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ようするに
オチはないのです……
『オチはないの?』
問われた私は言葉を探した。
相手は落語好きな人だった。なにか面白い話をしてくれと言われ、とっさに信号機の話を始めてしまった……。
『ここに来る途中、歩道の信号機が変わっててね。』
『うん?』
『何か違和感を感じまして、よくよく見ると、』
『うん。うん。』
『凄い薄型になってたのです!』
『……それで?』
『……信号機まで薄型を追求されるって凄いなぁ。』
『……それで?』
その後、いくつかのやりとりを経て冒頭の一言に到る。話をふる人選を間違っているよ……と思いつつ、信号機に関わる話を紡いでいた私は訴えた。
『そんなヤマもオチも話の枕も揃った話を、急に出来るたちじゃないんだよ!』
私は捨てセリフを残し去った。
その日の夜、私はふと思った。寝るとき枕なくても良くない?と。そしていま現在、就寝時に枕を使っていない。
ようするにこれは、「枕なし」というユーザーネームにいたるまでの話の断片である。
想像の余地を残していたんです(強がり)!