第七話 仄かな灯火
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恋さんとの間をお義父さんに認めてもらった翌日も変わらない朝だった。
だが、今日からゴールデンウィークです。
世の人たちは昭和の日の二十九日から二日休みをとって五月五日の子供の日まで休みをとっている。
だが、勉強第一の帝海大附属はそんなものはなく五月一日の今日からゴールデンウィークが始まります。
「今日は師匠来なかったな」
新田さんが今日も家まで来ると思っていたハジメは珍しく一人で早起きしていました。
昨日が特別だったのでしょう。
さあ、もう行かないと遅刻しますよ。
「おう」
そして、ランニングをしますが、よく会っていた信号機前にもその姿はありません。
ハジメのいつも通りの走り方が少し重いように感じました。
「次いくぞ!」
午前中は基礎練とバッティング練習をします。
「それではお願いします」
いつものバッティング場に来ると、新田さんではなく松田さんが準備していました。
「師匠は?」
「新田さんは今日遅れてきたからまだユニフォーム洗濯中だよ」
遅れてくるなんて、新田さんらしくないですね。
でも、本来は休日です。
気が緩んだ「おかしい」
?
「松田、悪いがバッティング練習は少し遅くなる」
「え、ちょっと」
松田さんを置いてハジメは走り出しました。
そして、いつもユニフォームを干しているグランド裏に着きます。
そこで、一人ユニフォームを洗濯する新田さんがいました。
「師匠、大丈夫か?」
「柏山くん。 ……練習はどうしたの?」
新田さんはこちらに気づくと一歩距離をとりました。
心なしか表情が強張っています。
「師匠が気になっ「やめて!」
新田さんの目の焦点があってません。
ハジメ、なにかおかしいです。
「ああ、分かってる」
「柏山くんも私がウザいと、思ってるんでしょ」
突如、彼女は話題が変わります。
慎重に対応してください。
「なんで、そんな事を」
「だって、今まで遅刻は愚か誰よりも早く来て練習して、頑張ってたのに。急に欠席するって、そういう事でしょ! 昨日、家まで迎えに行ったり、練習を強要したり…」
言い切る前に新田さんが膝からぐずれます。
「危ない!」
それをハジメは受け止めました。
「熱い」
抱きかかえているハジメが呟きます。
今日も保健室は開いてるはずです。
そちらへ運びましょう。
「分かった」
保健室へ行く途中で他の野球部員に新田先輩に連絡だけ頼んで、ハジメは新田さんを連れていきました。
保健室は開いてはいたが、保健の先生は不在でした。
保健室が鍵が開いているということは、慌ててかけ忘れた可能性が高い。
つまり、緊急で呼び出されていった可能性があります。
とりあえず、ベッドに横にして様子を見ましょう。
「了解」
空いているベッドに横にします。
気持ち、先程より顔色が悪くなったように思います。
「お願い。辞めないで…」
新田さんがハジメに手を伸ばします。
「辞めるわけないだろ」
それをハジメは優しくとりました。
「一日休んだくらいで、なんでこんなに思い詰めてんだよ」
昨日は確かに急に休みましたが、大西くんにお願いして伝わるようにしていました。
彼女も、昔に何かトラブルがあったとか。
「トラブルって!」
そこまで分かる訳ないです。
でも、ここまで苦しめるなにかはあったのでしょう。
「俺と同じ」
「柏山、くん?」
新田さんが朦朧とした目でハジメを見つめる。
それに対して、ハジメは握った手に力を入れます。
「大丈夫だ、俺はここにいるぞ」
「ありがとう」
そのまま、新田さんは眠りに落ちたのでした。
しばらくすると、保健の先生と新田先輩がやってきました。
「すまない、柏山。戻って練習を再開してくれ」
「分かりました」
ハジメは新田先輩の指示通り練習に戻ろうと、新田さんの手を離そうとした時でした。
新田さんが手を離してくれません。
「行かないで」
目は閉じているので寝言でしょう。
「また、すぐ会える」
そう言うと、新田さんは手を離してくれるのでした。
「いやあ、随分と仲がよろしいようで」
新田先輩がニヤニヤと笑ってきます。
保健の先生も、「青春だな」とからかってきます。
「失礼します!」
居た堪れなくなったハジメは逃げるように保健室を後にするのでした。
戻ってくると既にメインである守備練習も終わり、殆どの部員が帰路についていました。
「あ、お帰り」
バッティング場には松田さんがまだ待っていました。
ただ、その手にはスマホが持たれています。
「待たせたか?」
「はい? でも、こちらも映研の活動してたんで大丈夫です」
「えいけん?」
「私は兼部してます」
「兼部? 一年で?」
「いやいや、私二年だから。普段ジャージだから気づかなかったかもしれないけど」
彼女は二年生ですよ。
そうでなければ恋さんの件で見せた情報網も説明つかないでしょ。
「……松田、先輩って、呼んだ方が?」
「今更良いわよ。松田で」
あまり怒ってないようです。
松田さんはスマホを見せてきます。
「どう? この動画」
それを見ると一人の女性が世界の不条理を訴えている動画でした。
でも、俗にゆう宗教勧誘動画では?
それに女性は。
「…姉貴」
画像が荒く一見すると誰か分かりませんが、ぼやけて見える顔の輪郭や声の質が姉さんそっくりです。
そして、一番最後には手に持ったナイフを!
「!?」
「柏山くん!」
ハジメはユニフォームのまま一目散に家へ帰ります。
そして、玄関を潜ると母さんを探します。
「早かったね」
母さんはキッチンにいました。
趣味であるお菓子作りをしていました。
「あ、姉貴が!」
「芽明がどうしたの?」
呑気に母さんは出来立てのクッキーを口にしました。
「ただいま〜」
!?
「この声は!」
声のする玄関に向かうとそこにはボストンバックを担いだ姉さんがいました。
「姉貴」
「一樹! 私は自動車免許の合宿から戻ってきたぞ!」
「……バカ!」
ハジメは姉さんを抱きしめます。
驚きのあまり姉さんは固まってしまってます。
「心配させんなよ」
その言葉に姉さんは頷くと、小さな声で「私ルート、来た?」と、呟くのでした。
私、新田 良子は目を覚ますと保健室でした。
「やっと、起きたか」
隣には兄さんがいます。
「過労だそうだ。あまり、頑張りすぎるなよ」
「はい」
私は右手の違和感があるのに気付きました。
ほんのりと温かくて、嬉しくなるような。
「なんだ、柏山と手を握ったのを覚えてないのか?」
「…柏山」
その名を口にした瞬間、私は彼に手を握ってもらった事。
そして、かけてもらった言葉を思い出しました。
ボフン!
「どうした、布団に顔を突っ込んで」
「は」
「は?」
「恥ずか死ぬ」
「そういえば、ここまで柏山が運んでくれたんだぞ」
「そうですか」
「お姫様抱っこで」
ボフン
私は頭を振りかぶってお布団に突っ込みました。
でも、記憶は簡単に消えてくれません。
「自分の気持ちには素直になるんだな」
そう言って兄さんは保健室を出て行きました。
「ただの友達だと、思って、たのに」
負けた気分になって涙が出てきましたが、不思議と嫌ではありませんでした。
「また、会えるもんね」




