第五話 反省しなさい
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再び二人だけになった生徒会室でイツキと恋先輩は向かい合っている。
でも、恋先輩の視線は下を向いていた。
先程までの甘い空気は無く、張り詰めて意識世界の俺ですら息苦しく感じる。
「君のお姉さんが言っていたことは、本当かい?」
恋先輩は冷たい声で問いかける。
「はい」
イツキは迷いなく答える。
それに対して、恋先輩は大きく息を吸い込む。
「わ、私は、イツキに、釣り合わない、だ、だろうか」
震える声で願うように恋先輩は問いかける。
「いいえ、そうは思いません」
その答えに恋先輩は視線を上げる。
その瞳には涙を浮かべている。
「イツキ、それなら」
恋先輩は躊躇いながらも樹の胸にすがり付き、制服を強く握る。
「私は、好きでいて、いいか?」
イツキは笑顔の仮面を被ったまま。
恋先輩を。
引き剥がした。
「え?」
そして、やはりイツキは不気味なほど笑顔のまま口を開く。
その表情はどこか見覚えがあって。
恋先輩が誰かに似ていて。
「僕は自分が錦織先輩に釣り合う人間では無いと思ってます」
…や、やめろ。
「それに、幸せになる資格がないんです。それだけのことをしました」
…やめて、くれ。
「だがら」
…止まれ!
俺はいつの日かのように強く願った。
あの日の自分と同じ涙を見たくなくて。
強く願う。
「そうですか。では、よろしくお願いします」
え?
〜〜
「あ、あれ?」
ハジメを現実に戻します。
かなり、疲れました。
では、思いっきりやってください。
「お、お前、本当に」
最後くらいは自分で閉めてください。
それぐらいはお願いしますよ。
「ちっ!」
あなたは見た目が好みだから、可愛いからそんな理由で告白して。
あまつさえ、自分に好意が無いと分かれば僕に擦りつける。
人の気持ちなど気にせずに。
「そうだよな、俺って最悪な奴だよな」
そうですね。
否定できません。
では、そのツケはしっかり払っていってください。
「ああ、いつかの誰かのように、今度は俺が好きかってにやってやるよ!」
「い、イツキ?」
錦織先輩から見れば、急に一人言を言い始めたのだから驚くのも仕方ありません。
「恋先輩! てんでダメな事を言います。心して聞いてください!」
「は、はい!」
ハジメは屈託のない笑顔で向き合う。
「樹に恋を教えてやってください!」
…
……
………はい?
予想の斜め上に行った言葉です。
「俺がダメな奴なのは分かってる。だからこそ、最後くらいはキューピットくらいしなくちゃいけないだろ。だから」
ハジメの顔は真っ赤になり、次の言葉を紡ぐことができなくなる。
更には錦織先輩が心配そうに覗いてきて、ハジメの限界がきた。
「ごめん、イツキ。チェンジ!」
〜〜
「はいはい」
「だ、大丈夫!?」
恋先輩の覗く顔が画面越しでも破壊力がある。
しかも、その瞳は涙の後で赤くなってしまった事に申し訳なさで俺はどうにかなりそうだった。
「本当に仕方ないですね」
イツキは穏やかな笑顔を浮かべて、恋先輩の手を握る。
「先程も言った通り、僕はあなたに釣り合わないと考えていますし、僕がしたことは許されない。幸せになっていいか分からな「イツキ!」
恋先輩は樹の握った手を強く握り返す。
「私が幸せにする。だから、そんな事言わないでくれ」
「はい。分かりました。それでは、恋人としてよろしくお願いします」
「ありがとう、ぜったいに幸せにする!」
「錦織先輩が幸せなら、僕も幸せです。それと…」
樹は制服の裏ポケットから一冊の黒い本を取り出す。
「これは?」
「錦織先輩。まずは、交換日記から始めましょう」
恋先輩は日記帳を樹から受け取ると大事そうに胸で抱きしめて、笑顔を浮かべる。
「…はい」
そして、涙を流した。
「はい!」
長い昼の時間が終わり、授業が始まる。
恋先輩はもう少ししてから自分の教室に行くとのことで、生徒会室で別れるのだった。
まあ、涙を流した後すぐに教室には行けないか。
それで。
イツキ、いつから日記帳を用意してた?
「呼び出される前に言いましたよ。考慮すると」
は?
なら、その時には。
「こんなに展開が早く進むとは思っていませんでしたが、どんな関係なろうと、続けていこうと思ってましたよ」
な、なんで!?
「理由なんていくらでもあるでしょう。真面目で、優しくて、少し天然で、ちゃんと好きでいてくれる。断る理由がありますか?」
た、確かに無い。
「まあ、これで本当にハジメが錦織先輩をフルようならこちらも色々ハジメとの関係を、考え直さなくてはいけませんでしたが」
なあ、俺は智香みたいだったか?
「状況も関係も違うから一概には言えませんが、相手を思いやるという点においては、明らかに違いましたよ」
そうか。
「でも、いいのですか?」
なにが?
「僕と錦織先輩が付き合うとなると、ハジメは恋愛できませんよ」
あ!
私は一樹に言われて生徒会から出てすぐだった。
「すみません。事務所に来てもらっていいですか?」
警備員のおじさんがいました。
全く、これから落ち込んだ一樹を慰める役目があるのに。
「とっつぁーん。その話はあとでじっくり聴かせてもらうわ。んふふ、お達者で!」
私は走り出した。
警備員のおじさんも合わせて走り出します。
「な、なんで逃げる!」
「生きて会えたら答えを教えてあげる」
さて、逃走になりましたが、私にはこれこれがあります。
ダンボール!
ある、おじさんが言ってました。
ダンボール箱をいかに使いこなすかが任務の成否を決定すると言っても過言ではないだろう、と。
「くそ! さっきまでいたのに!」
すぐ、そばにいても気付かないなんて、ダンボールは万能ですね。
さて、帰るとしますか。




