振り向いた刹那 (楼々×柳耀)
わーん><
この二人ばっかりでマジで御免なさい!!(土下座)
「…ろう……楼々?」
「え?な、何?娘子」
「最近元気ないぞ?どうかしたのか?」
「う、ううん。…なんでもない」
言えやしない。
柳耀が父上の代わりに任務に行っている、だ何てこと。
父上は、戦場を駆け巡る…そんな感じ。
父上が病気故に柳耀が代わりに任務に行くと言っていた。
「私で良ければ聞くぞ。誰も居ないし」
「……内密にしてくれる?」
「分かった」
『楼々』
『何?柳耀』
『俺、お方様の代わりに任務に行くことになったんだ』
『嘘!?りゅ…柳耀が…父上の代わりに任務へ?』
『そ。俺あんまり剣術とかには長けてないけれど、出来る限りの力で行ってくるよ』
『何で!今回の場所、凄く大変って父上言ってた。それで…柳耀が死んだらっ』
『大丈夫だよ』
『え?』
柳耀は私の頭に手を乗せ微笑む。
『必ず楼々の所に帰ってくるよ。…どんなに酷い姿でも。帰るべき場所は楼々の元…だから』
『…分かった。信じてるよ、柳耀』
『絶対に帰ってくる。…そう誓うから。楼々を悲しい目に遭わせるなんて、俺として失格だから』
そんな台詞を残して柳耀は邸を後にした。
そして、今日で任務遂行日から二ヶ月となる。
任務は一ヶ月で終わると言っていたのに、もうかれこれ一ヶ月も過ぎてしまっている。
「……帰ってこないんじゃないかって思うと凄く悲しくて…。泣きたくなる」
「大丈夫だ。柳耀があれほど固い誓いを胸に戦場を駆け巡っているのならもうじき帰ってくるはず。信じて待っていれば必ず帰ってくるよ」
「…分かった。もう少し待ってみるよ。有難う、娘子!元気出たよ!」
立ち上がって邸を後にするけれど…。
いざ思うと、また泣きたくなってしまう。
任務遂行場所から長安までで一ヶ月もかからない。
二日有れば帰ってこれるはずなのに…。
「柳耀……っ」
邸の前まで来て思い出して、また涙を流す。
何時も私を待ってくれていて「おかえり」って言ってくれる。
その声が頭で蘇る度に悲しくなる。
やっぱり、帰らぬ人になってしまったのかな…。
「柳耀ーーー!!!!」
「……そんな大声で叫ばなくても、俺なら此処にいるよ」
「え……?」
ゆっくりと後ろを振り返る。
紛れもなく、柳耀だった。
彼方此方に傷跡があった。
額から血まで流れてる。
「りゅう……よう」
暫くの静寂の後、私は声を振り絞った。
「っ…お帰りなさい!!」
そう言って私は涙ながらも柳耀の腕の中に飛び込む。
傷でボロボロの柳耀の腕が私を包み込む。
そして私はちゃんと柳耀は此処にいると確かめる。
そう思えるだけで本当に嬉しかった。
「泣き虫」
「…五月蝿い。どれだけの間泣いて過ごしたと思ってるのよ!」
「御免。彼方此方に傷負わされて帰るのに苦労したんだ。…一刻も早く楼々の元に帰りたかったから」
「そんなに急いでくれたの…」
「当たり前。それに言っただろ?帰るべき場所は楼々の元、って」
「…ありがとう…本当に有難う!」
「良いよ。こうして帰って来れたんだから。…俺も帰れないと思ったんだ。やっぱりお方様の言うとおり結構きつかった。俺の体力じゃやられるんじゃないかって。…だけど、楼々のこと思い出して必死になった。待ってくれている人がいる。だから、頑張らないといけないって」
『何もかも、楼々のお陰なんだよ?』
柳耀は私を抱く力を強める。
離せないほどに、強く。
「このままこの腕解いたら、楼々を手放す気がするよ」
「ばーか。私は何処にも行きませーんっ!」
「そう言うと想ったから良いけど。じゃ………改めて」
「ただいま、楼々」
振り向いて良かったとその台詞を聞いて思った。
振り向かなかったら、柳耀を見れなかった。
無事に此処まで帰ってきてくれた柳耀を――。
振り向いた刹那
私に喜びをくれました
「おかえり――…柳耀」