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第五話 二つの気持ち

遅くなってすみません。

沢山の感想お待ちしてます!

ついでにブックマーク、評価の星を押してもらえると嬉しいです!

「ねえ、あなたはお姉ちゃんを覚えてないですか?」


イツキは嫌そうにため息をついた。


お姉ちゃんってマリアのことだろ?

それをイツキに聞くのは、いけないだろ。


「コンサートの事ですか? 人生最大の汚点です。あまり思い出したくないですね」


ほら、やっぱり怒ってる。


「! そ、それってどういうこと!?」


ミランダはイツキの言葉に声を上げる。

それにイツキも得意の作り笑顔を歪めた。


「そんなに声を荒げてどうされました?」


だが、イツキはすぐに笑顔を作ろうとするが、隠しきれない怒りがかえって不気味な笑顔にする。


「あ、いや、そ、その」


ミランダはその顔を見て言葉を失い、怯えるように一歩引く。


「ね、ねえ、柏山くん。後は大賀先輩と私に任せて野球部に行くのはどうかな?」


松田がミランダとイツキの間に入り提案する。


その通りだ。

今は時間を置いて、冷静に考えるべきだ。


「そう、ですね。 ……松田さん。すみません。ありがとうございます」


呆れた顔で松田は息を吐く。


「ちょっと頭を冷やして。思った以上にミランダさんは日本語話せるし、こっちはなんとかしとくから」


「分かりました」


後ろからすすり泣く声が聞こえた。

その声に、イツキは強く拳を握りしめるのだった。


~~


ハジメと交代して僕たちは部活へと向かっていました。


「なあ、さっきのミランダ? の言葉って」


……そうですね。

おそらく、あのコンサートより前に彼女の姉マリア・ヴォルコフとのつながりについての言葉でしょう。


「一樹の記憶には無いよな」


ハジメの持ってる記憶にないのなら。

そうですね。

僕の中にも無いです。


「どうしようもねえな」


そうですね。

そう、だと、思うのですが。

あれ?

いや、でも彼女は亡くなった。


「ん? 何か思い出したか?」


いえ、今は部活のことに集中しましょう。

それに、もしこの予想があっていたのならば、僕は。


「よく分からん。もっと分かりやすく説明してくれ」


今は推理の域を出ません。

確信が持てたらまた説明します。


野球部の練習場に着くと既に全体練習は終わって、それぞれが個人練習に専念していました。

ハジメもさっそく練習に入るためにユニフォームに着替えようとした時でした。


「あれ?」


更衣室に入るとそこには制服に着替えている新田先輩がいた。


「遅かったんだね?」


「すみません。生徒会で用事がありまして」


「そういえば手伝いしてるんでしたっけ?」


この人に僕が生徒会で手伝っていることは言っていなかったはずなのですが。


「錦織さんと同じクラスでして。この前、私に生徒会であなたに手伝ってもらってる、支障は出ないようにすると、一言もらいましたので」


そうですか。

僕たちのことを考えてあらかじめ連絡をしてくれてたんですね。


「でも、もうそろそろこちらに本腰を入れてもらわないと困ります」


「え?」


「ちょっと来てください」


錦織先輩についていくとリネン庫に誘われる。

そして、一枚の選択済みのユニフォームを渡してきた。


「あなたはの選抜ユニフォームです。レフトだから背番号は七番、打順は四番。監督はかなり期待しているようですよ」


ハジメは新田先輩から受け取ったユニフォームを握りしめる。


「やった」


新田先輩はハジメの肩を叩く。


「監督だけじゃない。みんなあなたの頑張りも、能力も知ってその上で期待してる。今年は優勝しますよ」


「はい!」


そして、一はさっそく練習に向かおうとした時だった。

新田先輩に「待って」と呼び止められる。


「言い忘れてたけど、良子にお礼いしといてください」


「?」


「それ、縫ったのは良子だから」


ハジメは満面の笑みで頷いたのだった。

「ねえ、あなたはお姉ちゃんの事を覚えてないのですか?」


妹のミーシャの言葉に寒気がした。

そして、彼は。


「コンサートの事ですか? 人生最大の汚点です。あまり、思い出したくないですね」


そう、告げたのだった。

彼は昔のことを覚えていなかった。

私の事を覚えてなかった。

それどころか。


私のファーストキスが、思い出したくも、ない。


「! そ、それってどういうこと!?」


すぐにミーシャが抗議の言葉を向ける。

だが、彼はカズキは。


「そんなに声を荒げてどうされました?」


そう言って、恋心も、愛情も、思い出も凍らせてしまうほど冷たい笑みを浮かべた。

その後どうなったか分からない。

あの笑みを見て、私の恋は一方通行だったって気づいて。


~~


『いや』


いつの間にかわたしが部屋に戻っていた。

ってことは、お姉ちゃん!


『いや、私は。私は!』


いつの間にかお姉ちゃんと変わていた。


まずい、何とかして変わらないと!


「ミランダさん、大丈夫ですか?」


ミドリちゃんもミオさんも驚いて、慰めてくれているがお姉ちゃんには意味がない。

だって、お姉ちゃんは日本がほとんど話せない。


『いや、なんで? なんで? 私を』


だが、何もする前に視界が暗くなる。


『嫌いに、ならないで』


お姉ちゃんは二人を、おいて走り出してしまいました。

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