第二話 野球部1
いつも、コメントありがとうございます。
明日からまた、二、三日に一度の更新に戻ります。
今日の朝練が終わりました。
しかし、ここ数日でのハジメの成長は著しく、僕が考案した基礎トレーニングをホームルームが始まる三十分前には終わらせていました。
「もっと、軽くて、いい」
筋トレは辛いと思う少し先までやらないと意味がありません。
「なに、その、マゾ、思考」
それが筋トレにいいらしいです。
だからこそ、ボディビルダーはマゾが多いと言われる所以なのでしょう。
息を整えて、少し早いですが教室にいきましょう。
この前のテスト結果も気になりますし。
「そういえば、今日がクラス決めテストの結果の日か。実際、テストで順位を決めるってどうなんだろうな」
効率でいえばこれ以上ないですよ。
数学、国語、理科、社会、英語の五つの科目でそれぞれクラス分けして、得意科目は更に伸ばし、苦手科目は基礎から再度教え込まれます。
「まるで、塾みたいだ」
そうですね。
でも、受験の時になれば理系を受けるか文系を受けるかで、各科目の重要度も変わってきますし、私立になれぼ受けなくていい科目もあります。
それに、スポーツ推薦を狙える学生は二年生の段階で最低単位以外の授業を免除されます。
まあ、並々ならぬ努力が必要ですが。
「スポーツ推薦か」
「なんだ、柏山もスポーツ推薦狙うのか?」
ハジメが息を整えて汗を拭いていると、後ろからイケメン坊主が話しかけてきます。
彼は…
「髪が早く伸びてくるといいな、大西」
そうそう、大西 直也くんです。
バスケの件の時、肩を叩いてきたのが彼でした。
「…そうだな」
イケメンなのに坊主とはとても残念です。
だが、これには理由があるらしいのですが、教えてくれません。
よっぽど辛い事があったのでしょう。
「つか、朝から三キロ走らせるって、鬼畜だよな」
「た、確かに?」
「まあ、柏山は更に腕立てとかやってるし、そうでもないってか」
「そりゃそうよ」
新田さんが乾いたユニフォームを、カゴいっぱいに持って運んでいます。
「柏山くんはここにくる前に既に五キロランニングしてるわよ」
「マジかよ。体力オバケの名は伊達じゃないな」
最近は遠回りして更に二キロ増やしたのですが、言わなくてもいいでしょう。
また、新田さんが呟いた言葉が何故かハジメの別称になっていました。
他にも、野球強豪校との練習試合でホームラン取ってしまったのも注目される理由になってしまったのでしょう。
今では先輩方からもその名で呼ばれます。
「そういえば、スポーツ推薦って聞こえたんだけど」
「そ、俺らはスポーツ推薦狙おうって話ししてたのよ」
「大西くんはともかく、柏山くんはゴールデンウィークから夏の甲子園に向けての地方大会メンバーとして、練習始まるって、兄さんが言ってたし狙えるわよ」
「なに!?」
「そうか」
でも、補欠でしょう。
夏の大会は三年生最後の大会です。
入れるだけラッキーです。
「期待されてるって事なら、全力で挑むだけだな」
「そ、そう」
「それよりもう時間だぜ。遅刻するぞご両人」
「そうだな、ほら」
ハジメは新田さんの持っていたユニフォームを奪い、走って部室に持っていく。
戻ってくると新田さんだけが待っていた。
「あれ、大西は?」
「先行った」
トイレでも我慢してたのでしょうか?
それよりも、遅刻してしまいますよ。
「そうだった」
僕たちは急いで昇降口に向かいます。
その手前にある連絡板に人が集まっていました。
テスト上位者の名前が張り出されているようです。
「柏山くん、私たちには関係ないでしょ」
「かしやま?」
新田さんに名前を呼ばれたと同時に、連絡板を向いていた視線がこちらに向けられる。
「全科目一位だ」
「社会以外満点」
「その社会も九十七点だろ? ヤバイな」
周りの声に新田さんが白い目でハジメを見ます。
「スポーツ推薦いらないじゃん」
そうですね。
俺は今まで部活に生きてきた。
一番上の兄貴も、二番目もそうして生きてきた。
そして、俺もそうだと思っていた。
だが、去年の冬だった。
スポーツ推薦で帝海大学付属高校の入学も決まり、兄弟三人公園で肉まんを食っていた時だった。
「俺、この前好きだった後輩に告白したら、成功した」
二番目の兄貴 翔也が報告してきた。
一番上の兄貴も、俺も思わず肉まんを落としてしまう。
「なにかの冗談だよな?」
「いや、マジだ」
「嘘だと言ってくれ!」
「いや、マジだ」
「翔也兄さんだよ。嘘はいけないって教えてくれたの」
「いや、マジなんだって!」
「「そうか」」
俺たちはそれ以上の言葉を持ち合わせていなかった。
次の日から翔也兄さんは彼女とよく遊びに行くようになった。
その度にどうやって彼女と距離を詰めていけばいいのかなど、相談をしてくるようになった。
正直、ウザかった。
一番上の智也兄さんは香水をつけたり、髪を遊ぶようになった。
そんな、智也兄さんが言った。
「奴の顔は中の下程度の顔だ。だが、お前は母親似でそこそこイケメンの部類に入る。本気を出せ直也」
その言葉で俺は高校デビューを決めたのだった。
女子が好きだった漫画の主人公は青い髪だったな。
高校デビューした俺はその日の内に、学校に来た両親に丸刈りにされるのだった。




