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2.違和感と直観

何でここまで切羽詰まったような感情にさせられるのか、自分でも分からない。ヨルに会いたいから今まで探していたし、無事を確認したい気持ちは今でももちろんある。でも、この人に会って話しているうちに、もっと大きな感情に呑まれる感覚で「会いたい」ということばかりが心を占めていく。不思議だった。ヨルのことを思い浮かべているのに、目の前の彼がオーバーラップする。ヨルと彼が、同じ存在のように感じる。そんなはずはないと分かっているのに。でも、道の先に彼を見つけてその姿にヨルを思い起こした時よりももっと実感に近い、彼とヨルが重なる感覚。

ぼおっとしている内に、いつの間にか手を取られていた。見た目から想像するよりも高い体温。私も体温は高い方で手先が冷えていることはほとんどないけれど、触れた場所を温かく感じるくらいだから相当だと思う。初対面の相手にしては距離が近すぎる事にさして嫌悪感が無いのは、ヨルと重ねて見ているからだろう。こちらが気付かないくらい何気ない風に尻尾でスキンシップを図ってきた時のヨルが思い浮かんだ。

そういえば、どこに向かっているのだろう。手を引く彼の後に付いて行っているが、大人しく連れて行かれる自分に疑問が浮かんで我に返る。彼の名前を呼ぼうとして、まだお互いの自己紹介をしていないことに気が付いた。


「あの、私は山中です。山中夕美。あなたは……」

「里崎ミツル。ミツルは満月の”満“です。だから、”月“と合わせると”満月“」


振り向いて、私の横に並びかけながら答える。最初に見ていた平坦な表情が嘘のように、その顔にはニコニコと人懐っこい笑みを浮かべていた。ついさっきまでとはずいぶん印象が違うが、その顔を見ていると懐かれていると再確認したような感覚に陥る。きっと警戒するような無感情な顔も、打ち解けた様なにこやかな表情も、彼の素直な感情表現なのだろう。私とヨルを会わせることに浮かれているように見えるのは、少し行き過ぎた思い込みだろうか。

満くんは二十歳の専門学校生で、私がさっき通り過ぎて来た、駅に近い界隈のマンションに住んでいるという。ヨルを保護する前から猫を一匹飼っていて、当時その子はまだ子猫だったから、先住猫が居るからと言ってヨルの保護に迷うことは無かったそうだ。私が聞くよりも先に、そんなことを彼の方から色々と話してくれる。だからと言って、こちらのことを聞いてくる風でもなく、私のことにはあまり関心が無いのかもしれない。そう感じるくらい一方的な話しぶりだった。そういえば、ヨルのことを確認してきた時もかなり一方的だったことを思い出す。その様子は「切羽詰まっている」「鬼気迫る」というのが正しいような気もするけれど、いずれにしても、私の反応や私自身への興味は特にないのだろう。彼の態度からは一貫してそう感じられた。

だからだろうか。知らない男性の部屋に行くことに、大して危機感を覚えないのは。話の中で彼が独り暮らしであることも分かったし、ヨルを保護する以前から部屋に他人を入れたことが無いとも言っていた。話しながら歩いているうちに部屋の前に着いていて、そこに到ってようやく、このまま部屋に上がってもいいものか逡巡していた。


「夕美さん、どうかしました?」


私の様子を窺うように、首を傾げて訝し気な表情を浮かべた満くん。足を止めて動かない私に、半歩分くらい身を寄せてくる。マンションのエントランスで一度離れた手は今、それまでよりもがっちりと掴まれていた。まるで逃がさないと言うかのように。だからこそ、今になって危機感のようなものを感じているのだが。もちろんヨルに会いたい気持ちはある。ヨルに関することで満くんの言葉に嘘はないということも、ただの直観だが信じている。でも、何かは分からないが、焦燥のような、このまま進んだらもう戻れないような。───尻込みするような不安が、心の奥底でゆらゆらと漂っている。

自分でも少しだけ表情が強張っているのが分かったけれど、じっと見つめてくる彼に一応笑いかける。それは場を和ませるためだったけれど、逆に私の態度に何か感じ取ったらしい満くんの手に、更に力が籠るのが分かった。


「ごめんなさい、緊張してるみたい」

「…………」


私の言い訳を聞いているのか、いないのか。無反応、無言で、少しだけ高い位置から私の目を見つめてくる。ヨルを保護してしばらくの間、こんな風に警戒しつつじっと観察されていたことが脳裏を過る。私の言葉よりも、表情や目線から考えていることを読み取ろうとしているのだろう。本当に、満くんの行動だとか仕草だとかが、いちいち動物のようだ。本音と建て前を使い分ける人間の傍にいるよりも分かりやすくて、一緒にいて気が楽な面もあるけれど、今は裏が無くて分かりすぎる事を少しだけ居心地悪く感じる。

