お嬢様との出会い
副長レオンネ目線
私の名前はレオンネ・レブレ。
今はガイブ辺境伯の一人娘である、マリア・ガイブ様の護衛の任を受けている。
「はぁー。」
「どうかなさいましたか?マリア様」
マリア様は最近ため息が多い気がする。
何か問題があるのだろうか?
「いえ、なんでもないわ。
ただお父様と一緒に屋敷に帰れると思っていたから、少し残念なだけよ。」
少し残念という割には、ひどく落ち込んでいる。
最初会った時は、警戒されていて感情をあまり表に出さなかった。少し警戒が解かれたようで何よりだ。
「あと1ヶ月の辛抱です。その後は辺境伯様も一年は屋敷で仕事をするそうです。」
「そうよね、それまでしっかりしなきゃ」
先ほどまでとは違い、少し元気になってよかった。
マリア様はまだ5歳。
辛いこともあると思うが、私ができるだけ力になれるように頑張ろう。
「レオンネ副長、休憩所が少し先にありますので、野営地はそちらになります。」
「分かった。」
野営か…
マリア様には辛いと思うが耐えてもらうしかなるまい。
「マリア様、野営になってしまいますが身体は大丈夫でございますか?」
「ええ、馬車に乗っていますもの。これぐらいは大丈夫ですわ。
それよりレオンネ、休憩所って何ですか?」
「休憩所は行商人や旅人、巡回の騎士などが野営をする際に使用する場所です。魔物への対策として、簡単な柵に覆われています。」
「なるほど、ありがとうレオンネ。」
「レオンネ副長、休憩所に行商人と思われる人とその護衛がおり、隊長殿が調査のため向かわれました。」
「分かった。私も向かおう。マリア様はい少し待っていてください。」
「分かりました。」
休憩所に行商人がいるのはおかしくない。ただ、ここは魔の森の近くで行商人がここを通るのは少しおかしい気がする。
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主人公キース目線
日課の気絶は完了っと。
しかし、馬車の床裏に入れられているから、何時なのかわからない。光があまり入っていないことから夕方かな?
まぁいいか。
おや?
つい癖で「気配察知」を使ったら知らない気配を沢山感じた。しかも2人、気配がすごい人がいる。
よし、こんな時は「聞き耳」を発動っと。昨日レベルが上がり30mまではよく聞こえる。
「私は第四騎士団、団長コーネフだ。荷物に怪しいものがないか調べさせてもらう。構わないな?」
「え、ええ」
気配がすごい人のうち1人はコーネフという人だそうだ。団長とか言ったいたから相当強そうだ。
行商人の人も怖気付いてるし。
でも、いいのか調べてさせて?俺いるぞ。この声が出せない猿轡をつけているけど、俺が暴れたらバレるぞ。
そのようなことが思いついたのか、行商人が慌て始めた。
馬車の中にもう1人のすごい気配の人が入ってきた。
「レオンネ副長?
何かありました?」
「いや、特にないが一応詳しくみよう。」
ほうほう。
この人は副長かどうりで強いわけだ。
これは助けを求めた方がいい気がする。
手や足枷を、馬車に押し当てアピールする。
コン、コン、ドコ、ドコ
「おい、音が聞こえる。床裏外すぞ。」
床裏が外され目の前には銀髪の美人な姉ちゃんと目が合った。
この人がレオンネ副長って呼ばれた人だと思う。
「ふむ。」
その瞬間、背筋が凍った。
目の前から放たれる殺気で意識が飛びそうになる。
「あの行商人の護衛を全員殺せ。
行商人は捕えろ。」
それからはすぐだった。レオンネさんに丁寧に外に出された時にはもう、首がない護衛だった死体と、縛られている行商人の姿があった。
「猿轡と足枷を外そう。少しじっとしといてくれ。」
「おいレオンネ、捕らえたが何を見つけた?」
筋骨隆々の大男がレオンネさんに話しかけていた。年は30前後で身長190cmはありそうなゴツい体。スキンヘッドで目力だけでちびりそうだ。
(この気配は隊長って呼ばれていた人だ。気配がすごく強い。)
「この子供が床裏にいた。声が出なくなる魔道具をつけてだ。」
「そうか。
おい坊主、名前と年齢は?」
「キースです。3歳です。2人とも助けていただきありがとうございました。」
「なーに構わない。これが仕事だ。
俺の名前はコーネフだ。この隊の団長をしている。」
「大丈夫だ。私の名前はレオンネ。副長をしている。辛いと思うが、少し話を聞かせてくれ。」
「はい。大丈夫です。」
「よし、この坊主は問題ないな。
レオンネ、行商人の口を割らせてくる。」
コーネフさんは行商人を連れてどっかに行った。
「よし、キースくん ご飯を一緒に食べながら聞かせてくれ。」
おおー、ご飯を食べれるのか。
「ねえ、レオンネその子は誰?」
その声の方に振り向くと、そこには青髪に青目の、いかにもなお嬢様が立っていた。
「マリア様、その子供は奴隷として売られそうになっていた所を保護しました。」
「そう、奴隷…
あなたの名前は?」
「キースといいます。」
「いい名前ね。私の名前はマリア・ガイブ。よろしくね。」
この出会いが俺の人生を変えた。