表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

五年前の誓い  (草魏×不知火)

すっごく、甘いです。甘いのが苦手な方は見ないことをお勧めします。

「うわぁ…」

「綺麗だな、桜」

「うん!」


俺達は今日、芙蓉園に来ている。

理由は俺が偶々暇だったから。それで草魏を誘おうと想ったまでだ。

彼奴は桜が大好きだと言っていたし、今の季節丁度芙蓉園は桜の花見客でいっぱいになっていると思う。


でも理由は其れだけじゃない。

最近、有る真実を知ってから草魏の表情は暗くなっていたから。

せめてその顔を笑顔に戻してあげたかったから。


今の草魏は、今までに無い位のとびっきりの笑顔。


近くにあった桜を枝から手折る。


「一寸!芙蓉園の花を折っちゃ駄目じゃない」

「いや、ちゃんと理由があるから」

「…え?」


俺は、その桜を草魏の髪の所にそっと挿す。

丁度桃色の服を纏っていたのか、更に可愛いと想ったのは言うまでもない。


それ以前に、一つ一つの仕草に俺は心拍数が異常な数になってしまう。


「似合うな、草魏が付けると」

「そ……そうか?私、そんなに可愛い女じゃないと思うけど」

「其れとこれとは違うんだよ」


(とっ取り敢えず……可愛すぎ何だよ、草魏)


若干からだが熱く感じた俺。

…本気で草魏が好きなんだなぁ…。

改めてそう思った瞬間だった。


俺は、惚れ弱みを偶に起こしてしまう。

木刀を交えずとも惚れ弱みの所為で負けてしまうこともしばしば。


…いい加減、告白って奴をしないといけないのかなぁ…。


「不知火?」


大丈夫?と俺の顔をのぞき込む草魏に更に顔の温度が上がる。


(くそっ、反則だぞ草魏!!)


大丈夫だ、と言ってまた歩を進める。


春になれば一段と草魏が可愛く思える。

桜が好き故に可愛さが引き立つのかもしれない。



「な、なぁ草魏」

「ん?どうした?」

「俺がさ、もしも『草魏が好きだ』って言ったらどうする?」

「ど、どうって…?」

「取り敢えずどう答えるかって事」

「…………『私も好きだよ』って答えるかもしれないなぁ…。ってまさか不知火私のこと…!!!」

「いや、ちっ違うって!」

「はぁ吃驚させないでよね」


違うわけ無い。


本気でお前のこと、好きなんだぞ?

この世で一番。

例え、草魏より可愛い奴が出てきてもお前しか見ないから。


大胆に言うと、お前を中心に世界が回ってるみたいな。



草魏の身に何かあったら、俺自身が平常心でいられなくなる。



この手で、必ず草魏を守ると決めたから。

…あの五年前の約束で。


『草魏』

『どうした、不知火』

『俺、決めたんだ』

『何を決めたの?』

『必ず、草魏は俺が守る。危険な目に遭わせないって、誓う』

『し、不知火…?』

『ずっと俺、考えてたんだ。…あの事件で、草魏が凄い怪我を負ってしまったのは………俺の所為なんだって』

『不知火……』

『だから…絶対、俺が守るって。何があっても必ず、俺が守るって』

『それだったら、私も不知火のこと守る。…此処まで真剣なら、私だって真剣なんだからね!』


……ふっ、と笑った瞬間だった。


何処からか、悲鳴のような声が聞こえてきた。

俺と草魏も同時に振り向く。


(ぞ……賊!!!!)


辺り一面が血の海に変わっていた。

凄い勢いで賊、一人がこちらに向かっている。


(まさか、草魏狙い!?)


「不知火…あれ、私が狙いなのか」

「恐らくな!!!」


そう言ったと同時に、懐に忍ばせておいた剣を抜き、賊の剣を受け止める。


「ふん、邪魔が入ったか」

「草魏狙いなんだな!?」

「そうだ。私が狙っているのは草魏娘子のみ。後は要らぬ」

「草魏には指一本触れさせない!!!例え、俺が草魏より剣術が下でも必ず守ると誓った!だから絶対に草魏には指一本触れさせない!!!」

「誓いだかなんだか知らないが、今のお前の力じゃ私を倒すことは出来ない」


そう言われた瞬間、俺の腹当たりに痛みを覚えた。

賊のもう片手にあった短剣で腹に一発食らわされてしまった。


「不知火ーーーーーーーーーーー!!!!!!!」


草魏が思いっきり叫んだ後、倒れた俺に向かって賊は一言言った。


「だから言ったのに。今のお前の力じゃ私を倒すことは出来ないって」

「良くも…良くも不知火を!!!!許さない!」


霞の向こうで、草魏と賊が剣を交えていた。

草魏の表情が明らかに怒りに満ちていた。


馬鹿だな……俺。

自分で守るとか言っておきながら、弱すぎじゃねぇか。

やっぱり、草魏には勝てないんだな。


剣も、何もかも…。


そう思ったと同時に俺は、意識を失ってしまった。


***


何で!!!何で不知火をこんな目に!!!


