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異世界転生者の跡継ぎ  作者: 夏井タクト
第一章・GIFT
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第二話...一日目・朝

お知らせ、喫煙者設定をボツにしました。

 異能都市の大きさは正確には分からない。だが、異世界転生者はアフリカ大陸が一つの街に5つは入ると名言している。

 ウイズ=ギムレットは煉瓦造りの建築物が多く、石畳の地面と家々の相性が良く、写真写りが良いと人気な街だ。



 そんなウイズは珈琲が名産とされ、エルフの異能都市を落とした英雄が街に住み、探偵をやっていると言う噂がある。



 圷堵がこの度、入学したのは先程紹介したウイズ=ギムレットにある、立昇黒鬼灯学園りっしょうこくほうずきがくえん

 Aレートは表上で四番目に位が高いレートであり、試験で魔力や異力、霊力を一切使わないで合格したイレギュラーな存在が度々身を置くレートである。



 中学一年となった圷堵は白い制服を身に纏い、自身のクラスをドアを開ける。

 一年A組に分けられ、クラスでスリーマンセルを作り、任務等をこなしていく。



 試験前に話していた海時と、独りボッチだったエクレシアで作られた。

 アニメ出よくある男二人、女一人のスリーマンだが、彼らがグループを作ったのは海時と圷堵の二人は今年の試験の外からの数少ない合格者三人の内、二名である共通点、上位貴族の中でも一二を争うぼっちだった為。



 現在、チームワークにある前提の仲良くなるを実践している。交友会と名ずけられているこの授業は、自己紹介や能力等を話す時間だが、実際は休憩時間とそう変わるものではない。



 金髪ロングの令嬢一人が、異能都市出身の為に気まずい彼女とは裏腹に、彼ら二人はエクレシアを蚊帳の外状態であり、学園都市の話をしている。

 龍の伝説を話し、いずれ口から火を出して見せると豪語する圷堵は高らかに笑った。



 海時は呆れた顔をし、ヤレヤレと言った態度をしている。かっこいいと思っているのだろうか。それとも本当に冷めているのか。エクレシアは溜息混じりに、記入欄を埋めて行った。

 気が付くと圷堵はエクレシアを見て溜息を吐いた。彼女には初めての経験者である。



「なんです?」

「自己紹介は?」

「私の名前はエクレシア、姓をエルヴェールと言います」

「俺は天龍」



 と言い終わる前に知ってると即答し、早口混じりに彼の印象を語った。



「この世界で無謀な夢、日本一など簡単に掲げる貴方は知っています。新聞の一面を飾っていましたし、Bレートを瞬殺、それも霊力を扱える貴重な者を何と再起不能に追い込むバカさ加減には驚きまして私は──────......」

「文字に起こすと寄り酷いな」

「なっ......なんか、その...すみませんでした......」

「貴方は、何故日本一になろうと?」



 ただ、単純の疑問が、エクレシアがグループに入らせた理由でもある。日本は異能都市の中でも優勢の立場ではなく、教導国家には遠く及ばない。

 それに加えて日本は戦争を余りせず、そのおかげか歴史が長い異能都市として知られている。



 ──その先は、一体......何が目的なんだろう。



 思考し、何と返答するのかを、エクレシアは身元を調べた時から予測していた。だが、圷堵の返答は予想外のものではあった。



「何でだろう?意思が生まれた時から、何故だか日本一を目指すんだ」

「何をするつもりなんだよ。圷堵」

「人生を進めば、分かるって」

「考えなしですね」



 エクレシアは父から聴いた事を、圷堵のセリフから思い出していた。恐らくは、関係ないことだろうと、そう心に結論付けながら。



「父様、蜘蛛さんも御蜘蛛に巣の作り方を教えて貰ってるの?」

「それはね、エクレシア。きっと、《《本能》》と呼ばれるものだよ」

「本能?」

「父さんはね、一つ疑問に思ったんだ。ジャンケンを、僕は何時どうやって、誰に教えて貰ったのだろうと、ね」

「ん?」

「理由は簡単で、幼い頃に見て、覚えたんだ。でも、本能は《《何者》》かに生まれる前に、《《本当に必要な技能を》》教えて貰ったんじゃないかとね、僕は結論付けた。......ハハッ、エクレシアは早かったかな?」



