第5話 この世界にもなれてきた....ところでここはどこだい?
10話ぐらいまではヒロイン登場回です。
僕がこの世界に来て一週間ほど経った。
この世界の事を大分知れた。
まず驚いたのは文字や言語は元の世界と同じだということ。
食事もそんなに変わらないこと。
(正直、得体の知れないものを食べるはめにならなくてよかった)
それとこの世界にも四季があるらしい。(今は冬のようだ)
それから魔王についてだ。
魔王は魔界にいるのだが、10年ほど前から行動が活発化しているらしい。
それに対抗するために特別な力を持つ勇者を探して5年前に見つかったのがフェルレナらしい。
ちなみにフェルレナの出身はカランドの東にある田舎町だという。
シリエスとはフェルレナがカランドの町に来て困ってる所を助けられてから仲良くなったそうだ。
この町の暮らしにはまだ慣れない部分もあるが、どうにかやっている。
「シグレ~、ちょっと来て~」
おっとシリエスが呼んでいるみたいだ。
「どうしたの?」
「これを届けて欲しいんだけど」
そう言われ、バスケットと紙切れを渡された。
「こっちは地図ね」
紙切れには道順と目的地が書いてあった。
「分かった。行ってくるよ」
バスケットと地図を持って出掛けた。
のだが...早速迷子になってしまった。
目指していたのは街の外れにある孤児院なのだが、路地裏に入ったとたん迷子になった。
「う~ん、迷った」
そう呟く。
すると、前から二人の子供がリンゴを抱え走ってきた。それを果物屋のおやっさんが追いかけてる。
「おい、あんた!そのガキ共捕まえてくれ!」
おやっさんがそう騒ぐので子供たちを捕まえる。
「はー、はー、助かったぜ。.....誰かと思えばシリエスんとこの居候じゃねえか」
「どうも。それでこの子たちは?」
「うちのリンゴを盗みやがったんだ」
おやっさんがそう言うと
「金はちゃんと払ったぞ!」
「離せ、離せ~」
「おやっさんはこの子たちが盗んだの見たんですか?」
「いや、見てねーな。でも、このガキ共がリンゴ持って走って逃げるのが見えたんだ」
「ちゃんと金は払ったぞ!おっさんはいなかったけど、
ばあさんいたから机の上に置いといたぞ」
ばあさんとはおやっさんのお母さんのことでたまに店番している。
「そう言えば、ばあさんが金くれたな。あれリンゴ代だったのか?」
「多分そうですね」
「ヘッ!やっぱり無実じゃねえか!」
おやっさんは何度も謝っていた。
僕は元の用事を思い出した。
「そうだ、おやっさん。ここに行きたいんだけど...」
そう言って地図を見せる。
「そこならこの子らのほうが詳しいぜ。
俺は仕事に戻らねえと行けねえから。じゃあな」
おやっさんは帰っていった。
「ここなんだけど分かるかな?」
今度は子供たちに地図を見せる。
「おう、いいぜ。ついてこいよ」
そう言われ、子供たちの後をついて行くと
直ぐについた。
僕はどうして迷っていたのだろう。
「ただいま~」
「ただいまー」
どうやらこの子たちも孤児院の子供らしい。
「お帰り。あら、その人は?」
修道服の女性(歳は18ぐらいだろうか。それにしては大人っぽい)がこちらに気づく。
「シリエスに頼まれてこれを持ってきたんですけど....」
そう言うと
「ああ、あなたがシリエスのとこで居候してる天才さん?」
と言われた。
「天才?」
「ええ、シリエスが嬉しそうにあなたのこと話してくれたわ」
「えっと...あなたは...」
「自己紹介がまだでしたね。わたくしはこの孤児院で子供たちのお世話をしてます。
シスターのマリア・センテバスと言います。シリエスとは幼なじみなんです。
ところであなたお名前は?」
「時雨です」
「よろしくね、シグレ君」