ふと、満くんの部屋の中から猫の鳴き声が聞こえてくる。咄嗟に扉の方を向いたけれど、ヨルの鳴き声をあまり聞いたことが無い私には、それがヨルのものなのか先住猫のものなのか判断できない。


「翡翠です。いつも玄関で待ってるから、俺の声が聞こえたのかも」


そう言うと、何気なく取っ手を握ってそのまま扉を開ける満くん。さっきまでの私の躊躇いなんて関係ないかの様に、すんなりと部屋に入る流れになってしまった。「どうぞ」と扉を押さえてくれている彼に今更帰るとも言い出せなくて、前を通って玄関に足を踏み入れる。

最初に目に入ったのは、シルバータビーの緑色の瞳の猫。これでもまだ小さい方なのだろうが、長毛でふわふわとした毛並みと一歳未満とは思えないしっかりとした体格。満くんが話していた先住猫、メインクーンの“翡翠”に違いない。初めて会う私に警戒することもなく、尻尾を立てて体をゆったりと壁の角に擦り付けている。高く細い鳴き声に応えて満くんが「ただいま」と顔周りを撫でてやると、目を細めて身を委ねているのが分かる。よほど好かれているし、信頼されているのだろう。翡翠の仕草からもそれが窺えた。


「たぶん月はリビングにいると思います。いつもキャットウォークの上で寝てるんで」


翡翠を構ってやりながら、私の方に振り返って言う。表情はやっぱりにこやかで、満くんが翡翠を好いているのが伝わってくる。リビングらしき部屋に続く廊下の扉は閉まっていて、中の様子は見えないけれど、何かが動く気配はなく、満くんの言う通りヨルは寝ているのだろう。もしくは起きていて様子を窺っているだけの可能性の方が高い気がする。


「私の家にいた時と同じ、かも……」


我が家にはキャットウォークを付けるほどのスペースが無かったから、棚の上で過ごしていることがほとんどだったけれど、基本的に高い場所で安全を確保しているという意味では一緒なのだろう。まあ、大抵の猫は高い場所を好むと言うし、ヨルに限った性質ではないと思うが。野良だったヨルにとっては、今でも高い所が安心できる居場所なのかもしれない。

ここにヨルが居る。そんな逸る気持ちを抑えて、足元の翡翠とともに満くんの後に付いて行くと、ふと彼が足を止めて振り返った。


「夕美さん、俺は隣の部屋で待ってます。何かあれば声を掛けて下さい」

「え、でも……」

「俺が居たら、邪魔じゃないですか?」


そんな風に考えてはいなかった。そもそもここは満くんの部屋だし、今のヨルの保護者であるのも満くんだ。知らない人間を部屋に一人にすることに、逆に満くんこそ抵抗は無いのだろうか。それに───


「……私のこと、覚えてないかもしれないでしょう?満くんが居た方がヨル、……月も安心すると思う」


私がヨルと一緒に暮らしていたのは、三か月程の短い時間だった。当時のヨルが子猫だったこと、それに満くんとの生活の方が長い事を考えても、私を覚えているとは思えない。翡翠と満くんの関係くらい懐いていたのなら可能性を信じられたけれど、私とヨルの間にあった距離は、慣れはあっても信頼と言うほどではなかったように思う。ヨルに会いたいというのは私の一方的な想いで、ここに居るのが本当にヨルであるなら、安全な場所で暮らせていることさえ確認できれば良いし、満くんから引き取ろうとまでは考えていない。ヨルと一緒に過ごした時間が恋しくはあるけれど、今はもう慣れたであろうこの場所から、私の気持ちだけで引き離すつもりはないのだ。だから私としては、一目見て、ここに居る“月”が“ヨル”であることさえ確認できれば良い。


