第3話 二人暮らし始めました。そんなことより突然、才能が開花したんだが...
シリエスの家に戻った二人は夕食の準備をする。
しかし、時雨は料理ができる訳でもなく完全にお客さん状態だ。
夕食の準備が終わり、二人で食べ始める。
すると、シリエスが口を開いた。
「シグレ、いい忘れてたんだけど....」
「何?」
「実は徴兵制度ってのがあって、15歳になると兵隊にならないといけないの。
だけど、流石に今の状況で兵隊になるのは厳しいでしょ?」
「まあ、そうだね」
「それで例外があって、家の跡取りや病気の人は除外されるのよ。
だからうちの店手伝ってくれない?」
「それって、俺が店を継ぐってこと?」
「そこまでは考えてないわ。一応、王様に顔の利く友達にも頼むけど、
なにもしない訳にもいかないでしょ」
「それは...そうだね...」
「まあ、難しく考えなくていいよ。明日試しにやってみようよ」
「でも、多分無理だよ?」
「その時はどうにかするから」
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翌日
シリエスに教わりながら、剣を打ってみる。
そのできにシリエスは驚く。
「す...すごい...初めてなのにこんなに凄い剣を造るなんて....」
シリエスの声が聞こえてない時雨は
「自分としてはいいできなんだけど、やっぱりダメだよね」
といい、剣を捨てようとする。
「何、してるの!?」
「え?なにって捨てようと....」
「こんなに凄い剣を捨てるなんてどうかしてるよ!!」
「凄い?」
「凄いよ!才能あるんじゃない!?」
「へ?」
気の抜けた声をだすと、改めて自分の打った剣を見る。
黒光りするその剣は、店に置いてある剣と比べると平凡な出来だった。
「見た目は平凡だけど...。試しに...」
そう言うと店にある剣をとり、時雨の造った剣で試し切りをすると....
店にある剣は、時雨の造った剣によって刃がぶったぎられた。
「この通り、シグレの剣は切れ味抜群で頑丈なんだよ!」
「へ~」
「他人事みたいな返事しない!シグレの造った剣が凄いんだよ!」
「いや、あまり実感わかないし...」
「君には才能があるんだよ!うちで働かない?」
「最初からそういう話だったでしょ」
「あ、そうか。でも、徴兵対策をしなくて良くなったし...」
そんな話をしていると
「ごめんください」
という声とともに金髪の女剣士が店に入ってきた。
「いらっしゃい」
「いらっしゃいませ」
二人は客を出迎える。