突然ですが、プロローグです。
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中学三年の冬。
受験を来月に控えた学校帰り。
すでに自由登校で、本来なら今の時間は塾の個人スペースで勉強をしている。
だが、呼び出された俺は学校と最寄りの駅の間にある小さな公園にいた。
「ごめんね。もう、別れて欲しいの」
そう切り出してきたのは、去年の夏から付き合っていた幼馴染みの 桜井 智香 だった。
昔からずっと一緒だった。
天真爛漫で、いつも笑顔な彼女がいつの頃からか好きになった。
そして、意を決して告白したのだ。
その後、一緒の高校に入ろうと、この一年半共に切磋琢磨し、本来は合格圏内に入ることができなかったのに、受ければまず落ちないレベルまで、成績を上げることができた。
「な、なん、で?」
ずっと、好きだったのに。
ずっと、一緒に頑張って来たのに。
なんで、このタイミングで言うの?
「前から好きだった先輩にこの前あったんだけど。その時に告白されて」
「え?」
「OKしちゃったの」
こいつは何を言ってる?
俺という彼氏がいるのに。
「元々、幼馴染みのよしみで、付き合ってたし。遊びの延長線みたいなものだったし、ね」
智香は俺との恋愛はお遊びだった。
俺のことなど幼馴染み以上には思ってなかった。
ピシッ
受け入れがたい現実に泣きたくなる。
でも、涙は出てこなかった。
「じゃあ、これからはまた幼馴染みとしてよろしく」
智香は俺に握手を求めてくる。
ピシッ
彼女を抱きしめて、好きだと伝えないと。
でも、その感情とは裏腹に俺は彼女の手を握った。
それが、彼女の為になるなら。
「うん、ありがとう」
彼女は今まで見たことのないほどの満面の笑顔を見せる。
智香が幸せならそれでいい。
智香が幸せならこれがいい。
智香が幸せなら。
これだから、俺は俺自身が嫌いだ。
ピシッ
「なら、好きにするね」
どこからか、声が聞こえる。
気づくといつの間にかモニターしかない部屋にいた。
モニターには智香が、驚いた顔が写っていた。
「こちらこそ、今までありがとうございました。おかげで、成績も上がって高校に行けそうだよ」
俺の意思ではない俺の声が聞こえる。
「え、え?」
「僕も都合が良くて彼氏やってたから、智香から切り出してくれて助かりました」
戸惑う智香など気にせず、俺の声で誰かが畳み掛けるように、言葉を発していく。
…や、やめろ。
智香の手を離す。
…やめて、くれ。
智香を置いて歩き出す。
止まって!
公園を出る直前でやっと止まり、智香の方に振り返る。
「……一樹」
泣きそうな彼女を見て胸が苦しくなる。
だが、モニターの彼女には手が届かない。
「もう会わないだろうし」
そして、俺の声を操る悪魔は
「幼馴染みもいらないよ」
俺の恋愛にとどめを指したのだった。
生まれましてこんにちは。
もう一人の僕です。
「俺」の方の僕は大変女々しく、見ているのも辛かったので、思わず身体を奪ってしまいました。
産まれだばかりであまり恋愛に得意ではありませんが、言えることは一つですね。
受験前になにしてんのお前ら!?
つか、同じ高校受けるとか無理だろ!
でも、今から志望校変える?
もう一人の僕は勉強するモチベーションも無くなりましたし。
仕方ない、ここは僕が一肌脱ぐとしますか。