


「この人に、そろそろ日本に帰って谷崎と結婚しなってススメたのがお父さんだよ」


 オレの親父は愛華のおばさんの頭を指さしながら楽しそうに笑った。



 ―◇ー


 月曜日学校へ行くと、徳田が朝っぱらから憔悴した顔で近づいてきた。


「昨日塾で模試があって……、谷崎さんに会えたからあの謎のヒントをもらったんだけど、よっぽどわからなくて……」


「まずはおはようだろ? でもオレんとこくんなよ」


 しかめ面しても徳田は離れていかない。


「片桐君ってただの幼馴染なんだろう? だったらヒントのヒントくれてもいいじゃん」


 図々しい。『ただの幼馴染』だと?


「じゃ見せてみろよ」


 前回と同じ、愛華の手帳の紙切れに、「建長寺、円覚寺、寿福寺、浄智寺、浄妙寺」とあった。寺、の名前。


 いくらオレでもこれは予想外、何だ、これ?


 ハ・イ・タ・ッ・チは5文字。その中でイだけが母音で仲間外れ。

 今度は寺の名前が5つ。その中で二つ目の円覚寺だけ母音で始まる。

 パターンが同じ。


 文字が一対一対応してんのか? ハ→け、イ→え、タ→じゅ、ッ→じょう、チ→じょう。いや違う、頭文字か?

 H→K、母音→母音、T→J、T→J、T→J。

 後ろ3つはタ行とジャ行、同じ子音だってわかっただけ。


 仲間外れがどれかわからん。じゃ、考えすぎか。


 そこへ徳田の声が聞こえてくる。


「これ、鎌倉のほうのお寺だよね? 円覚寺って座禅とかする……」


「そもさん、せっぱ、考えたら負けの禅問答か。アイツ本気でごまかしにかかってんのかな?」


「アイツって愛華さん?」


 自分の考えに浸りかけたところに名前が耳に飛び込んできた。


 誰が愛華を愛華と呼んでいいって言ったんだ?


 ムッとして急に興味が失せた。


「シャーロックホームズだな。情報量が足りない時に考えるもんじゃないみたいなこと言ってた。もっとヒントもらってこいよ。じゃな」


 自分の教室に入り、どっかりと席に着いた。


 身体が重いのは試合翌日の筋肉痛のせいじゃない。

 オレには愛華の謎が解けない。


 アイツの好きな男なら解けるって言いやがった。

 そして解いた男が愛華と付き合う。酷くないか、それ。


 授業にはてんで身が入らなかった。


 親からの遺伝か、幸いなことに数学は苦労せずでき、英語はヒアリングだけ得意で、他の暗記科目は眠いばかり。


 愛華はオールラウンダーなんだよな、全科目点数が取れる。

 行ってる私立はお嬢さん学校である以上に進学校、オレより知識があるのは確かだ。


 暗号は作った相手のレベルに自分を置いて解く、こう言ったのはうちの親父だったか、愛華のおじさんだっただろうか?


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― 新着の感想 ―
[良い点] んー。分かんねーぞ!! 分かんねーぞぉっ!! ハナから、すみいちろは諦めて。 謎解きよりも、話の筋を追ってる~♡♪ あー。愛華ちゃんと、付き合えねーな。すみいちろは。 んー。陸さん、IQ高…
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