 一時間目も終わり、生徒待望?の授業である体育が始まる。

 今回の授業内容は男は固有魔術を生徒に見せ、女は自身の異能を見せる。



 男女は魔力と異力の片方しか使わないが、彼らの力の量は変わらない。その為、エルフの国を《《一人》》で壊滅に追い込んだ《《守護者》》、名を紅井磨器伌が異能と固有魔術を使える。

 それに勘違いされ易い事だが、男は"異能基盤"を持っていない為に使用できないが、女は魔力を持ち、固有魔術を持たないだけで習得できる魔術基盤を使用し、魔術を行使でき、異能寄りも魔術を得意とする者も一定数存在する。



 体育館は広く、具体的に言うなら東京ドーム2つ分。

 一年生の男女が分かれ、グループの人間は固まり、教官の指示に従い座る。



 ヤンキー座りで棒状のお菓子を口に咥え、煙草を吸う仕草を取る。



「ぷはぁ」

「辞めなさい」

「その仕草、本気で吸った事あるだろ?」

「吸ってないよ、身体に悪いし」

「てか、何でエクレシアがこっちいるんだよ?」

「私は魔術の方に才能がありまして、異能も魔術特化ですし」



 人一倍ヘラヘラと喋る圷堵に先生は指を刺し、前に来るように指示をする。海時の隣で座るエクレシアは溜息を吐き、海時と共に頭を悩ませる。



 学園と言っても戦争に駆り出される事もあり、任務で学園都市の外に向かう事もある生徒は実の所、少年兵に近い。

 エクレシアは学園に入学する際、父に「先生は元気な子をボコボコにして、指示に従わせようとするから気お付けて」と、当回しに恐怖支配に近い事をするのを知っていたのだ。



 ──あぁ、早速眼を付けられてる......。知らねぇぞ......。


 ──言い忘れてましたが、彼の実力なら大丈夫でしょう。



「お前、何でそんなにヘラヘラしてられるんだ」

「ヘラヘラしてないですよ。あの二人の能力が、気になって、浮かれただけ」

「君のレートは?」

「Aだよ」

「お前の実力を見る。君の実力が、《《本当》》にAか、試してやろう。彼奴では役不足であっただろう?」

「そうだな、もっと強い奴が相手だと思ってた」



 あぁっと微笑む教官は他グループの黒髪に紫のメッシュが入った少年を指さし、二人で教官と戦う事を指示する。

 ジャケットのファスナーを開け、中の黒パーカーのフードを被る。



常闇影璽(とこやみえいじ)、お前なら大丈夫だろう」

「お前の名前は、天龍寺圷堵だったか」

「何?影璽」

「髪の毛切るか、くくればどうだ?」

「そうだな、前髪が邪魔するかも知れないし」



 青色の魔法陣を展開、髪を濡らして一度前髪をオールバックに、そのまま後ろ髪を括り、二つに分け左側を巻いて団子を作って髪を括る。

 軽い準備運動を終え、半径50mの結界に囲まれる。



 教官は帽子を深く被り、自身の刀の(かしら)に手を置くと黄色い粒子が漂い、魔法陣を展開する。



「海時とエクレシアはハッキリ言ってピーキーな能力、その分の上振れが大きから君達には、期待している。女は異能が魔術に関係しない限り、男には叶わない。それは男の場合、固有魔術が水関係なら水属性が得意の様に、己の得な魔術に才能があるからだ。だが、君達は試験で試験管を一撃で見せていない」

「どっちが最初にやる?」

「先ずはどっちがやるかだ」

「なら俺がやる〜」

「共闘だぞ」

「なら、この紙の通りに頼む」

「ん」



 開始のホイッスルと同時に圷堵が身に付ける指輪が白い魔法陣を展開、白は無属性か解放を意味する。

 大抵の白は解除を主に使い、見た目だけを変化する幻影変化魔術が存在し、厄介なのは獣化(ビースト)魔術と言われる方で、魔力で形どった器に魔力で身体能力を伸ばし、器が強固なので普段の身体能力寄りも強化される。



 圷堵が変身した姿はその場の全員を驚愕させた。



「「龍っ!!?」」

「ガアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」

「見せ掛けで、俺を倒せると思ってんのか?獣化の龍は赤だ」

「いやっ......でもっ......」

「アアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」



 振り下ろされた鉤爪を教官は瞬時に抜刀、強力な一撃の軌道を変える事が出来ずに地面に亀裂が入り、小さなクレーターを作る。

 頭から血を垂らす教官の環瀣雫(たまきみずな)は土煙が巻き上がる中、圷堵に居合を繰り出すもそこには強力な龍は居らず、空を斬った。



 ──解除?似しては速すぎる!封印結晶クラスの速さだぞ!?そこまで戦闘経験があるのか!!っ!



