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レベルカンストの彼女とレベル1の僕  作者: 巫 夏希
第五章 その『色』めき立つ世界を
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第五章6『希望』


 エレベーターが到着する。扉が開くと、そこには玉座とも言えるような椅子が一席用意されていた。

 そして、その椅子に腰掛ける一人の少女。

 白いワンピースに身を包んだ彼女は――紛れもなく、あの『白き女王』だった。


「白き女王……! どうして貴方がここに?」

「私は過去の白き女王を知らない。言うならば、私は二代目。二代目かどうかも分からないけれど、それ以上に、私はただの操り人形になるしかないのかもしれない」

「お前は、操り人形になることを許せるというの……?」

「許せるか許せないか、という問題じゃない」


 ドン、と強い勢いがやって来た。

 それだけで何人もの人間が倒れた。肉体的にダメージを受けた訳ではないが、それでも、ある程度精神的にダメージを受けてしまっているのかもしれない。

 さらに白き女王は話を続ける。


「私は。私らしく生きていく。そのためにも、貴方達を倒す」

「それが正しい選択かどうか分からないじゃない! もしかしたら、共存する道があるかもしれない」


 ドドン、と強い一撃がさらに起こる。

 今度は私も吹き飛ばされそうになったが、すんでのところで押さえ込む。

 しかし、それも限界に近い。

 ならば、踏み込んでいくしかない!


「白き女王! ならば、私達は貴方を倒す! 時間がないのでね!」

「うおおおおおおおおおおおお!」


 雄叫びを上げた(つわもの)どもが、一斉に『白き女王』に襲いかかる。


「待て! 白き女王はどういう攻撃をするか分かったものじゃない……」


 しかし。

 しかし。

 しかし、だ。

 それよりも先に、白き女王の一撃が、私達に襲いかかる。

 ズドンッ! と重力に従って攻撃されるその一撃は、私達に重くのしかかってくる。


「不味い……不味い……不味いっ……!」

「おい、アリス! 俺達はどうすれば良い? いったい全体どうすれば良いのか、先ずはお前が言わないと何も始まらないだろうが!」

「それは……分かっている。しかし、流石に想定外だった。白き女王が生きているとは……」

「白き女王が生きているからどうしたっていうんだ! あいつは元々死んでいたような存在だ。そもそも! プログラムに生きているも死んでいるもあるものか! さっさとこいつを倒さねえと、アビスクエストの平和は戻ってこねえ! そうだろう?」


 それは、そうだった。

 まさか、こんな低レベルの人間に言われることになるとはな。少しは考えを改めなくてはならないのかもしれない。


「ならば、進むぞ! 目的は、『白き女王』! 白魔導師は防御魔法を使い、盾を生み出せ! 攻撃が出来るジョブの持ち主は順次白き女王にめがけて自らの全力をぶちまけろ!」

「応!」


 VS白き女王。

 遂に再戦のその幕が切って落とされるのだった。



 ◇◇◇



「どうして、どうして……?」


 白き女王は悩み、考えていた。


「全力をぶつけているはずなのに、どうして彼らは倒れないの……?」


 白き女王はさらに攻撃をぶつけていく。

 しかし、白魔導師の放った防御魔法に遮られてしまい、それすらも当たることが許されない。


「どうして、どうして、こいつらは、全力をぶつけても襲いかかろうとするの……? 諦めようとしないの……?」


 それは、彼女には分からない。

 それは、彼女には分からない。

 分からない。分からない。分からない。

 分からないからこそ、分かり合えるのではないか?

 彼女はそんなことを考え始めていた。

 そして、彼女は一つの選択を下すのだった。



  ◇◇◇



「ちょっと待って……! 白き女王から何らかの信号を受信! 信号内容、解析するわ……。『白旗』ですって!?」


 白き女王、人間に対し白旗を宣言。

 受諾するかしないかは、人間側のリーダーであるアリスに託される。



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