トマドイ
翌日 脳の検査に異常は無く 退院が決まった
さっさと着替えて 帰るとするか
その前に 昨日の医者に礼を言うべきかな?
等と考えながら 病室を出ようとした時だった
「失礼するよ」
「あ 今から先生に お礼を言いに伺おうかと
思ってたんです」
「儂より娘さんに 連絡したのかね?」
「いえ 連絡先を知らないので・・・」
「情けないのう 連絡先も知らんのか」
「はぁ・・・」俺情けないのか?
「まあいい 儂に感謝するんじゃな」
医者がそう言って 手招きをすると
阿部さんが 入ると同時に 頭を下げていた
俺は驚き 言い出すのが 一瞬遅れた
「昨日は叩いてすいませんでした」
「いえ いえ 俺が悪いから仕方ないです」
すると顔をゆっくりと上げて 口を開いた
「じゃあ 怒ってないですか?」
「勿論 と言うか 謝るのは 俺の方だよ」
「昨日は変な言い方して すいませんでした」
俺が謝ると 両手を横にブンブン降りながら
「いえいえ 私こそ叩いてすいませんでした」
「いえいえ 俺の方こそ すいませんでした」
そして 二人共顔を見合わせて笑いだした
こんな風に笑うの 久しぶりだな
アイツと居た時も 笑っていたのに どうして
久しぶりって 感じるんだろう?
でも その訳は 阿部さんの笑顔を見て 分った
そうか アイツと居た時 笑っていたのは
俺だけだった・・・ 一体何時から 何時から
アイツは笑わなくなっていた のだろうか?
その時には もうアイツの ココロの中には
俺の居場所は 無かったんじゃないか?
そして名前を 呼ばれて 俺は我に返った