「アンタは何で私を殺りに来た!!」

「邪魔だと総帥が言っておられた。…だからだ」

「だから何だ!私はそう簡単に死にはしない!少なくとも不知火の前では……絶対に…死なないんだから!!!!」


そう言ったと同時に、賊の腕を斬りつけ次は横っ腹を斬る。

賊はぐらっと揺らめいたが直ぐに立った。

だけど、口から出た台詞は意外な物だった。


「ちっ……覚えてろ」


賊はそう言って、そそくさと去っていった。

後ろ姿が消えた途端、不知火の方に駆け寄る。


「不知火!!不知火!!!ねぇ、起きてよ!不知火!!!」


気が付かないうちに涙を流していた。

息はあるから、まだ生きている。

起きてよ…と二三度言ったとき、うっすらと緑の瞳を開けた不知火。


「くさ……ぎ?……お前、何泣いてるんだよ」

「だって………心配だから」

「…心配してくれて、有難うな草魏。…それと、御免」

「え?」

「五年前、約束したのに『必ず、草魏は俺が守る。危険な目に遭わせないって、誓う』って。なのに、こんな様になるなんて」

「そんなのどうだって良い!不知火が傷ついたの……私の所為だ」

「お前の所為なんかじゃないから……俺が、弱かったから。心も剣術も何もかも」


不知火は、そう言って力なく笑った。

まだ草魏には何も敵わないよ、と更に言った。


「だけど、そのお陰でお前無傷で済んだんだろ?」

「そんな…こんな形で守られても、嬉しくも何ともないよ」

「だよな……。俺、また特訓しないとお前を守ってやれない」

「…………守らなくても、良いよ」

「え?」

「私が守ってあげれば良いじゃないの。もう……不知火が傷つくの、見たくないんだよ」


私はそう言って、また新しい涙を作った。


「ったく、泣きすぎ」

「五月蝿い」


不知火はいつの間にか起きあがっていた。

傷、痛くないの?と問うてしまう。


「痛くねぇよ、これ位。……本当に有難う、草魏。お前に守られっぱなしだな、俺」

「馬鹿言うな。私の方こそ守られっぱなしなのに」

「今の今までこうして生きてられたのお前のお陰だよ。…本当に、心の底から感謝してる」

「やだな、私そんなに感謝されるようなことして……!!!!?」


ふと視界が暗くなる。

……唇が重ねられて、言葉自体が言えない。


唇が離れた後、私は一瞬固まって物が言えなかった。


「ちょ……不知火!?」

「御免。…今まで言えなかったけれど……好き、なんだ」

「そんなっ、どうして…」

「知ってる?俺、あんな約束お前のこと想ってないときっとしてなかったはず…そのころから既にお前のこと、好きだったんだぜ?」

「……どうして」

「え?」

「どうして、早く言ってくれなかったのよ!!!」

「え…いや、ちょ…」


同じなのに。気持ち、全て同じなんだよ私も。


不知火と、全く。


「…え?」

「ずっと想ってた。…どうして、こんなに不知火って格好いいんだろうって」


闘う姿も、何もかもが格好良くて惚れていた私が居た。

(こんなにべらべら喋る私って何か変じゃない?)


「馬鹿みたいな話だけどさ、本当のことなんだ」

「……有難う、草魏」

「へ?」

「ホント、お前みたいな奴好きになって良かったよ。…とっ、取り敢えず何とか治療してくれね?腹思いっきり刺されて痛ぇんだ」

「はいはい。…歩ける?」

「何とかかな。…治らねぇと、お前の稽古受けられない」

「やだなぁ絶対受けろとは一言も言ってないのに」

「駄目だ。治らないとお前を守ってやれない」

「まだ言うか。私は大丈夫だって言ってるでしょ?心配すんなって」

「するから言ってるんでしょうが!!!」


そんな言葉を交わしながら私達は邸に向かって戻っていった。



後日――。



「…もうっ!!本当に恥ずかしい思いした!!」

「あーだから御免って言ってるだろ!?彼はわざとじゃないって!!」

「分かってるよ!わざとじゃないの分かってるよ!緊張って言うか……接吻とか未経験だから!!!」

「俺の思いが詰まった奴で緊張だとぉ!?巫山戯るんじゃない!」

「巫山戯てなんか無い!!今、言ってることは全て本当なんだから!!!って言うか、俺の思いが詰まったって言うのが凄く余計!!!」

「はぁ……取り敢えず、御免」

「う、うん」


いきなり謝られて一寸拍子抜けた私。

…だけど、正直嬉しかった。

想いをこうして伝えられたから。


さぁ稽古やるぞ、と私は朝日に向かってそう叫んだ。

あとがき


はっずかしいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!(←

滅茶苦茶恥ずかしかったです>///< これ描いてるとき。

何画詐欺と不知火って甘いのしか思い付かなかったんですよ。といっても、今は一寸別のを作成中ですけど。


取り敢えず…恥ずかしすぎて我ながら変なことをしたと反省中(苦笑)


ではでは。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