第十話 夜中の再会
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「もう寝るな」
はい、おやすみなさい。
野球部の朝練が早いのでイツキはいつも十時前にはねるようにしています。
僕的にはもう少し勉強するための時間を増やしてほしいのですが、身体を壊しては意味がありません。
それに、明日はやっと恋さんに会えるのですから。
今から会って何をしたいか考えておかないと。
本当はあのデートの日、コンサートの後ももっと一緒にいたかった。
何かするわけでもなく。
ただ、一緒にいたかった。
それに、初デート記念だったんだからできればキスなんかも。
「うるさい」
ハジメが低い声で僕にそう言います。
そういえばそうでした。
僕たちはお互いが寝ないと深く睡眠がとれないようです。
以前、授業で大事なところを夜遅くまで意識世界で復習していたら、次の日疲れが抜けきれずにコンディションが最悪だった日がありました。
「それもあるが、他人の恋バナに興味ないし、特に男のやつなんてダレトクなんだよ」
すみません。
僕もさっそく寝ると (ピンポーン
おや、こんな夜遅くに誰ですかね?
「知らねえ。でも、親父の部署が部署だし、そういった関連のじゃないか?」
それもそうですね。
特に気にもせずに僕も夢の中に落ちていくのでした。
……
………
…………
「イツキ」
~~~
「え?」
どこか聞き覚えのある声に目を覚ます。
俺はもう少し寝ていたかったが、イツキの方が完全に目を覚ましてしまったようだ。
さて、全然今の状況が理解できないが、声の主は分かった。
良かったな。
「き、来ちゃった」
「恋さん!」
イツキは錦織先輩を強く抱きしめた。
錦織先輩も最初は驚いていたが、拒むこともなくただ身体をゆだねるのだった。
「あの日はつらい思いをさせてすみません」
「お前も父のせいで辛い思いをさせたんだ。お互い様だろう」
「でも、僕がもっと注意を払っていれば、あんなことに「イツキ」
錦織先輩は胸元の服を掴んでイツキの名前を呼んだ。
「後悔の言葉は要らない。お願い。今はこのままで」
その言葉にイツキは錦織先輩を離さないように、でも壊れてしまわぬように優しく抱きしめるのだった。
どれぐらいそうしていたのだろうか。
そろそろ俺の眠気がヤバい。
イツキ、話を進めてくれ。
「そ、そうでした。恋さん、急にどうされたのですか? それに」
髪は濡れてるし、体も冷たい。
よく見ると、錦織先輩の頬が腫れていたのだ。
ぶつけるにはおかしな場所だし、殴られたのか?
「これは、父に」
「なんで」
イツキの声が低くなる。
抱きしめる力はそのままに、手を痛いほどに握りしめていた。
「喧嘩をしたんだ。私の知らないところで勝手に転校と、君との関係を壊されて、つい感情的になってしまってな」
「え? 恋さんに嫌われてしまったのかと「そんなわけあるか!」
錦織先輩はイツキの言葉を強く否定した。
身をゆだねていた錦織先輩が今度はイツキを強く抱きしめる。
「こんなに人を好きになるのは、後にも先にも、イツキだけだ」
「恋さん、好きです」
イツキはまた、抱き返す。
なあ、もう甘いやり取りはお腹いっぱいだ。
お互いまだ好き同士だったのは喜ばしいが、それよりも色々あるだろう。
「そうでした。どうしてここに?」
「先ほど、澪に私が転校することになってることを知らされてな。芋づる式に婚約解消も知って、イツキが私を嫌いになってしまったのではないかと、気になってしまったのだ」
「そんなことは絶対にないのに」
「でも、こんな面倒な家族がいるんだぞ」
「嫌いになる要素じゃないです」
「そうか」
脱線するな。
イチャイチャは後にしろ。
「そうなると、今後はどうする予定ですか?」
「離婚して出て行った母と会うことになってる。まだ決まってはいないがそちらに住まわせてもらえばと思っている」
「じゃあ、今夜は?」
「お義母様にここに泊まる許可はもらった。お義姉様は拒否していたが」
「じゃあ、もう少しこうしててもいいですか?」
「むしろお願いしたいくらいだ」
お願いだ。
もう寝かせてくれ。
「もう少しだけ」
イツキはまだ寝てくれないようだった。
イツキは私を抱きしめている間に、寝てしまった。
澪の話だと私がいない間、代わりに生徒会を頑張ってくれていたらしい。
その上で朝と放課後の野球部の練習にも出席していた。
しかも、期待の新星なんて言われているようだ。
「私も、イツキの隣にいて恥じない女になるからな」
彼をベッドで横にして布団をかける。
少し名残惜しい。
いや、本当は離れたくない。
でも、私を信じてくださったお義母様の為にもここは自分を鬼にして!
「ん?」
ベッドの下に何か挟まっているようだ。
雑誌か何かだろうか?
興味に駆り立てられて、本当はダメだと分かっているのに、私はそれを手にしたのだった。
「『強気な姉との爛れた精活 24時』 ……え?」
それは、いわゆるアダルト雑誌というものだった。
しかも、表紙の女性がどことなく。
「私に似ている」
もしかして、もしかしなくとも。
そうなのか、そういうことなのか、イツキ!
「ひ、ひゃああ~~~~」
自分の顔が赤くなっていくのが分かる。
でも、私を思ってそういった行為を行ってしまうのは、嬉しい。
でも、この雑誌の女性は私ではない。
でも、だからといって、止めさせるわけにも。
でも、止めてほしい。
でも、だからって私が代わりをする勇気はまだ。
「って、私は何を考えてる!」
もちろん、結婚した先にそういった行為が必要になってくるのは分かっている。
つまりは、夫婦の営みというものだろう。
しかし、まだ私たちは高校生で、責任をとれるような力もない。
だけど。
「子供は三人は欲しいな」
って、何を口走ってる!
イツキは。
「ぐー」
寝ているようだ。
よし。
私は逃げようと扉の方を向く。
「「「聞いてたよ」」」
顔だけ出した、お義母様とお義姉さま、それに澪が私を見ていたのだった。
「~~~~~~~~!!」
私は声にならない悲鳴を上げてしまったのでした。




