第十話 デート1
いつもコメントありがとうございます!
体調不良で更新が送れました。
皆さんも気温が安定しなくて、体調を崩しやすい時期なので気をつけてください。
ブックマークと★、コメントお待ちしてます。
「こんなものね」
イツキはデートに行く前に姉貴に捕まって、髪をいじられていた。
「遅刻するといけないから、もう行かないと」
この日の為に新しく服も新調していた。
半年で身長がかなり伸びていて、前まで来ていた服のほとんどが着れなくなっていたというのもある。
その為、姉貴に相談しながら買ったのだが、前の服と比べると大分落ち着いた物が多かった。
姉貴曰く、「その方が一樹に良く似合う」とのこと。
「まだ、踏ん切りはつかないけど、いってらっしゃい」
優しく、姉貴が笑う。
「ありがとうございます、姉さん」
イツキは足早に家を出るのだった。
コンサートは夕方の五時からなので、少し前にあってお茶でもしようという流れになっている。
ここから歩いても三十分前には着くはずだが、樹の早足で進んでいく。
「多分、もう遅刻です」
は? 約束まで一時間前だぞ。
「彼女なら、もういます」
樹はそう言って、急いで待ち合わせ場所に四十分程早く着いたのだが、そこには既に錦織先輩がいたのだった。
錦織先輩って、普段着が着物なんだ。
「すみません。待ちましたか?」
「い、イツキ!?」
イツキの声に振り向いた錦織先輩は驚いた顔をしていた。
だが、その顔は次第に笑顔に変わっていく。
「は、早いじゃないか」
「それを言うなら恋さんはもっと早いですよ」
「それは、その、イツキを待たせてはいけないと」
「二時間も前に待ってるなんて普通じゃないです」
「な! み、見てたのか!」
その言葉に樹は眉をひそめた。
「……恋さん、お説教です」
「え、あ! イツキ、はめたな!」
「あなたはいつもいつも」
小言が始めるとイツキは錦織先輩の手を握る。
「なんで、手を、握る?」
「これなら、僕といる間は勝手に無理するこもできないでしょ?」
「私はリードをつけられた犬猫か」
「それなら、これでどうでしょう」
イツキは握った手を離すと、今度は指を絡めるように握った。
「これなら、恋人っぽくないですか?」
「はあ」
「お気に召さなかったですか?」
「もう、からかうのはやめろ」
「そんなつもりはなかったのですが」
錦織先輩の手を離す。
「あっ」
「どうしました?」
錦織先輩は寂しそうに見つめるが、イツキは飄々とした顔で視線を返す。
それに、またからかわれているのに気づいた錦織先輩は無言でイツキの手を握った。
「嫌だったのでは?」
「分かってて言ってるだろ」
「そうですね。好きな女の子を虐めるのはこれくらいにしておきます」
「…バカ」
そして、二人はやっと歩き出した。
イツキには側から甘い恋人同士のやりとりを見せられる俺の気持ちを、少しは理解して欲しい。
その後、俺が気疲れしてしまう程甘い空間を作り出した二人は喫茶店に入った。
連休最終日ということもあり、喫茶店は混み合っていた。
「僕が注文しておきますので、恋さんは席をお願いします」
「分かった」
そう言って、錦織先輩は店内の奥の方へ探しに行く。
イツキ、もう、帰りたい。
「ダメですよ。まだ、本番は先ですから」
バイオリンの演奏とか三秒で寝れる自信がある。
「運動以外本当にダメですね」
「あれ、柏山?」
声の方を向くとそこには大西がいた。
心なしか疲れているのうだ。
「大西くん、どうしてここに?」
「ああ。真ん中の兄さんが、サイフを忘れたとかで届けに来たんだ。それで、コーヒーを奢ってもらったんだが、彼女さんもいてな。甘い空気に酔っちまった」
大西、気持ちはわかるぞ。
「それで、柏山は?」
「デートです」
「…は?」
大西が驚いて口が閉じなくなっている。
「席取っておいたぞ」
店内のの中から錦織先輩がやってくる。
大西は錦織先輩とイツキの顔を何回も交互に見る。
そして、何かを納得したかのように頷く。
「おいおい、エイプリルフールは終わったぞ」
「本当だから」
「友達か?」
横にやってきた錦織先輩は頭を下げる。
「私は彼の恋人で婚約者の錦織 恋だ。よろしく頼むぞ」
「婚約者?」
「父がこの前の顔合わせの時にお義父さんに婚約の話も済ませたって言ってたぞ」
なにも聞いてないぞ。
「どうやら、父さんが伝えて忘れていたようです」
「そう、なのか」
錦織先輩は残念そうに下を向いてしまう。
「でも、嬉しいですね」
「うん」
そして、嬉しそうに笑った。
「あああ! 甘い! クソ! 柏山は仲間だと思ってたのに! 裏切り者!」
大西は走って出て行ってしまった。
だが、奴は逃げれるだけマシだろう。
俺はこの後の展開に一抹の不安を覚えるのだった。
私、桜井 智香は新しい彼氏である翔也の話を聞き流していた。
「だ、大丈夫?」
翔也は心配して聞いてくるがその一つひとつがあいつみたいで苛立った。
「なんでもないから」
「そうか」
まさか、マーシャが帰ってくるとは思わなかった。
でも、彼女はまだ一樹を思ってるみたい。
なら、翔也が思ったより付き合ってみて楽しくないかし、時期を見て一樹を遊んであげよう。
「ふふっ」
「ど、どうしたんだ?」
「面白い事を思いついて」
その時のマーシャはどんな顔をするかな?
今から楽しみ。
それなら、もうこいつに執着する必要も無いし。
「ねえ、翔也。話があるの」
「えと、なに?」
「ごめんね。もう、別れてほしいの」