「絶対、覚えてると思うけど……、分かりました」


何故か、私の言葉に不満げな満くん。渋々という感じで、リビングの戸を開けてくれる。今度は満くんが先に入って、キョロキョロと部屋の中を見回している。「月、月」と声を掛けるけれど、猫の鳴き声は聞こえない。私も彼の後に付いてリビングに入ると、同じように部屋全体を眺めた。彼が言っていたように、壁のカーテンレールよりも少し高い位置にキャットウォークがぐるりと張り巡らせてあり、段差やハンモックのようなものが合間に設置されている。白いクロス張りの壁は角の付近だけが大理石柄のタイルになっていて、知らなければただの洒落た装飾だと思うだろうけれど、二匹が爪とぎしても大丈夫なように保護されているのだと分かる。キャットタワーの置かれた一角には、トイレとケージ、水や餌の器が置かれた猫の為のスペース。猫を飼っている部屋だと分かるのは猫用の物が置かれているからで、部屋全体は整っていて、綺麗に掃除されている。私の家よりもよっぽど広いし、猫にとっても居心地良さそうな環境。満くんが翡翠と月を大切にしていることを感じる。

さっと見渡した感じでは、ヨルの姿は見えない。満くんも思いつく場所を探しているようだが、いつも居る場所になかなか見当たらないらしい。ふと、私の家からヨルが居なくなった時のことが頭を過って、嫌な予感に胸がドキドキし始める私とは対照的に、落ち着いた様子でヨルを探している満くん。まるでヨルがここに居ることを疑う余地もないかのよう。そんな彼の傍にいると、不思議と私まで気持ちが落ち着いてくる。


「あ、居た」


その声に顔を向けると、満くんが見上げている場所には籠型の遊具があって、よく見るとその縁から黒い毛がはみ出している。きっとそれがヨルだ。「おいで」と満くんが声を掛けると、パタパタと尻尾だけを動かしているのが見える。鳴き声ではなく身振りで返事するところも、ヨルらしい。少しして立ち上がると、背中を大きく丸めて伸びをしている。その顔が私の方を向くと、じっと見つめ合う形になった。

黄金色の瞳、ふさふさとした毛先だけ色の抜けた黒い長毛。私のところに居た頃よりも一回り大きくなった体。私に向ける観察するような眼差しも、保護してすぐの頃によく見たもの。ヨルだ。そこにいる猫は、ヨルに違いない。

───でも、何故だろう、言い表せない違和感がある。

ヨルだと思う、……けれど同時に、何かが違うと感じる。その違いが分からなくて首を傾げてしまう。見た目はヨルに違いない。仕草もそう。再会するまでの時間が半年も空いたから、頭に描いて来たヨルと現実のヨルに少し差異を感じているだけなんだろうか。

考えているうちに、ヨルが遊具から出て来た。キャットウォークを軽い足取りで移動して、階段状の段差を身軽に降りてくる。そのまま満くんの足元まで来ると、隣に立つ私を見上げた。ヨルの仕草に釣られるように、両膝を付いてしゃがんでヨルの様子を見る。半年ぶりの再会にしては、静かで特別なことなど何もない対面。向こうから目を細めてくれたのを見ると、警戒されてはいないようだ。ゆっくりと手を伸ばすと、指先に鼻を寄せて臭いを確認するヨル。彼の気が済むのを少しだけ待ってから、耳の横に触れて、いつものように顔周りのふさふさした場所を撫でる。そうすると、少しだけ顎を突き出すようにしてくるから、胸元を撫でてやるのが一連の流れだった。体格が大きくしっかりしたからだろうか、手に触れる感触は少しだけ記憶と違うけれど、猫特有の柔らかさと温もりは久々で懐かしい。撫で続けていると、段々と私の手に体を預けてくるのを感じる。ヨルの仕草は以前と全く一緒で、懐かしさに胸がいっぱいになった。


「やっぱり、夕美さんのこと覚えてましたね」

「……そうみたい」


隣にしゃがみこんだ満くんが、同じようにヨルを見つめている。彼の片膝をついて身を屈めた姿勢のせいで互いの体も近くなっているけれど、それ以上に、ふっと息を吐いて笑った空気の揺れを感じるほどに顔が近い。あまりの近さにびっくりしてヨルから手を放すと、今度は彼が全身を梳くように撫で始めた。まるでこの距離に驚いているのは私だけで、こっちのことなんて意識もしていないかのように一心にヨルを見つめる満くんの目線。一方のヨルに目を向けると、慣れた手つきに安心しているのが傍目にも分かる幸せそうな表情。猫に表情はないと言う人もいるけれど、目を閉じて身を委ねている姿からは、全身で幸せと信頼を表しているのを感じる。ここまで慣れた感じは、私との間には無かったものだ。さっき感じた違和感はきっと、この子が“ヨル”ではなく“月”としてここに居るからなのだろう。私の知らない満くんと過ごしてきた時間がそこにあって、だからヨルであっても私の知るヨルと同じではない。少し寂しく思うけれど、それは仕方のない事なのかもしれない。