 一瞬、ほんの一瞬だけ瀣雫は理解が遅れた。いや、獣化に気をとられ反応を遅れさせられた。



 ──暗闇......だと?まさかっ!!



 自身の横腹を貫く三本指の黒い手がウネウネと竜の尾の様に動き、伸びる方を見るとフード深く被った影璽の姿があった。

 にヘラと笑う彼の姿を切り裂くと身体が流動し、幻術ではない物だと気付くも何かは分からず、背後から炸裂する圷堵の拳が瀣雫を吹き飛ばす。



 ──影璽の能力は影の具現化!でも、奴は確信して言える!アレは本体だった!



「靄で見えねぇだろう?(ナイト)には気おつけねぇとなぁ!?」

「騎士道もクソもない奴が、良く言うぜ!ピエロだろ」

「これで終わりか?」

「あぁ、俺も腹に穴を空いてるのはな」



 結界術が解除され、その後は自分の能力の事をすると驚かれる。

 何故なら彼は男であるのに、異能を使うことが出来、魔力と異力、霊力量が底なしと表現される程、彼の莫大な力に驚いた。



 そんなことで時間も過ぎ、化学科からは生爪の一枚でも剥がされそうになり、危うゆく実験室生きだったがエルヴェール家の力で何とかなった。

 黄金色に染まる桜並木を三人で歩き、桜の花弁に手を伸ばして掴む。



「捕まえ──た。あっダメだった」

「そんな馬鹿げた事、やっても意味がないですよ?」

「今日は死にそうになるし、魔術科からは無茶苦茶勧誘来るし、最悪だった」

「そりゃあ、五代属性もクソもないからな。虚数属性何て、本来はホルマリン漬けに加え、色んな能力を使えるんなら尚更だな」

「君も私の様に魔術科に行けば良かったのに、何故強襲科を?」



 魔術科とは、火、水、木、光、闇、虚数、Excel。数々の属性に応じての学会的なものがあり、彼らは己が属性を極め、戦場でサポートや遠距離攻撃を担当する。

 属性は男女問わず存在し、強化術等は極めて習得が簡単な部類だが、極めるのが難しい炒飯的な存在に位置する。



 強襲科は近接武器や格闘を得意とする科であり、固有魔術以外に才能が多い為、比較的に覚え易い強化術を身に付ける。

 例外的に魔術を覚えれる者がいる場合、二科を受けることが出来る。



 圷堵は己の属性、虚数属性を覚えたかったが、そもそも教授になるまで虚数属性を極める人などおらず、属性を持つ者が霊力を持つ者寄りも更に希少ため、彼は火の学科(がっか)に特別在籍する事になった。



「ヤッパリ、近距離で戦いたいじゃん」

「まぁ、同じ火学科なので教えてあげます」

「俺は水だから、ボッチだな」

「戦闘訓練は一緒じゃん」

「寂しいぜ」

「私達はチーム、寂しい思いはしないかも知れません」

「そうだぞ」

「そうだな。コンビニでも寄るか」

「おお。コンビニ」



 目を輝かせるエクレシアは箱入り娘。大事に育てられ、お嬢様特有の天然は知識量で身を潜めてはいるが、コンビニに入るのは初めて。

 っと言っても、彼ら二人が居た外の世界にコンビニ何て物は存在せず、彼らの順応性が高いと言えるだろう。



 特有のメロディが流れる店内で、おにぎり一つとお茶を取るエクレシア。

 圷堵はブラック珈琲一つに、パンを三つ。海時は雑誌一つとパン一つ、トマトジュース。



「唐揚げさん下さい」

「ここ、違う店です」

「じゃあ八唐下さい」

「かしこまりました」

「ワザとですよね?」

「来たの四回目だし、間違えるのだって普通だよ」

「俺は一回で覚えたぞ」



 会計を済ませてコンビニを後にし、自分達の家へと帰宅する。

 1チームには学園から支給される一軒家が存在し、同じ釜の飯を食べ絆を上げる方法は龍や天使族が生きていた時代から続く。



「ただいま」


作中の元ネタや裏設定集1

ヒロインの名前の元ネタは某カードゲームから

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