短編ギャグ小説 「ち○ップスターの逆襲(ぎゃくしゅう)」
雨が降っている。
しとしと雨だ。時折り、ぽとん、ぽとん。
と、たまった雫が、アルミサッシに落ちる音がする。
雨のせいか、気温は低い。
もう、どれくらい経っただろうか?
2、3分は経っただろうか、、
妻が家を出てから、しばらく時間が経った。
僕は、思い出していた。
ーーー「チップスター」というポテトチップスがある。普通のポテトチップは、押しつぶされて、ぺちゃんこになってて、まっ平が多い中、こいつは、へそ曲がりなんだ
ーえ?ポテトチップにヘソはついてないって?
「ヘーソうですか、、」
「お前のカーチャン、デーべそ」
「違うわい!」
「へーウソでーす」
「あ、わかった。タンスに隠してるやつだ。」
「ヘソくりでーす」
「じゃあ、上の服と下の服の間が無い服だ!」
「ヘソだしでーす」
「フィリピンのお金だー」
「ペソでーす」
※これらをヘソ曲がりの逆襲(ギャグ集)というー
いや、違くて、チップスターが、曲がっているということ。あとね、チップスターは、20cmくらいの、円筒形のフタ付きの入れ物に入っているんだってことなんだ。
妻が、家を出る時に言っていたこと。
それは、「チップスターを(あ)ソコに被せとけばいいじゃん」
、、、言い残して家を出た。ーーー
それから、しばらく時間が経っていたんだ。
それはまるで、時が経てば経つほど伸びていき絡みついていく、ツタのように、僕の心の中で、にょきにょき、モゾモゾと伸びていった。
「被せとけばいいじゃん。って言ったって、、、」
僕はもやもやとしていた。
ーー被さなくたって、被っとるやないか。。。(笑)
さらに被せたら、厚着しすぎて、息ができない状態になるわ!
帽子の上に帽子被って、ダブル帽子になって、わしはサーティーワンアイスクリームじゃないやい!!!ーー
そう思っていた。
コーヒーをすする音がする。
最近ハマっている、“完全無欠コーヒー”だ。
ー普通のインスタントコーヒーと何が違うかって?
そう、ギーバターと、MCTオイルが入っている。“飲んでエネルギーに変わる特別なコーヒー”なんだ。
最近毎朝飲んでいる。
これをYouTubeで紹介していた外人さんは、
「これを飲むとブッッ飛ぶぜ!!!」
っなんて言っていた。
なんでも、MCTオイルに含まれている中鎖脂肪酸が、ブドウ糖よりも吸収効率が良いケトン体に変わるから、脳への栄養補給に大変良いらしい。
「No!と脳は言った。僕は言い返す、YESだろ!!」
つまり、砂糖やブドウ糖、果糖よりも、脳へ脳(濃)厚な栄養が吸収できて、脳好な感じになる。というわけだ。
ギーバターは、別名グラスフェッドバターとも言い、無農薬の牧草だけを食べて育った牛の乳からできているバターで、常温でもドロドロにならない、安全性と栄養価が高いバターなのだ。
それをコーヒーの中に小さじ1杯ずつ入れて、IKEAで売っているミルク泡立て器で、15秒ほど混ぜる。
すると、“完全無欠コーヒー”が出来上がるのだ。ー
そんな事を考えながら、時間が過ぎていく。
時折り、ぽとん、ぽとん。
と、たまった雫が、アルミサッシに落ちる音がする。
すると、突然、電話の音が鳴った!
電話に出てみると、
「ケータイの充電ケーブル忘れた。」
と、妻が言っていた。
僕は、あわてて外へ出た。
ーあれ?妻がいない
「え?どこにいるの?」
僕は答えた。
「ちょっと待ってて。」
僕は待つ事にした。
雨が冷たい。
僕は濡れないように、雨が避けられる所で待つ事にした。
右手でケータイを持ち、左手には、チップスターの空の円筒形の容器を持っている。
「大和魂を見せる時が来た」
僕は決めていた。
時は早朝、6時台。
3分ほど、少し雨に濡れつつも、妻が到着した。
白の軽の冷蔵車が、目の前に止まる。
僕は左手で、股間に20cmの円筒形のチップスターの容器を被せていた。
急ぎ助手席のドアを開けると、iPhoneの充電コードを投げ入れた。
ドアを閉める
車が走り出す
少し先で車がUターンをした。
僕は再び、チップスターの容器を、サッと(服の上から)ア○コに被せて、
角度を30度に立てて見送った。
ガラス越しの妻は
笑っていた。