孤独な祈り子【一人で詩の連作企画⑧】
夢にまで想っている
遠き地に立つ君の姿が
どうかどうか哀しげでないよう
眠っている間にすら、祈る
↓ いのる
君を取り囲むすべてへの羨望
これはそれ以上のなにものでもない
君を待ち受けるすべてへの祈り
僕にはもうそれしか残されていない
↓ すべて
それはただ、深く深く
君の全てを貪り尽くすように
ほら、捕まえた
もう二度とはなしてやらないんだ
↓ ふかい
美しく輝く思い出ばかりが
我が物顔でのさばっているが
そこにあったはずの深い絶望も
私は愛おしくてたまらなかったのだ
↓ うつくしい
あなたは私の初めてのひと
こんなにも美しく
こんなにも哀しく
こんなにも私を掻き乱す
↓ はじめて
私は怯えた
初めて見せた君の真実に
そして同時に
歓喜に震えてもいたのだ
↓ おびえる
痛みと渇きに飢えているんだ
ぬるい平穏に浸ってしまえば
怯える君を捉える牙も
朽ち果ててしまう一方だ
↓ いたい
痛くて痛くてたまらないんだ
変わらぬ笑顔を見て気付く
ふたりを繋ぐ一本道の
遥か先に、君は居る
↓ はるか
どうしたってきみは
私の理想のはるか前をゆき
そして決して
こちらを振り向こうとはしないのだ
↓ りそう
何故かしら
その声も、手の大きさも
理想とは全然違うのに
その笑顔は反則だわ
最後までお読み頂きありがとうございました。
vol.08のこちらは、片想いを主軸とした作品群になりました。叶わぬ片想い、然れど相手の幸福は祈る。それは究極の自己犠牲でもあり、ひとつの愛のかたちでもあると思います。
ひとつでもあなたの心に響く作品があれば光栄です。