ヨルは一通り撫でられて満足したのか、水を飲みに離れて行ってしまった。それを見送って、すぐ隣の満くんに向き合う。


「ありがとう、会わせてくれて。あの子、ヨルで間違いないと思う。月として幸せに生きているって確認できて安心しました」

「いえ、俺もずっと探してたんで、夕美さんを見つけることが出来て良かったです」


さっきまで間にいたヨルの存在が無いだけで、更に近くに、肩が触れ合うほど傍にいる事を意識させられる。その近い場所で、柔らかな笑顔を浮かべた満くんが意味深長なことを言うから、余計に意識させようと言っているようにしか思えない。彼が探していたのは保護した月の「元の飼い主」であって、厳密には私のことではない。でも、彼の言い方では「私」を探していたかのように聞こえる。そんな訳が無いと分かっているのに、距離の近さに対する緊張もあって、満くんの目を見つめ返しながら胸が騒いで仕方ない。私を見る彼の表情はとても柔らかくて、言葉の通り、私に会えて嬉しいのだと伝えてくる。

妙な雰囲気だった。満くんの気持ちが私にも伝染して、強制的に、私も彼に会いたかったんだと勘違いさせてくるような……、満くんの切実な気持ちから目を背けることも許されない、追い詰められるような感覚。少しだけ距離を空けたいけれど、しゃがみこんだままではそれも難しくて、気まずい気持ちを隠すようにヨルの方に目を向けると、彼はキャットウォークを登っていくところだった。

ヨルの動きを目で追いながら、さり気なく立ち上がる。初めから満くんの距離感に戸惑いがあったけれど、この雰囲気の中で二人きりの場所に居るのは緊張で身が強張ってしまいそうだ。意識するなという方が難しい。続いて立ち上がった満くんから少しだけ距離を取ると、冷静になるために深呼吸をして向き直った。


「ヨルに会えたことだし、そろそろ帰りますね」

「……月の今後のこと、話さなくて良いんですか?

───そうだ、まだ来たばかりだし、今お茶を出しますから」


私の言葉に表情を曇らせる満くん。彼の言葉からは、引き取らずに帰ると言われて驚いた、というよりは、私が帰るのを引き延ばそうとしているのを強く感じる。私がヨルを引き取らないことについては想定していたのだろう。このまま長居するのは良くない気がした私の直感は、たぶん正しい。猫たちを可愛がる様子は自然で、至って普通の猫好きな飼い主の行動だったのに、私に対する距離の詰め方や要求の内容が、どう考えても普通ではない。初対面の人間に執着する理由が分からないし、そもそも話もしないうちから飼い主だと断定していたこと自体がおかしなことだ。

ここに来るまでに話していた雰囲気や言葉の選び方からは、彼が慎重で聡明な人間だと感じた。身なりだっておしゃれで気を遣っていると思うし、部屋の中の綺麗に片付いた状態からは、いい加減な性格とは思えない。本来はしっかりした人なんじゃないだろうか。それが私に関してだけ箍が外れているというか、おかしなことを言っていることに気付いていないというか……。私に関わるところだけ、人物像がブレて見えにくくなっている。

満くんとは知り合いでもないし、どんな人なのか本当のところは分からないけれど、私が感じている違和感はそこまで間違っていないはずだ。そう考えると、私が満くんと関わることは良い影響を与えないような気がする。ここから早く離れなきゃ、と思ったのも、本能的にそれを感じていたからなのかもしれない。

足元に柔らかなものが触れるのを感じて視線を落とすと、そこにはキャットウォークを登っていたはずのヨルがいて、私の足に尻尾を巻き付けるようにして体を擦り付けて寄り添っていた。触れた場所からは、彼の温かな体温と喉を鳴らしている振動が伝わってくる。翡翠もその隣に座って私を見上げていて、まるで、二匹の猫に「まだここに居て」と引き留められているようだ。きっと飼い主の意向を汲んでいるに違いない。二匹の全身を使った訴えに、苦笑と一緒に溜め息が零れる。私の答えに気を揉んでいるのだろう、まだ不安そうにこちらを窺っている満くんに、もう一度向き合う。


「今日は帰ります。……今度、またヨルに会いに来ても良い?」


次の約束をする気になったのは、二匹に引き留められたから。そういう事にして、もう少しだけ満くんと関わることを選択する。分かりやすく表情が明るくなった彼の顔を見ながら、この選択が今までの自分の人生とは全然違う道に連れて行くものになると、心のどこかで感じていた。



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