第十一話 デート2
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すみません。
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イツキ達は喫茶店からコンサートホールへ向かう途中、アクセサリーショップが目に止まる。
そのショーウィンドウには綺麗な指輪が並んでいた。
そして、それを錦織先輩はずっと樹を見ていた視線を一瞬そちらに向けた。
「婚約指輪、欲しいですか?」
「え!? そ、そんな。イツキは学生だ。そんな」
「本音は?」
「シルバーリングは、憧れ、る」
「頑張ります」
「いや! な、なにを!?」
早くバイオリンのコンサートにいけ。
もう、お腹いっぱいだよ。
そして、そんな事を繰り返し俺がグロッキーになった頃、始まる十分前についたのだった。
そして、照明が薄くなり銀色の長い髪が特徴の女の子、マリア・ヴォルコフが現れる。
「僕は恋さんの黒い長い髪の方が好きです」
「いきなり、なにを言い出すんだ」
はいはい。
演奏が始まるが俺はこう言うクラシックが苦手だ。
眠くなる。
「そうですか? 僕はこのヴォルコフさんの少し荒々しくとも、思いを乗せようとする弾き方好きですよ」
あっそ。
俺は寝るわ。
後、よろしく。
〜〜
「すいません。トイレに行ってきます」
イツキの声に俺は覚醒する。
もう、二時間近く経っていた。
「もう終わるぞ」
「我慢できなくて、すみません」
「分かった」
イツキはホールから出てトイレを済ませる。
もう、コンサートも終わるようでヴァイオリニストのマリア・ヴォルコフが挨拶をしている。
「一樹?」
その声の先には何故か智香がいた。
「なんで、ここに」
「こっちこそ。でも、話がしたかったからちょうどよかった」
「…場所を変えましょう」
コンサートホールに併設されている公園に場所を移す。
智香は嬉しそうに笑う。
昔は好きだったその笑顔が嫌に不気味に感じる。
「ねえ、私達やり直さない?」
は!? 智香が別れようって言ったくせに!
「すみません、桜井さん。僕はあなたになんの感情も持ち合わせていません。それでは」
淡々と樹は告げて帰ろうとするが、智香は腕を絡めてきた。
「怒ってるの? ごめんね、私がどうかしてたの」
「邪魔です」
樹は智香を振り解いて立ち去ろうとするが、しがみついてくる。
「あなたが智香だな?」
声の方にはいつのまにか錦織先輩がいた。
コンサートホールの出口から人が出てきている辺り、コンサートは終わったようだ。
そして、錦織先輩と智香が睨み合う。
「あんたは?」
「私は錦織 恋。彼の婚約者だ!」
「こ、こん!?」
「もう、あなたの入る隙などない! 立ち去りなさい!」
きっぱりと錦織先輩は智香を突き放す。
だが、智香は一瞬驚いていたがすぐに表情を戻す。
「一方的にフッといてもう新しいカモを見つけたんだ」
何を言ってる?
別れ話を持ちかけたのは智香だろ!
「落ち着いてください、ハジメ」
イツキは焦る様子も無い。
「知らないなら教えて(パンッ!)
錦織先輩は智香の頬を叩いていた。
その先輩の瞳には涙を溜めている。
「黙れ! あなたの所業は全て知っている! あなたは男性をファッションなどのアクセサリーと同じ程度にしか見ていない事も!」
「な、な!」
「その証拠にあなたは彼と付き合っている間、遊びに行く事はあっても、恋人としてのデートは無かっただろ。私は全部知ってる」
「何言ってるの! 私は幼馴染で「なんでも知っている!」
「彼が甘い物が好きなのに、柑橘系の酸っぱいものが苦手なのも。酸っぱい物が嫌いなのに、お弁当の梅干しも残さず我慢して食べるのも。嬉しい時に口角が少し上がるのも。困ると視線がそれるのも。怒ってる時に口調が変わることも。そんな、怒った姿を私に見せたく無いのも。最初はそんなに好きで無かったのも。そして、今は誰よりも大事にして、愛してくれてるのも知っている!!」
錦織先輩は智香の肩を掴む。
そして、「お義姉さんの言う通り、こいつは赤点だな」と呟く。
「イツキを幸せにするのは私だ。部外者は引っ込んでいろ」
先輩の言葉に智香は糸の切れた人形の、ようにその場にぐずれ落ちた。
錦織先輩が樹の方を向いた。
そして、近づいていき。
「カズ!」
遠い昔に聞いたことのある声に視線を向けた。
その瞬間、銀色のきらめく長い髪と大きな瞳が目の前に。
チュッ
「「「え?」」」
キス、され、た?
『大嫌い』
え、えと。
何故か外国語が分かる。
「恋さん!」
錦織先輩は足早に走って行く。
てか、着物なのに速い!
イツキも追いかけようとするが、マリア・ヴォルコフが首に手を回している状態だ。
「ちっ!」
舌打ちと共にイツキはマリア・ヴォルコフを睨み、力任せに突き放す。
彼女は突き放された衝撃で尻餅をついた。
そして、見上げる彼女の目は怯えていたのだった。
『大嫌いで結構だ!』
だが、イツキは更に追い討ちをかけるように外国語で伝える。
それにマリア・ヴォルコフは隣にいた智香の方を向いた。
イツキはその姿を見て、その横にいた智香に視線を移す。
なるほど、智香が一枚噛んでたのか。
「やってくれたな、この性悪女が!」
低い声でイツキはそう告げると錦織先輩の去って行った方へ走り出したのだが、既に先輩の姿は無かった。
私はコンサートが始まる直前、お辞儀をする時に会場を見回す。
あ、ともかちゃん、来てくれたんだ。
「お姉ちゃん、始めるよ」
うん。
妹は演奏を始めました。
いつもより気合を入れて弾き始めます。
そのせいで、一緒にセッションをしてくれてるメンバーが少し大変そう。
あ!
「どうしたの?」
曲間にふと視線を向けたS席に黒い長髪の綺麗な女性と一緒にいる男性に、カズくんの面影を見る。
もしかして?
「お姉ちゃん。あの人、帰っちゃう」
コンサートももう終わる頃彼が出て行ってしまう。
妹はコンサート後の挨拶も程々に彼を追う。
コンサートのドレスのまま、彼を探す。
そして、コンサートホール近くの公園にともかちゃんと彼が。
「お姉ちゃん。前に言ったこと覚えてる? 後悔しちゃダメだよ」
うん。
〜〜
アタシはお姉ちゃんと交代して、見守ることにした。
だが、それがいけなかったのかもしれない。
「カズ!」
チュッ
お姉ちゃんはあろうことか、ちゃんと確認もせずに彼にキスをしたのだ!
マウステゥマウスで!
『大嫌い』
しかも、その後母国語であるロシア語でそんな事を言ったのだ!
で、でも、日本人でロシア語がわかる人なんて…
ドン!
お姉ちゃんは彼に突き放されて尻餅をついた。
『大嫌いで結構だ!』
え? 彼、ロシア語、喋れたの!?
そして、彼は行ってしまいました。
お、お姉ちゃん。
大丈夫、じゃないですよね〜
お姉ちゃんは涙を流していました。
「カズに嫌われちゃった〜」
うん、お姉ちゃん。
落ち着いてー!




