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第一話 諦め、きれず

いつもコメントありがとうございます!

すみません。

十二月に入り、仕事が忙しくてまた更新が遅れます。

飽きずに読んでくださると幸いです。

また、コメントとブックマーク、下の評価★お願いします!

イツキが一人帰っていると黒のスポーツカーが止まる。


「乗りなさい」


運転していたのは錦織先輩の父、一馬さんだった。

イツキはその指示に従う。


「申し開きはあるか?」


車の運転席から錦織父の重苦しい言葉がイツキに投げかけられた。

その言葉一つで怒りが痛いほど分かる。


「全ては僕の不徳が原因です」


イツキはまっすぐに返した。

バックミラーから錦織父がこちらを覗いてくる。


「そうか」


しばらく車を走らせる。

車の景色が次第に郊外の住宅街に変わっていく。

そして、赤信号で車が止まった時だった。


「恋から聞いていたかもしれないが、婚約の件は白紙に戻させてもらう」


「……はい」


そして、車は再度走り出した。

重い沈黙が車内を包みながら、家の近くまで来ていた。


「君の幸せにするとの言葉はその程度だったのだな」


イツキは拳を握りしめて、口端を噛んだ。

そして、家に着く。

車を出るとイツキは頭を下げた。


「私の目も濁ったものだ」


そう言って錦織父は車を走らせたのだった。

しばらくの沈黙の後、家へ入らずイツキは歩き出した。

どこにいくんだ?


「少し静かにしてください」


分かった。

どれぐらい歩いただろうか。

すっかり日が暮れて、辺りが暗くなっていた。

当てもなく歩いていたせいか、全く見慣れない所まで来てしまっていた。


「柏山くん?」


その声にイツキは振り向くと良子がいた。

イツキは頭を下げて通り過ぎて行こうとした時だった。


「待って!」


良子はイツキの手を取って止める。

それをイツキは睨む。

でも、良子は怯まず強く手を握る。


「ちょっと付き合ってよ」


イツキは一瞬考えて、頷いた。

すると、良子はイツキの手を引いて行った。

辿り着いたのは近くの公園だった。

ベンチに座らせると良子はどこかに行ってしまった。


「お待たせ」


そう言って良子は缶の紅茶を差し出した。


「えと、コーラの方が良かった?」


「いえ、紅茶をいただきます」


イツキは缶を開けると一口傾ける。


「勉強モードなんだ」


「大西くんも言ってましたね」


「うん、兄さんが最初に言い出して」


「それで、野球部に浸透していったんですね」


「そう」


そして、沈黙が訪れた。

しばらくしてイツキは紅茶を飲み終えると立ち上がる。


「すみません、僕はこれで」


「えと、待って!」


「なんですか」


不機嫌な表情を隠す気もしない。

でも、良子は服の裾を持って静止させる。


「ダメだよ。そんな、死にそうな顔をして、行かせられない」


「死にそうな顔なんて「してる!」


良子は強い瞳にイツキは諦めたのかベンチに座り直す。


「ねえ、何があったの?」


小さなため息と共にイツキは涙を流した。


「恋人と別れろことになったんです」


「…え?」


「少し前から付き合ってたんです。でも、僕は失敗してしまいました。ご家族からも、もう」


良子は一瞬驚いた顔をしていたが、すぐに怒った顔をする。


「また、この前みたいに「いえ、もう彼女を引きずることはしません」


「え?」


「効率が悪いです。人間死ぬまでに何度も恋をします。その一回だったのでしょう。明日には元に戻るので心配しまいでくださ 『パンッ!』


イツキはいつのまにか良子に頬を叩かれていた。


「何言ってるの?」


「一般的な見解です」


こいつの言葉に今度は拳を握り振り下ろす。

でも、良子の拳をイツキは受け止めた。


「あなたが話せと言ったから話したのに、急に殴るとはどうかしてるのでは?」


「どうかしてるのは柏山だよ!」


いつのまにか泣いているのは良子の方だった。


「どうして、辛そうなのに、そんな、こと」


「…やさしいのですね」


イツキは良子の手を離す。


「確かに、言葉にするのは、簡単なのに」


「馬鹿だよ、柏山くん!」


「そうですね、僕は」


目を閉じて、深くため息を着く。

そして、立ち上がり良子にハンカチを渡す。


「これで涙を拭いてください」


「あり、がとう」


「家まで送ってきます」


公園から五分もしないところに良子の家はあった。

家は小さなレンガ作りの一軒家で、見慣れた電動自転車やロードバイクが家の前に立てかけてある。


「新田さん」


「?」


「これからは僕の事をハジメと呼んでください」


「え? でも、一樹じゃ?」


「いえ、ハジメでお願いします」


「分かり、ました」

「ただいま」


弟が帰ってきた。

私は寂しさを感じながらも向かい入れる。


「おかえ、り……、!」


弟の瞳が赤くなっていた。

泣いた後だと瞬時に理解したと同時に落ち込み具合から何があったののだと怒りが込み上げてきた。


「ど、どうし、たの?」


「ああ、別れてきたよ」


「「な、なんだって!?」」


お風呂場からパパが半裸で出てくる。

いつも、思うがムダ毛のないツルツルの身体が羨ましい。


「じゃなくて、なんで!」


「ちょっと、あって」


パパが真っ青な顔で倒れ込む。

それを鼻にティッシュを詰めて、お風呂場から出てきたママが支える。


「ママ、その一眼レフのカメラはなに?」


「気にしないで」


「その手に持ってるフリフリのリボンがついた子供向けのドレスは何?」


「気にしないで」


「パパを担いでどこにいくの?」


「気にしないで」


そして、ママはパパと寝室に行ってしまった。

まあ、それはそれとして。


「一樹!」


振り向くとそこには既に一樹はいなかった。

きっと、今頃部屋で泣いているだろう。

本当に女運の無い子。


「ここは一肌脱ぎますか」

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― 新着の感想 ―
[一言] 姉。 弟が女難の相有るの気付いてると言う事か(というか姉自体がその女難の一つ)。
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