第6話 彼女は聖母ですか?....いいえ、ただのシスターです
シスターのマリアさんにシリエスから頼まれていた物を渡す。
「うん、確かに受け取ったわ。シグレ君、よかったら休んでいかない?」
「では、お言葉に甘えて」
そう答え、近くの椅子に腰をかける。
すると、子供達が群がってきて
「お兄ちゃん誰~?」
と聞いてくる。
子供たちに囲まれ、たじたじになってると
「この人は私のお友だちよ」
マリアさんが助け船を出してくれた。
「あ!マリアお姉ちゃんの彼氏~?」
一人の女の子が聞いてくる。
「ははっ、ただの友達だよ」
僕はさらっとかわす。と言うか友達どころか今日が初対面だ。
「ふ~ん」
「な~んだ」
そう言うと子供たちは何処かへ行ってしまった。
「ごめんなさいね、ここに男の人来るのは久しぶりなものですから」
マリアさんは暖かい飲み物を持って来て、そう告げた。
「そうなんですか」
「シリエスやシズクちゃん、それにフェルレナ様もたまに来てくれるんですよ」
「へー、フェルも来るんですね」
「ええ、お仲間の方と一緒に。
実はフェルレナ様は子供好きなんですよ」
「それは初耳ですね」
「まあ、忙しい方なのであまり来られませんけど」
カーン、カーン
時計台が15時を知らせる鐘をならす。
「そろそろ帰りますね」
「そうですか、シリエスによろしくお伝えください」
「はい、ではまた」
「迷子にならないで下さいね~」
そんなことを言われてしまった。
どうにか迷わずに帰れた。
「あ、お帰りシグレ」
「ただいま。それにしてもシリエスが孤児院に通ってるなんて...」
「なによ。行ったら悪いの?」
「そうじゃないけど、シリエスは仕事一筋だと思ってたからさ」
「確かに私は小さい頃から鍛冶士の修行とかあったけど、息抜きしないと倒れるじゃない」
「つまり、孤児院には息抜きついでに行ってたと」
「まあ、そうなるわね」
「シリエスって案外普通だね」
「なんだと思ってたの?」
「う~ん、仕事人間?」
「なんで疑問形なのよ」
「深い意味はないよ。ただ、シリエスは若いのに自分の店持ってるから凄いな~って」
そう言うとシリエスは少し嬉しそうな顔をした。
「シグレもちょっと頑張れば直ぐに自分の店持てるわよ。だってシグレは天才だもの」
何故か自信気にそう話す。
そんなとき、コンコンと店の扉を叩く音がする。
扉を開けると、フェルと見知らぬ黒髪の女性がいた。
黒髪の女性と目があったが、直ぐに反らされてしまう。
「あ、フェル。それにアスハも」
シリエスがそう声をかける。
フェルと黒髪の女性(多分アスハ)が店に入る。
するとフェルは真剣な顔で
「シグレ・ホージョー殿に国王陛下より預かって参った」
と言うと手紙を渡された。
その内容は簡単にいうと
『僕の造った剣を是非見てみたい』
と言うものだった。
「えええええ!?」
この世界に来てこんなに驚いたのは初めてだった。




