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レベルカンストの彼女とレベル1の僕  作者: 巫 夏希
第二章 その『白』の【アビスロード】は歌う
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第二章3『白き女王に向けた作戦会議』

 【アビスロード】白き女王との決戦は三日後に決められた。

 とはいうものの、【アビスロード】は一度その場に滞在したら一ヶ月以上は滞在することが多く、そのタイミングであればいつ参戦しても問題無いということだ。ちなみに、【アビスロード】自体はプログラミングされている訳では無く、運営の考えた『バグ』の一種であろうと言われている。自動的にAIが組み込まれており、それによってバトルを繰り広げる。


「【アビスロード】に挑戦なんて並大抵の冒険者でもしませんよ。だのに、レベル1のあなたが早速やってくるなんて」

「だって、【アビスロード】はこのアビスクエストのエンドコンテンツじゃないですか。絶対に倒す、というよりかは絶対に見つけてみせる! といった方が正しいかもしれないですね!」


 『アビス・ファースト』の受付員はそう言って、少年に警告を促した。

 しかしながら、少年はワクワクとした様子で、


「でもでもでも! 楽しみなんですよ! 【アビスロード】って会ったことがないから! 【アビスロード】に出逢うには、どうすれば良いんでしょうね!?」

「【アビスロード】はいつも同じ場所に居ますから、そこへ向かえば必ず会えますよ。けれどまあ……何というか、気まぐれな方だらけですけれどね」

「気まぐれ?」

「実際に会ってみれば済む話ですよ」


 受付員は溜息を吐いた表情を浮かべて、そう言った。



 ◇◇◇



 白き女王。

【アビスロード】最強格にして、その【ゲームオーバー】数は数知れない。

 文字通り白いドレスに身を纏った彼女は、白のツインテールをして、山の崖沿いに座り込んでいる。


「あーあ、退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ。退屈じゃ」


 呪詛のように、永遠に退屈であることを告げ続ける白き女王。

 白き女王は歌うように話を続ける。


「それにしても【アビスロード】というのは退屈なものですね。まったく。AIに『自意識』を芽生えさせたらどうなるか、という実験を重ね続けた結果がわたくしたち【アビスロード】だというのに、その設定が強すぎるせいでユーザーが誰も挑むことを知らない、訳の分からない存在になってしまったというのが正直なところでしょうか。何というか、面倒な存在ですわよね」


 白き女王の話は続く。


「うふふ、うふふ。人間とはかくも面白い生き物ですこと!! 【アビスロード】として私がいざやってくるとてんてこ舞いになるのですから!! ああ、楽しいったらありゃしない」


 白き女王は、足を組み替えてさらに話を続ける。


「少しは骨のある人間がやってきてくれればいいのですけれど。もしかしたら、私の『伝説』を既に知っている人によって、何人かは行きたがらない人間が居るかもしれませんわねえ!! あははは、あはははははははっはははははっははははははっ!!」



◇◇◇



 そういう訳で対策本部を立てることになった。

 リーダーを務めるのが、『アビス・ファースト』で一番レベルの高い、ってかレベルカンスト勢のアリスだった。


「それじゃ、アリスさん。状況報告をお願いします!」


 直ぐ横に座っている少年が、アリスに状況を質問する。


「私も訊いた限りなのではっきりとしてはいないのだが……、『白き女王』は北方に位置する山の山頂にただ座っているだけらしいのだ」

「座っているだけ?」

「何か攻撃のチャンスを窺っているだけなのでは?」

「ええい、静粛に。静粛にしろ。白き女王がどのような攻撃をしてくるかは分からない。とにかく今は待機フェーズに入るべきだと思う」

「あの、」

「何だ、少年」

「アリスさんは一度、白き女王と対面したことがあるんですよね? そのときはどんな攻撃をしてきたんですか?」


 そう。

 皆が聞きたかったのはそこだ。

 寧ろ作戦に参加したくなくても、【アビスロード】とレベルカンスト勢の戦いを聞く機会など滅多に訪れない。

 だから、その為に参加している人間も少なくなく、寧ろ作戦に前向きの姿勢を示しているのは、今集まっている人間の三割ほどと言っていいだろう。


「わ、私が参戦したときは未だレベルカンスト勢には入っていなかった。確かレベル130ぐらいで挑んだ戦いのはずだ。それでも構わないか?」


 レベル130クラスでも、ユーザーピラミッドの五パーセント未満と言われている。

 だが、彼女はそれを『その程度』と言ってのけたのだ。

 それを聞いて苛立ちを隠せない人間も少なくなかった。

 だが、それ以上にレベルカンスト勢と【アビスロード】との戦闘、その行方が気になったのだ。


「私が戦闘に参加したきっかけは、私の『師匠』とも言える存在が【アビスロード】『白き女王』を倒そうと言ったのがきっかけだった。師匠の言うことには何でも従う。それが私のルールであり、やり方だったのだ」


 そして、語られ始める。

 これから語られるは、半年前に起きた【アビスロード】戦の行方。

 


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