エピローグ『レベルカンストの私とレベル2の少年』
そういう訳で、エピローグ。
というよりもただの後日談。
あの後、少年にかけられた『呪い』めいた何かを解除してもらおうということになった。
しかしながら、少年にかけられた呪いというのは、のろいというよりかは、やっぱりスキルの一種らしく、そう簡単に解明出来る訳がない、という結論に至ってしまった。
何せ、開発者すら分からない『スキルシステム』。
結局、レベルが上がらないという現象はただのスキルということで結論付けられてしまった訳だが。
渦中の少年は意外にも、それに何も感じていないらしく、今日もゴブリン退治に勤しんでいる訳だ。
ちなみに、私とはもう縁を切っても良いのではないか、などと考えていた時期もあったが、意外にも少年側から「まだ続けてください!」と言ってきたので、私もそれに倣って、今日も旅をしている、という訳である。
まあ、少年が良いというのなら良いのだけれど。
もし『駄目』などと言われたらどうしようかと逆にこちらが思っていたぐらいだった訳だし。
「アリスさん! 僕やりましたよ!」
クエスト達成後、少年が私に語りかけてきた。
「何が?」
「何が? じゃありませんよ! 僕、遂に『レベル2』に上がったんです!」
「そんな馬鹿な!」
急いで確認すると――確かにレベル2に上がっている。
どうしてだ? 何故急にレベルが上がったんだ?
まさか、『他人の何倍以上も経験値を稼ぐ』必要があっただけで、ただレベルが上がるシステムは適用されていた、というのか?
「これで、僕のこと名前で呼んでくれますよね!」
そう言われて、はっとする。
少年はずっと――そのために行動していたのか。
そう思って、私は、ああ、と頷く。
「…………で、なんて名前だったっけ?」
エクスです!! という言葉がアビス・ファーストのオンラインカウンターに響き渡ることになった。
これで、私達の冒険譚はいったん幕を閉じる。
これから私達は良いバディとなり、様々なクエストを攻略していくことになるのだが――それはまた、別の話になる。
(終)




