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帰路

前世がユークリッドである事が証明された俺は、王都があるサティスの街に帰還する事になった。


帰路の途中、馬を操るアレックスが前を見たままで声を掛けてきた


「悪いね、窮屈で」


「いいや、乗せてもらえただけでありがたい。俺一人だけ置き去りにされたら、トボトボ歩きで王都へ向かう事になる所だった」


「流石にそんな事にはならないと思うけどね」


近衛騎士団は皆、馬で遠征を行う。そにため帰りも馬で帰ることになるのだが、馬の余りがいなかったため二人乗りになってしまった。


「面影は十分にあるけど、15年で結構変わったよな。街並みも、人も」


「そうだね。15年という月日は長かった。亡くなった者も少なくないよ。街並みは、君が亡くなった後にバブル期が訪れて、みんな家を建てたんだ。その影響だよ」


「なるほどな。そういえば、俺が住んでた家はどうなった? 」


「・・・・・・残念だが、今は酒場になっているよ」


まだ建っているなんて期待してはいなかったが、本当に帰る家が無いと思うと寂しいものだ。


「そうか。それは残念だな。ひとつお願いしたいのだが、今月の宿代を貸して貰えないか?」


「それぐらい、お易い御用だ」


と、ここで赤色の瞳に金髪の青年が話に入ってきた。


「アレックスさんばかり、良い人にはさせないですよ! 僕がユークリッドさんのお食事代をお出しします! 」


「ありがとう! とても助かる。自ら名乗りを上げてくれるとは。しかし、君が私の飯代を出そうと思ってくれるほど生前の私と君の間で深い関わりがあっただろうか」


「20年ほど前に私の一家がヤクザ達に恐喝されていた際、ヤクザを逮捕して下さったのがユークリッドさんなんです! 」


思い出した。まだ幼いのに、必死に母を守ろうと小さな背中に母を庇う少年の姿には感動させられた。


どうして彼の顔が直ぐに思い出せなかったのだ。


「すまない、今思い出した。母を守る君の勇気には感動させられたよ」


「思い出していただけて光栄です。強い力を弱い者の恐喝に使う者がいる反面で、強い力を正義の為に使う人がいる。それに感動して、僕も近衛騎士団に入ったのです」


「そうか。立派になったーーいや、あの時から君は立派だったな」


「ありがとうございます。しかし、まだまだ実力不足です。ちなみに、あの時の母は妊娠していたのですが、無事に妹が産まれました!」


「そうか! それは良かった。君の勇気も報われたな」


そんな話をしているうちに、近衛騎士団一行と魔王の息子は王都へ到着した。




「ユークリッド、今から活動報告へ国王の前へ行くから君も付いてきてくれ」


騎士団の本部で少し休んでいると、アレックスに声をかけられた。


「それは良いが...今のこの姿では、色々面倒ではないか?」


「それはそうだね。じゃあ、一旦この手錠でも付けていく? 君の力なら、一瞬で破壊できそうな手錠だけど」


「いいね、そうしよう」


こうして、魔王の息子を捕らえた団長と、捕らえられた魔王の息子は城へ向かった。

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